コンクリート住宅の本来の寿命とメンテナンス方法
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建てては壊し、建てては壊し、親から子へ世代交代をしたり、子供が家から離れ、夫婦二人暮らしに戻ったりして、ライフスタイルが変わったりすると、人生の一大イベントのごとく住宅を建て替えたりすることがほとんどだと思います。

特にコンクリート住宅の場合は、木造住宅に比べて建てる費用も、解体費用も高く、そして寿命自体も長いのに、いろんな理由から建て替えられてしまいます。

でも少し考えてみてください。

コンクリート住宅は、地震にも、津波にも強い建物です。寿命自体も木造に比べて遥かに長いです。間取りに対しても、スケルトン・インフィルという設計手法で、いくらでも対応ができます。

コンクリート住宅の寿命が、120年だとすると、数代にわたり使用することができます。

木造住宅に比べて、初期費用が高く、設計期間が長くなったとして、120年使用できるとすると結果的には安くなるのです!そうです、費用対効果は、すごいのです。

では、コンクリート住宅の本当の寿命と、寿命まで全うさせる方法を考えてみましょう。

Basilisk
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1. コンクリート住宅の寿命とは?

コンクリート住宅の寿命とは、何でしょうか?

「寿命」とは、広辞苑では「命のある間の長さ」とあります。

事故等がなく、天寿を全うした長さと一般的にはイメージするのではないでしょうか?

つまりコンクリート住宅の寿命とは、地震による倒壊、ライフスタイルの変化による建て替え等がなかった場合、コンクリート住宅の天寿を全うした長さと考えられるのではないでしょうか。

では、コンクリート住宅の寿命とは、どのくらいの長さでしょうか?

インターネットで、コンクリート住宅の寿命を調べると、すぐに法定耐用年数というのが検索されます。法定耐用年数ってなんでしょうか?法定耐用年数が寿命のことなのでしょうか?法定耐用年数と寿命について見ていきたいと思います。

1-1. その他工法住宅と比べる法定耐用年数

法定耐用年数ってご存知ですか?

法定耐用年数は、国税庁が、その時々の思い付きを排除する(恣意性)目的で、「資産の種類」「構造」「用途」別に耐用年数を詳細に定めた耐用年数のことを言います。

これは、納税額に関係する重要な耐用年数の指標のひとつとなります。

たとえば、住宅用の耐用年数としては、下記のものが記されています。

  • 木造・合成樹脂造のもの 22年
  • 木骨モルタル造のもの 20年
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの 47年
  • れんが造・石造・ブロック造のもの 38年
  • 金属造のもので骨格材の肉厚が4㎜を超えるもの 34年
  • 金属造のもので骨格材の肉厚が3㎜を超え、4㎜以下のもの 27年
  • 金属造のもので骨格材の肉厚が3㎜以下のもの 19年

では、この耐用年数が来たら、建物は使えなくなるのでしょか?

そんなことは、ありません。今の住宅は、非常に耐震性も、耐久性も上がっており、実際の耐用年数をはるかに上回るものです。

あくまでも資産価値としての指標であり、減価償却資産として、恣意性をなくす目的で決められたものです。

とはいっても、法定耐用年数は、どのように決められたのでしょうか?これは、統計データからの年数であり、適当に決められたものでもありません。建物の取り壊しまでの年数をもとに耐用年数が決められたとされているのが一般的です。

ただ昭和40年ごろに決められたものですので、かなり実情と掛けなはれていますね。

では、実際どのくらいの長さ、住むことができるのでしょうか?コンクリート住宅の実際の寿命について考えてみましょう。

1-2. コンクリート住宅の実際の寿命

コンクリート住宅の実際の寿命についてですが、下記のような研究がされています。

 

68年 :建物の完成後、残存率が50%となるまでの年数(小松幸夫教授ら、2011)

117年 :物理的寿命(飯塚裕、1979)

120年 :コンクリートの中性化から算出した物理的効用持続年数(大蔵省主税局、1951)

150年 :外装仕上をした場合の延命年数(大蔵省主税局、1951)

 

つまりコンクリート住宅の実際の寿命は、法定耐用年数に比べて、はるかに長いと考えられています。

では実際にはどうでしょうか?

実際には、建物の寿命を待たずして、取り壊すことがほとんどだと考えられます。これは、建物の使用用途が変わったり、都市の再開発で立ち退かなければならないことも考えられます。

また、コンクリートには大敵なひび割れに対して、必要なメンテナンスがされていないことも原因と考えられます。

私たちが健康診断に行くように、建物も定期的な健康診断を行い、十分なメンテナンスを行うことで、建物の寿命まで、住み続けることができるのです。

2. コンクリート住宅に必要なメンテナンス

いくらコンクリート住宅の寿命が、120年と言われても何もしなくて、120年は持ちません。私たちが、日々ストレッチや、運動をして体のメンテナンスをするように、コンクリート住宅にもメンテナンスをしなければ、天寿を全うできないのは、イメージできると思います。

では、コンクリート住宅の天寿を全うさせるには、どのようなメンテナンスをすればよいのでしょうか?

