コンクリートとは

コンクリートは、建築土木工事の材料として広く使用されています。その強度や施工のしやすさ、コスト面からも建築・土木構造物の用途は幅広いです。コンクリートは、世界で水の次に使用されている材料です。その用途は、コンクリートの種類により様々です。一般構造用コンクリートは、建築や土木構造物用として使用します。

圧縮力には強いが引張り力には弱いため、コンクリート単体で使用するより、鉄筋を中に入れ鉄筋コンクリートとして使用されることが多いです。鉄筋で引張り力を受け、圧縮力・引張り力のどちらの力にも十分な強度を持たすことができます。

コンクリートは、ゆっくりと固まり1か月程度かけて必要な強度に達します。コンクリートの打設後、28日目の強度がそのコンクリートの強度となります。

ところで、皆さんもコンクリートは街中で良く目にすると思いますが、セメントを主な原料とした材料が他にあることを知っていますか。

例えば、セメントペーストやモルタルなどです。

実はあまり目立つ存在ではありませんが、使用用途などからもこの3つは違う材料なのです。

ここでは、セメントペースト、モルタル、コンクリートについての違いや特性、用途などについて詳しく説明していき、それぞれの違いや特性を比較することで、コンクリートとはどのようなものなのかを理解していただければと思います。

1. コンクリートとセメント、モルタルの違い

コンクリートの原材料は、セメント、水、砂・砂利などの骨材及び混和剤からなります。これらを目標とする強度や耐久性、施工性などに合わせて配合し製造します。

セメントペーストやモルタル、コンクリートは使用用途などにより、強度や流動性を考慮して設計されます。

その為、あくまで一例として各材料構成をイメージ図にしてみました。

ここから、セメントペースト、モルタル、コンクリートの特徴を解説していきます。

1-1. セメントペースト

石灰系の粉末であるセメントと練り水を、均一になるよう練り混ぜたものをセメントペーストと呼び、モルタルやコンクリートを製造するうえでも、主となる材料のひとつとなります。

セメントは練り水と接した瞬間から反応が始まる為、一般的なミキサーで練混ぜた場合、セメントボールと呼ばれるセメントの塊が多数出来やすく、均一な品質にはなりにくい性質があります。

以上の理由などからもセメントペーストには、JIS規格(日本産業規格)など定められた規格や基準はありません。

セメントペーストの概念図

セメントペーストの使用用途

前で述べた様に発熱、収縮、コストの面からもセメントペーストを直接構造体として使用することは、現実的ではありません。

セメントペーストは、隙間充填剤や地盤改良、既成杭の周辺固定液としての活用が一般的です。

隙間充填剤はグラウト剤とも呼ばれ、膨張材などの混和材が混入された無収縮グラウト剤として狭い隙間やひび割れの充填剤として使用されています。

1-2. モルタル

モルタルとは、セメントペーストと、陸砂、山砂、砕砂などの細骨材、必要に応じて混和剤を練混ぜなどの手法によって各材料が分離の無い様に一体化させた材料の事です。

モルタルにもセメントペーストと同様に規格などは存在せず、強度に関しても明確な基準はなく配合設計についても、慣習配合と呼ばれるセメントと砂の容積によるものが一般的です。

