高流動コンクリートとは|特徴・種類など基礎知識まとめ

高流動コンクリートとは、一般的なコンクリートと比較して高い流動性を有するコンクリートです。

高い流動性により部材形状が複雑な場合や部材断面が小さい場合、過密鉄筋などによりコンクリートを密実に充填することが困難な場面でも、打設したコンクリートが隅々まで行きわたる為、締め固め不要コンクリート、自己充填コンクリートなどと言われることもあります。

Basilisk
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1. 高流動コンクリートとは

高流動コンクリート(こうりゅうどうこんくりーと)とは、使用する水を通常のコンクリートより少なくし、高い流動性を有するコンクリートです。打設したコンクリートが隅々まで行きわたるため、締固めコンクリート、自己充填コンクリートなどと言われたりもします。

近年のコンクリートを使用する現場では、部材形状の複雑化、部材断面が小さい、過密鉄筋(鉄筋量の増加)などからコンクリートを密実に充填することが困難となる場面が増えています。

一般的にコンクリートはバイブレーターと呼ばれる振動機にて締固めを行いますが、作業スペース不足や障害物のある場所ではそれを使用できない場面も増えています。

これらの問題を解決するために、高流動コンクリートが開発されました。

2. 高流動コンクリートの特徴

高流動コンクリートの特徴としては

  • 特殊な材料を使わずにひと工夫、汎用性に優れています。
  • 振動・締め固めなしで型枠のすみずみまで確実に充填できます。
  • 過密な鉄筋でも十分コンクリートが充填できます。
  • 複雑な形状でも十分コンクリートが充填できます。
  • 少ない水での調合ができますので、緻密なコンクリートになります
  • バイブレーターの騒音もなく、無騒音で工事ができます。
  • ブリーディング、レイタンスの発生か少ないです。
  • 通常のコンクリートと比べて型枠にかかる側圧は大きいです。
  • コンクリートポンプによる圧送時の抵抗が大きいです。

などが挙げられます。

3. 高流動コンクリートの種類

高流動コンクリートの種類は、粉体系高流動コンクリート、増粘剤系高流動コンクリート、併用系高流動コンクリートの3種類です。

粉体系高流動コンクリート

増粘剤を使用しないで、主に紛体量を増やし、適切な材料分離抵抗性(高粘性)のあるコンクリートです。粉体としては、普通ポル トランドセメント、フライアッシュ、シリカヒューム以外に高ビーライト系ポルトラ ンドセメント、低熱ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、石灰石微 粉末などが用いられます。

増粘剤系高流動コンクリート

増粘剤により、適切な材料分離抵抗性のあるコンクリートです。

併用系高流動コンクリート

紛体量を増やし適切な材料分離抵抗性があり、増粘剤によってフレッシュコンクリートの品質変動を少なくしたコンクリートです。

4. 高流動コンクリートの注意点

高流動コンクリートは、決められた自己充填性を保持している間に運搬、打設ができるようにする必要があります。

また、コンクリートのフレッシュ性状が通常のコンクリートと異なるため、施工時、打設時、養生時それぞれにおいても注意が必要です。

施工時

コンクリートポンプを使用する場合、圧送抵抗が大きいため、コンクリートポンプの種類、圧送管径、配管経路、配管長などを検討する必要があります。

補助的にバイブレーターを使用する場合、材料分離が起きないように過度の振動を与えないようにする必要があります。

打設時

長距離の流動は材料分離を引き起こす可能性があるため、流動距離は構造物の形状、寸法、配筋状態、配筋等を考慮して決める必要があります。

養生時

高流動コンクリートは、ブリーディング量が少ないので表面が乾燥しやいです。乾燥を防ぐために、初期養生をする必要があります。

その他

高流動コンクリートは液圧として型枠に作用るすため、場合によっては型枠の補強等が必要になります。

剥離剤と高性能AE減水剤との相性で表面に気泡が多く発生する可能性があるため、注意する必要があります。

5. まとめ

高流動コンクリートは、高い流動性と材料分離に対する抵抗性があるため、コンクリート打設時において振動・締固め作業が不要で鉄筋の間や型枠の隅々まで充填することが可能です。そのため、締固め作業による振動・騒音の防止、作業の省力化、締固め不足による強度低下の防止などの効果を期待することできます。

しかし、高流動コンクリートの品質は、使用材料の品質変動等の影響を受けやすいため、変動しやすいです。そのため、厳しい品質管理、製造管理、施工管理が必要です。

高流動コンクリートについて気にあることがあれば専門家へご相談ください。

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