コンクリートとは

コンクリートは、建築土木工事の材料として広く使用されています。その強度や施工のしやすさ、コスト面からも建築・土木構造物の用途は幅広いです。コンクリートは、世界で水の次に使用されている材料です。その用途は、コンクリートの種類により様々です。一般構造用コンクリートは、建築や土木構造物用として使用します。

圧縮力には強いが引張り力には弱いため、コンクリート単体で使用するより、鉄筋を中に入れ鉄筋コンクリートとして使用されることが多いです。鉄筋で引張り力を受け、圧縮力・引張り力のどちらの力にも十分な強度を持たすことができます。

コンクリートは、ゆっくりと固まり1か月程度かけて必要な強度に達します。コンクリートの打設後、28日目の強度がそのコンクリートの強度となります。

ところで、皆さんもコンクリートは街中で良く目にすると思いますが、セメントを主な原料とした材料が他にあることを知っていますか。

例えば、セメントペーストやモルタルなどです。

実はあまり目立つ存在ではありませんが、使用用途などからもこの3つは違う材料なのです。

ここでは、セメントペースト、モルタル、コンクリートについての違いや特性、用途などについて詳しく説明していき、それぞれの違いや特性を比較することで、コンクリートとはどのようなものなのかを理解していただければと思います。

1. コンクリートとセメント、モルタルの違い

コンクリートの原材料は、セメント、水、砂・砂利などの骨材及び混和剤からなります。これらを目標とする強度や耐久性、施工性などに合わせて配合し製造します。

セメントペーストやモルタル、コンクリートは使用用途などにより、強度や流動性を考慮して設計されます。

その為、あくまで一例として各材料構成をイメージ図にしてみました。

ここから、セメントペースト、モルタル、コンクリートの特徴を解説していきます。

1-1. セメントペースト

石灰系の粉末であるセメントと練り水を、均一になるよう練り混ぜたものをセメントペーストと呼び、モルタルやコンクリートを製造するうえでも、主となる材料のひとつとなります。

セメントは練り水と接した瞬間から反応が始まる為、一般的なミキサーで練混ぜた場合、セメントボールと呼ばれるセメントの塊が多数出来やすく、均一な品質にはなりにくい性質があります。

以上の理由などからもセメントペーストには、JIS規格(日本産業規格)など定められた規格や基準はありません。

セメントペーストの概念図

セメントペーストの使用用途

前で述べた様に発熱、収縮、コストの面からもセメントペーストを直接構造体として使用することは、現実的ではありません。

セメントペーストは、隙間充填剤や地盤改良、既成杭の周辺固定液としての活用が一般的です。

隙間充填剤はグラウト剤とも呼ばれ、膨張材などの混和材が混入された無収縮グラウト剤として狭い隙間やひび割れの充填剤として使用されています。

1-2. モルタル

モルタルとは、セメントペーストと、陸砂、山砂、砕砂などの細骨材、必要に応じて混和剤を練混ぜなどの手法によって各材料が分離の無い様に一体化させた材料の事です。

モルタルにもセメントペーストと同様に規格などは存在せず、強度に関しても明確な基準はなく配合設計についても、慣習配合と呼ばれるセメントと砂の容積によるものが一般的です。