モルタルの概念図

モルタルの使用用途

モルタルは普段あまり目立ちませんが、実は用途は多彩でいろいろな場所で使用されています。

ここでは、例をいくつかあげて紹介していきます。

①目地としての使用

ブロックやレンガを積み上げたり敷き詰める時の目地として使用したり、空洞を埋める目的で使用されます。

②接合材としての使用

壁や床などにタイルなどを張り付ける時の接合材(接着剤)として使用されます。

③補修材としての使用

コンクリートの欠けや、ひび割れが発生した場合、補修材としても使用されます。

大規模な補修が必要な場合や、構造物によってはその原因を特定する必要があるため、専門家による検査の後、症状に応じた特殊なモルタルを使用します。

④吹付材としての使用

崖や法面をコンクリートやモルタルで覆う工法を吹付工と呼びます。施工時にある程度の安定性が確保できる場合、崖面に対して施工します。

⑤コンクリート面の上塗りとして使用

壁の場合はクロスを貼ったり、床の場合はペンキを塗るなどの仕上げ施工が容易となります。

⑥断熱モルタルとしての使用

一般的な細骨材の変わりに軽量細骨材の使用や、微細な泡をモルタルに練り混むことで断熱効果を向上させたモルタルです。

建築物の内壁や天井面へ上塗りすることで、断熱効果の上昇や結露防止にもなります。

1-3. コンクリートとは

コンクリートとは、セメントペーストと細骨材(陸砂、山砂、砕砂など)、粗骨材(砂利、砕石など)、と混和剤を練混ぜて一体化した材料のことです。

コンクリートはJIS規格などをもとに、目標とする強度や流動性、耐久性、施工性などを考慮し配合設計します。

また、練混ぜ方法や練混ぜ時間も、JIS規格をもとに定められています。

コンクリートの概念図

コンクリートの使用用途

一般的に最も使用されているコンクリートは普通コンクリートと呼ばれ、建築や土木の世界で構造体として使用されています。

しかしコンクリートには、普通コンクリート以外にもいくつか種類があり、目的によって使い分けられています。

以下に代表的なコンクリートの種類を紹介します。

①舗装コンクリート

舗装コンクリートとは、道路に使用されているアスファルトの代わりに使用されるコンクリートです。

アスファルト舗装と比較して、維持管理や耐久性の面で優れていますが、養生に時間を要することや、走行時の騒音などで不利となる部分も持ち合わせています。

普段良く目にする場所では、自衛隊が使用する戦車用道路や、航空機の駐機場、高速道路の料金所などがあります。

②軽量コンクリート

軽量コンクリートとは、コンクリート全体の重量を軽くする為に使用されています。

普通コンクリート単位容積質量が、約2.3t/m3~2.4t/m3であるのに対し、計量コンクリートは、使用する細骨材や粗骨材を軽量なものへと変更することで、約20%~30%近く軽量化出来ることから、S造(鉄骨造)の高層ビルでの床や屋上の防水押え、橋梁の床版などに使用されています。

また普通コンクリートに対して、熱伝導率が約半分とされており、断熱効果も高いと言われています。

③重量コンクリート

重量コンクリートとは、密度の重い骨材を使用して製造されるコンクリートです。

コンクリート自身の単位容積質量が2.5t/m3~3.6t/m3ある為、放射線を外部に漏らさない遮蔽性を高める働きがあり、原子力施設や放射線治療の設備がある病院などに使用されます。

④高強度コンクリート

高強度コンクリートとは、普通コンクリートよりも圧縮強度の高いコンクリートのことを示します。

土木学会では設計基準強度が、50~100N/㎜2、建築学会では設計基準強度36N/㎜2

を超えるものとされています。

圧縮強度が高いことから部材の断面を小さくしたり、梁のスパンを大きく確保できる利点とともに、構造物の長寿命化にも大きく関わってくることから、近年高層構造物や橋梁などにも幅広く使用されています。

⑤高流動コンクリート

高流動コンクリートとは、高い流動性を持ったコンクリートで材料分離抵抗性にも優れています。

締固めをしなくても型枠の隅々まで行きわたることから、自己充填コンクリートとも呼ばれることがあり、過密鉄筋で容易な締固めが困難な箇所でも、材料の分離が無く密実なコンクリートを施工する目的で開発されました。

⑥流動化コンクリート

流動化コンクリートとは、事前に練混ぜられた普通コンクリートに流動化剤と呼ばれる混和剤を添加することで、単位水量(練り水)の量を変えずに流動性を向上させることが出来るコンクリートです。