コンクリート住宅、いわゆる鉄筋コンクリート住宅ですが、鉄筋が錆びなければ、コンクリート自体が劣化するまで、寿命があるわけです。

コンクリートの劣化には、中性化、ASR、塩害、凍結融解による凍害がありますが、これらも結局は、コンクリートの劣化に伴う鉄筋の錆びの発生を促進させるものになります。

つまりコンクリート住宅は、鉄筋を錆びさせなけばいいわけで、下記の3点に対して、メンテナンスを行えばよいことになります。

  • ひび割れをさせない
  • 中性化を遅らせる
  • ASR、塩害、凍結融解による凍害を生じさせない

具体的にはどうしたらよいのでしょうか?

具体的には、プレストレストコンクリートのようにひび割れを発生させなければいいのです。ただ通常のコンクリート住宅の場合は、地震時等にひび割れ等が生じますから、ひび割れに対して、放置したりせずに補修すればよいのです。

また中性化、ASR等に対しては、二酸化炭素の遮断が有効ですので、外壁の塗装や、屋上、バルコニーの防水メンテナンスを行うことが十分有効な手段となります。

2-1. コンクリートのひび割れ

コンクリートは、地震によるひび割れのほか、乾燥したり、熱による膨張により、ひび割れが生じることがあります。

ひび割れが生じると、そこから雨水が侵入して、コンクリートの中性化を早めたり、雨水が凍結して、ひび割れを大きくしたりしてコンクリートの劣化を早めます。

コンクリートの寿命を全うさせるためには、放置することなく補修することをお勧めします。

軽微なものは、ひび割れ部分をV字カットして、補修材により補修したり、ひび割れが深いものは、エポキシ樹脂を用いた補修方法があります。

2-2. 外壁等の塗装

ヘアークラックと言われる細かいひび割れであれば、ひび割れの深さも深くないため、早急な対策は必要ありません。ただしヘアークラックと言えども、その部分の中性化を早めたりします。そこで外壁等による塗装もお勧めします。現在の塗装は、コンクリート寿命よりもはるかに劣化が早いため、10数年程度で塗り直しが必要となります。

2-3. 屋上防水

屋上は、アスファルト防水、シート防水、ウレタン塗膜防水など防水処理が施されていますが、外壁塗装同様に、コンクリートの寿命まで持つものではありません。

劣化の要因は、紫外線劣化、熱劣化、酸化劣化などがありますが、屋上防水のお陰でコンクリートの劣化を防ぐものでもあります。

屋上防水のメンテナンスは、劣化の程度にもよりますが、全面張替えなど多少コストもかかります。

しかしメンテナンスを行うことで、下地などの補修をせずに済みますので、計画的なメンテナンスをお勧めします。

3. 耐震補強・リフォーム・リノベーションによるコンクリート住宅の長寿命化

コンクリート住宅は、実際のところ寿命を全うせずに、建て替えることがほとんどです。

これは、地震等による被害もありますが、一番は、間取りや設備が時代に追いつかないのです。

これだけ家電製品が、目まぐるしく変化するなかで、照明やコンセント、サッシ等の設備機器に対して、堅物のコンクリート住宅は柔軟に対応することができないのが原因になります。

では、どうしたらいいのでしょうか?

無理せず、間取りや、設備機器等から、コンクリート部分を切り取ればよいのです。

スケルトン・インフィルという考え方ですね。

コンクリートの構造部分に、設備等の配線を埋め込んだりせずに、簡単に取り替えられるようにします。

さらに、間取りも間仕切り壁等を用いて、構造部分から分離して作ります。

このようにスケルトン・インフィルにすることで、耐震補強・リフォーム・リノベーションを簡単に行うことができるようになり、長寿命な建物となります。

4. まとめ

コンクリート住宅の本当の寿命について、考えてみました。

実際のところ、コンクリートのような耐久性のある材料で、寿命まで使用した建物はほとんどありません。

コンクリートは、設計プラン(スケルトン・インフィル)の考え方もありますが、

ひび割れ、外壁の塗装、屋上防水などのメンテナンスさえきちんと行えば、何世代も使用できる構造です。

またメンテナンスは、被害が起きる前に行うので、一見、後回しになりがちですが、定期的なメンテナンスを行うことで、結局は、寿命を長くし、トータルコストが少なくて済みます。

コンクリート住宅のよさを知り、末永く使ってみてはどうでしょうか?

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