モルタルの概念図

モルタルの使用用途

モルタルは普段あまり目立ちませんが、実は用途は多彩でいろいろな場所で使用されています。

ここでは、例をいくつかあげて紹介していきます。

①目地としての使用

ブロックやレンガを積み上げたり敷き詰める時の目地として使用したり、空洞を埋める目的で使用されます。

②接合材としての使用

壁や床などにタイルなどを張り付ける時の接合材(接着剤)として使用されます。

③補修材としての使用

コンクリートの欠けや、ひび割れが発生した場合、補修材としても使用されます。

大規模な補修が必要な場合や、構造物によってはその原因を特定する必要があるため、専門家による検査の後、症状に応じた特殊なモルタルを使用します。

④吹付材としての使用

崖や法面をコンクリートやモルタルで覆う工法を吹付工と呼びます。施工時にある程度の安定性が確保できる場合、崖面に対して施工します。

⑤コンクリート面の上塗りとして使用

壁の場合はクロスを貼ったり、床の場合はペンキを塗るなどの仕上げ施工が容易となります。

⑥断熱モルタルとしての使用

一般的な細骨材の変わりに軽量細骨材の使用や、微細な泡をモルタルに練り混むことで断熱効果を向上させたモルタルです。

建築物の内壁や天井面へ上塗りすることで、断熱効果の上昇や結露防止にもなります。

1-3. コンクリートとは

コンクリートとは、セメントペーストと細骨材(陸砂、山砂、砕砂など)、粗骨材(砂利、砕石など)、と混和剤を練混ぜて一体化した材料のことです。

コンクリートはJIS規格などをもとに、目標とする強度や流動性、耐久性、施工性などを考慮し配合設計します。

また、練混ぜ方法や練混ぜ時間も、JIS規格をもとに定められています。

コンクリートの概念図

コンクリートの使用用途

一般的に最も使用されているコンクリートは普通コンクリートと呼ばれ、建築や土木の世界で構造体として使用されています。

しかしコンクリートには、普通コンクリート以外にもいくつか種類があり、目的によって使い分けられています。

以下に代表的なコンクリートの種類を紹介します。

①舗装コンクリート

舗装コンクリートとは、道路に使用されているアスファルトの代わりに使用されるコンクリートです。

アスファルト舗装と比較して、維持管理や耐久性の面で優れていますが、養生に時間を要することや、走行時の騒音などで不利となる部分も持ち合わせています。

普段良く目にする場所では、自衛隊が使用する戦車用道路や、航空機の駐機場、高速道路の料金所などがあります。

②軽量コンクリート

軽量コンクリートとは、コンクリート全体の重量を軽くする為に使用されています。

普通コンクリート単位容積質量が、約2.3t/m3~2.4t/m3であるのに対し、計量コンクリートは、使用する細骨材や粗骨材を軽量なものへと変更することで、約20%~30%近く軽量化出来ることから、S造(鉄骨造)の高層ビルでの床や屋上の防水押え、橋梁の床版などに使用されています。

また普通コンクリートに対して、熱伝導率が約半分とされており、断熱効果も高いと言われています。

③重量コンクリート

重量コンクリートとは、密度の重い骨材を使用して製造されるコンクリートです。

コンクリート自身の単位容積質量が2.5t/m3~3.6t/m3ある為、放射線を外部に漏らさない遮蔽性を高める働きがあり、原子力施設や放射線治療の設備がある病院などに使用されます。

④高強度コンクリート

高強度コンクリートとは、普通コンクリートよりも圧縮強度の高いコンクリートのことを示します。

土木学会では設計基準強度が、50~100N/㎜2、建築学会では設計基準強度36N/㎜2

を超えるものとされています。

圧縮強度が高いことから部材の断面を小さくしたり、梁のスパンを大きく確保できる利点とともに、構造物の長寿命化にも大きく関わってくることから、近年高層構造物や橋梁などにも幅広く使用されています。

⑤高流動コンクリート

高流動コンクリートとは、高い流動性を持ったコンクリートで材料分離抵抗性にも優れています。

締固めをしなくても型枠の隅々まで行きわたることから、自己充填コンクリートとも呼ばれることがあり、過密鉄筋で容易な締固めが困難な箇所でも、材料の分離が無く密実なコンクリートを施工する目的で開発されました。

⑥流動化コンクリート

流動化コンクリートとは、事前に練混ぜられた普通コンクリートに流動化剤と呼ばれる混和剤を添加することで、単位水量(練り水)の量を変えずに流動性を向上させることが出来るコンクリートです。