ポンプ車の圧送性改善や、施工作業の効率向上を目的としますが、流動性の保持は20分~30分なので、施工時には適切な計画を立てる必要があります。

2. コンクリートとモルタルに骨材を入れる理由

コンクリート中で強度の発現、すなわち化学反応により固まるのはセメントペーストで、モルタルやコンクリート中の骨材どうしをくっつける糊のような役目を持っています。

では、モルタルやコンクリートに入る骨材はどの様な役割があるのでしょう。

2-1. 発熱の抑制

セメントが水と反応して固まっていく化学反応を「水和反応」と言い、この反応過程でセメントペーストは発熱を起こします。

大量のセメントペーストは、内部に熱を溜め込み100℃近い高温になることもあるのです。

この様に内部が高温になると、外気と接触する部分は大きな温度差によってひび割れを起こします。

セメントと違い化学反応を起こさない骨材を入れることで、反応するセメントが占めている割合を減らすことが出来、全体の発熱量を減らすことが可能になるのです。

2-2. 収縮の抑制

セメントペーストは、化学反応で発した熱により内部の水分が徐々に無くなり全体の容積が小さくなり少量縮む現象を起こします。

これを乾燥収縮といいます。

また、セメントと水の容積に対し、硬化後のセメントペーストの容積が小さくなる為、硬化初期の段階でも縮む現象があり、これを自己収縮と呼びます。

このふたつの収縮は、セメントペーストに対して起こる現象で、どちらもコンクリートに有害なひび割れを発生させる原因となります。

骨材を入れると、特に粗骨材がセメントペーストの収縮を抑えることで全体の収縮量を抑制出来ます。

また、セメントペーストの量も少なくなることからも抑制につながるのです。

乾燥収縮量については、今から30年前ではセメント量が大きな影響を与える、すなわちセメント量が多いほど乾燥収縮量も大きくなると言われていました。

その後セメント量より練り水の量が多いほど乾燥収縮は大きくなるということが一般論となり、減水剤と呼ばれる混和剤を使用し練り水の量を減らすことで収縮によるひび割れを抑制してきました。

しかし現在では、乾燥収縮量に大きな影響を与えるのは、セメントや練り水より骨材であるという説が主流になりつつあります。

骨材の乾燥時の収縮量が最もコンクリートの乾燥収縮に影響を与えるということから収縮量の少ない骨材を使用することでコンクリート全体の収縮量を抑制するという考え方に変わって来ています。

2-3. コスト

コンクリートを構成している材料を価格別に見ると、一般的にはセメントの価格が最も高くなります。

すなわちセメントペーストだけで構造物を建設すると、とんでもなく高価となり、建設材料として気軽に使用することは出来ません。

また、発熱や乾燥収縮も大きくなり有害なひび割れが入るリスクも増えてしまいます。

3. コンクリートとアスファルトの違い

アスファルトとは:

アスファルトは原油を精製して作られます。原油の蒸留には大きく分けて二つあり、原油を直接加熱して蒸留する方法と、重質留分を減圧して蒸留する方法です。まず原油を直接加熱することでガソリン、灯油、軽油などわけます。それで残ったものを蒸留することによりアスファルト、重油などになります。

アスファルトはそれ単体で使用することはなく、砂利、砂と混ぜ合わせて使用します。混ぜ合わさったものがアスファルト舗装になります。しかし、ただ混ぜ合わせるのではなく温度が重要になります。工場から作られるときは160℃程度になるまで加熱します。この程度まで高温しないと取り扱うことができません。アスファルト舗装を施工したあとは約50℃になるまで養生をし、温度が下がりきった段階で道路を開放します。

このように、コンクリートとは使用する材料、製造方法、施工方法は全く異なります。使用用途を比較すればその違いが明確にお分りいただけるでしょう。

3-1. アスファルトの使用用途

主な使用用途は「アスファルト舗装」いわゆる道路です。

アスファルト舗装の構成ですが、表面から表層、基層、路盤、路床になっています。アスファルトは表層、基層に使用され、路盤、路床は砕石になります。車の交通量によって異なりますが、表層、基層の厚さは何十センチもあるわけではなく、それぞれ5㎝程度になります。

コンクリートに比べて耐久性は劣りますが安価で施工が早いというメリットがあるので、道路では主にアスファルトが使用されています。

それ以外には、ビルやマンションの屋上部分で防水シートの代わりに使用されています。防水目的では古代エジプト時代から使用されていたようです。

4. コンクリートの歴史

4-1. コンクリートの始まり

コンクリートの歴史は、なんと約9000年前に遡ります。イスラエルのティベリアス湖(ガリア湖)の南で発掘されたイフタフ遺跡の床スラブから発見されたものが最古とされています。

古代の人々は、石灰石を焼けば生石灰になる。石膏を焼けば焼石膏になる事を偶然に知ったのでしょう。たとえば火災の後の床が非常に硬くなっている事から気づくとか。薪を上手く燃やせば石灰石の分解温度910℃(常圧)を得るのは、そう難しくはなかったはずです。

生石灰に水を加えると消石灰になり、自然と空気中の炭酸ガスを吸収して元の炭酸カルシウム(石灰石)になり硬化します。石膏の焼成温度はさらに低く150℃以上で、無水石膏または半水石膏になり、これを水と練り混ぜて放置すると元の二水石膏になり硬化します。これらを現代では気硬性セメントと呼んでいます。しかし、これは水に長い時間曝されると、徐々に溶けてしまいます。

9000年前と言えばヨーロッパではやっと集団で狩りが、南アジアの一部では定住化農業生産が始まった頃で、その頃、気硬性モルタルを用いていたとは考えにくく、おそらく放射性年代測定方法の不確かさによるものだと考えられています。

周辺の歴史から考えられる時代は4500年から5500年前くらいではないかと思います。エジプトでピラミッドが建設されていた頃です。

エジプトのピラミッドには主として石膏が使われたと言われています。僅かに石灰と砂が含まれていますが、これはその混入利率のばらつきから偶然に混入したと考えられます。古代のエジプト人は、生石膏を水で練り、ペースト状にしたモルタルを、巨石を丸太から降ろし、移動して設置する際の滑剤として使ったのではないかと考えられています。

結果として、この気硬性モルタルが巨石の目地の役目を果たしたのではないでしょうか。その目地が現在まで残っているのはエジプトの乾燥した気候が影響したのでしょう。

ローマンコンクリートの登場

この石灰や石膏を使った技術は、その後紀元前8世紀に勃興した王政ローマ(都市国家)から紀元前27年に始まった帝政ローマ帝国によって、劇的に進化する事になります。ローマンコンクリートの登場です。

政治的に利用された神殿・コロセウム、都市国家に必要な上下水道インフラ、そしてすべての道はローマに続くと言わしめた交通インフラの整備で、ローマ帝国の世界征服に大いに貢献するのです。

イタリアは日本と同じ火山国です。ローマ人はこの火山灰にアルカリと水を混ぜると硬化する「ポゾラニックアッシュ」を偶然に発見したのです。

生石灰に水を加えると、水和発熱して水酸化カルシウム作ります。ポゾラニックアッシュはこの水酸化カルシウムと反応して非常に強固な硬化体を形成します。

これを現代では水硬性セメントと呼び、古代エジプト・イスラエルで用いられていた気硬性セメントと区別します。これは水に長く曝されても溶け出しません。それどころか、湿潤な環境ではさらにその強さと耐久性を向上させてゆくのです。

上の写真はパンテオンですが、これは現在の鉄筋コンクリート造ではありません。ローマンコンクリート造なのです。型を作り、それに丹念に流し込んで十分に養生して成形したものです。これを現在の技術・鉄筋コンクリートで建造した場合、3000年の耐久性を保証する事は、私のみならず皆さんも自身が持てないでしょう。

また、下の写真はまだローマで使用されているヴィルゴ水道です。紀元前19年に建設されたと言われています。まだ使用されている事を考えるとその耐久性は、きれいな水が潤沢に供される環境ではその耐久性は十分に証明されています。