ポンプ車の圧送性改善や、施工作業の効率向上を目的としますが、流動性の保持は20分~30分なので、施工時には適切な計画を立てる必要があります。

2. コンクリートとモルタルに骨材を入れる理由

コンクリート中で強度の発現、すなわち化学反応により固まるのはセメントペーストで、モルタルやコンクリート中の骨材どうしをくっつける糊のような役目を持っています。

では、モルタルやコンクリートに入る骨材はどの様な役割があるのでしょう。

2-1. 発熱の抑制

セメントが水と反応して固まっていく化学反応を「水和反応」と言い、この反応過程でセメントペーストは発熱を起こします。

大量のセメントペーストは、内部に熱を溜め込み100℃近い高温になることもあるのです。

この様に内部が高温になると、外気と接触する部分は大きな温度差によってひび割れを起こします。

セメントと違い化学反応を起こさない骨材を入れることで、反応するセメントが占めている割合を減らすことが出来、全体の発熱量を減らすことが可能になるのです。

2-2. 収縮の抑制

セメントペーストは、化学反応で発した熱により内部の水分が徐々に無くなり全体の容積が小さくなり少量縮む現象を起こします。

これを乾燥収縮といいます。

また、セメントと水の容積に対し、硬化後のセメントペーストの容積が小さくなる為、硬化初期の段階でも縮む現象があり、これを自己収縮と呼びます。

このふたつの収縮は、セメントペーストに対して起こる現象で、どちらもコンクリートに有害なひび割れを発生させる原因となります。

骨材を入れると、特に粗骨材がセメントペーストの収縮を抑えることで全体の収縮量を抑制出来ます。

また、セメントペーストの量も少なくなることからも抑制につながるのです。

乾燥収縮量については、今から30年前ではセメント量が大きな影響を与える、すなわちセメント量が多いほど乾燥収縮量も大きくなると言われていました。

その後セメント量より練り水の量が多いほど乾燥収縮は大きくなるということが一般論となり、減水剤と呼ばれる混和剤を使用し練り水の量を減らすことで収縮によるひび割れを抑制してきました。

しかし現在では、乾燥収縮量に大きな影響を与えるのは、セメントや練り水より骨材であるという説が主流になりつつあります。

骨材の乾燥時の収縮量が最もコンクリートの乾燥収縮に影響を与えるということから収縮量の少ない骨材を使用することでコンクリート全体の収縮量を抑制するという考え方に変わって来ています。

2-3. コスト

コンクリートを構成している材料を価格別に見ると、一般的にはセメントの価格が最も高くなります。

すなわちセメントペーストだけで構造物を建設すると、とんでもなく高価となり、建設材料として気軽に使用することは出来ません。

また、発熱や乾燥収縮も大きくなり有害なひび割れが入るリスクも増えてしまいます。

3. コンクリートとアスファルトの違い

アスファルトとは:

アスファルトは原油を精製して作られます。原油の蒸留には大きく分けて二つあり、原油を直接加熱して蒸留する方法と、重質留分を減圧して蒸留する方法です。まず原油を直接加熱することでガソリン、灯油、軽油などわけます。それで残ったものを蒸留することによりアスファルト、重油などになります。

アスファルトはそれ単体で使用することはなく、砂利、砂と混ぜ合わせて使用します。混ぜ合わさったものがアスファルト舗装になります。しかし、ただ混ぜ合わせるのではなく温度が重要になります。工場から作られるときは160℃程度になるまで加熱します。この程度まで高温しないと取り扱うことができません。アスファルト舗装を施工したあとは約50℃になるまで養生をし、温度が下がりきった段階で道路を開放します。

このように、コンクリートとは使用する材料、製造方法、施工方法は全く異なります。使用用途を比較すればその違いが明確にお分りいただけるでしょう。

3-1. アスファルトの使用用途

主な使用用途は「アスファルト舗装」いわゆる道路です。

アスファルト舗装の構成ですが、表面から表層、基層、路盤、路床になっています。アスファルトは表層、基層に使用され、路盤、路床は砕石になります。車の交通量によって異なりますが、表層、基層の厚さは何十センチもあるわけではなく、それぞれ5㎝程度になります。

コンクリートに比べて耐久性は劣りますが安価で施工が早いというメリットがあるので、道路では主にアスファルトが使用されています。

それ以外には、ビルやマンションの屋上部分で防水シートの代わりに使用されています。防水目的では古代エジプト時代から使用されていたようです。

コンクリートとセメント・モルタル・アスファルトの違いまとめ

ここまで、セメントペースト、モルタル、コンクリートの違いについて、特性や用途別に説明してきました。

よくメディアなどでもモルタルとコンクリートを混同して伝えられていることがあります。

確かに、セメントペーストやモルタル、コンクリートには共通してセメントが主要材料として使用されていますが、実は用途などを含め違うものだということがお分かりいただけたのではないかと思います。

コンクリートの歴史は古く約9,000年前に遡ると言われています。

今でもコンクリートに代表されるセメントを主原料とした製品は、施工のしやすさやコストの面からも、世界で最も多く使用されている土木、建築材料なのです。