下の写真はローマから南に延びるアッピア街道です。路面の石をモルタルで安定させたように見えます。基礎に砂利が敷き詰められ、その上にローマン コンクリートを打設し、その上に石を並べた構造です。この強固な道路インフラが、ローマ軍の兵站組織を強固にし、世界征服に続く道となったのです。

4-2. 中世のコンクリート

しかし、この優れたローマン コンクリートは、ローマ帝国が滅亡に向かって歩み始めた約1400年以降、使われた形跡がありません。門外不出のまま滅亡したのでしょうか。

セメント・コンクリートの技術革新は、海洋国家戦略のイギリスに渡ります。1756年、エジーストン灯台を建設していたJohn Smeatonが海水に強いコンクリートを考案し、消石灰・火山灰・粘土を一緒に焼成するポルトランドセメントの原型を考案します。

その後イギリス リーズの煉瓦職人であったアスプジンが1824年の水硬性セメントの製法を発明し、特許を取得、それをポルトランドセメントと命名するまで、その歩みはなぜか止まってしまったのです。

4-3. 近代のコンクリート

近代のコンクリートと呼ばれるコンクリート技術としての大きな進展は、イギリス・リーズの煉瓦積職人ジョセフ・アスプディンが、1824年に水硬性セメント製造方法について特許を取るまで待たなければなりませんでした。これが今日のセメントの主流である「ポルトランドセメント」です。つまり、近代コンクリートの技術が開花するまでにパンテオンから1700年の歳月を要したことになります。

ポルトランドセメントの発明から半世紀に満たない1867年、フランスのジェゼフ・モニエが鉄筋コンクリートの原型となる技術を開発。また、同じくフランスの天才フレシネーがプレストレストコンクリートの可能性について、初めてその考えを公にしたのが1930年のことです。

それらコンクリート構造物の技術開発には、コンクリートの「配合設計」が必要になります。コンクリートに必要な強度を発現させる配合技術がこの時代に発明されたことが、人類の住環境をここまで発展させたことは間違いない事実です。

また、配合設計が確立した後の大きな技術革新は、化学混和剤の開発でしょう。現在使われている化学混和剤は,1932年アメリカで松ヤニを主成分とするAE剤が使用されたことが始まりとされており、日本では、第二次世界大戦後の1948年にAE剤が、1950年代初頭にリグニンスルホン酸塩やオキシカルボン酸塩を主成分とする化学混和剤の技術がアメリカより導入され、生コンクリートのフレッシュ性状や硬化コンクリートの強度・耐久性を著しく改善しました。

日本における近代コンクリート

ここで、日本における近代コンクリートについて少し話をします。1949年(昭和24年)~1954年(昭和29年)は、生コンクリート会社が我が国で誕生した草創期と言われる時代です。

この時代に誕生した生コンクリートプラントは、固定式ミキサを使用したセントラルミキシングプラントとトラックミキサを使用したトランシットミキシングプラントが混在しており、生コンクリートの輸送では、1951年(昭和26年)に犬塚製作所が現在の生コン車の原形となった傾動式のトラックアジテータを、続いて1952年(昭和27年)には金剛製作所が水平ドラム式のトラックアジテータを開発しました。

1961年(昭和36年)頃までは、固定ミキサは全て傾胴形のチルチング(可傾式)ミキサでしたが、翌1962年(昭和37年)にはパン型強制練りミキサが、昭和50年代の後半に入ると強制練り2軸のパグミル型が登場し、これらのコンクリート製造設備と運搬設備の技術開発が、近代コンクリートの普及に繋がり、高度成長期におけるインフラ整備に貢献しました。

生コンクリート会社の草創期以降、普通コンクリート以外に流動化コンクリート、高流動コンクリート、高強度コンクリート、舗装コンクリート、軽量コンクリートそして高強度繊維補強コンクリート等の特殊なコンクリート技術の研究が進み、近代のコンクリートとして現在に至っています。

4-4. 次世代のコンクリート

近年、コンクリートを用いた構造物を建設する場合、社会的な要求が大きく変わってきています。その一つがSDGs(持続可能な開発目標)に見られるように、環境問題や経済問題が社会の有り様として大きく注目されるようになってきています。

つまり、次世代のコンクリートは、地球や社会の持続可能性をキーワードにして開発されていくものと考えられます。ここでは、現在開発が行われている環境負荷低減型セメントと建設ロボットを使用したコンクリートについて説明します。

①環境負荷低減型セメント

国連の「環境と開発に関する委員会」が「Sustainable development」を初めて定義してから30年経過し、この間、人口が50億人から74億人に増えました。インフラ・建築物の建設のための素材であるセメントの生産量は、10億トンから46億トンに増加し、その結果、大量のCO2が排出されています。

コンクリートは、セメント、細骨材、粗骨材、混和剤および水で構成されます。このうち、セメントを製造する際に排出されるCO2量が圧倒的に多く、セメント1トンあたりの排出量が約750キログラムと、全体の99%を占めています。

地球温暖化防止対策の一環としてCO2削減を積極的に推進するためには、建物本体で低炭素化を図る必要があり、そのためCO2排出量が少ない低炭素セメントを用いたコンクリートが求められています。

日本では、このような背景のもと、NEDOプロジェクトにおいて大手ゼネコン7社と1大学の研究開発チームが、組織や業種の壁を乗り越えて連携し、高炉スラグをセメントと置換することで、エネルギー消費量とCO2排出量を従来セメントより6割以上も削減した「ECMセメント」の開発に成功しています。

また、カナダでは、最大15%の石灰石微粉末をセメントと置換したポルトランド石灰石セメントが規格化され、アメリカにおいても同様のセメントの製造が開発されています。

今後は、これら環境負荷低減型のセメントを使用したコンクリートが次世代コンクリートの主流となっていくものと思われます。

②建設ロボット・3Dプリンターコンクリート

今、海外では「コンクリート3Dプリンター」を使った「3Dコンストラクション」に挑戦する企業が増えています。インターネットで検索すると、そのプリント状況が放映されており、その技術進歩に驚くばかりです。

3Dプリンター建造物は、これまでの建設方法と比較して、コストが安く、工期が短く、作業に関わる人が少なくて済み、デザインに優れ、廃棄物が少ない、とメリットが多数あります。環境問題や経済問題が社会の有り様として大きく注目されている今日、コンクリート3Dプリンターの技術発展は必然的と言え、今後3Dプリンターを使用して造られたコンクリート構造物は益々増えていくでしょう。

コンクリート3Dプリンター

日本では、大林組、大成建設、前田建設が特殊なセメント系材料を用いた3Dプリンターを最近プレスリリースしましたが、まだ海外に比べれば実物件への導入は進んでいません。

理由としては、日本では地震大国で建物の強度に厳しいことと、建築基準法という規制があるため、建築物には使えないことが大きいでしょう。しかし、斬新で自由なデザインが可能な構造物が自動で製作できるので、インテリアや装飾的な用途で3Dプリンターの導入は進んでいくと予想されます。

5. 製造方法

5-1. コンクリートの製造

セメントに水を加えて混ぜたものをセメントペーストと呼び、そのセメントペーストに細骨材(砂)を混ぜたものをモルタルと呼びます。

一方生コンクリートは、セメント、水、細骨材(砂)、粗骨材(砂利、砕石)、化学混和剤を練り混ぜて製造されます。

これら各材料の量は、目標強度や施工性、耐久性などを考慮し決定され、これを配合と呼びます。

一般的にまだ固まらないコンクリート(レディーミクストコンクリート)は、バッチャープラントが設置された生コン工場で製造し、アジテータトラックで現場まで輸送しますが、建設現場で直接製造する現場練りコンクリートも条件によって行われることがあります。

生コンプラント

現場練りコンクリートを使用する例としては、山中のダム工事など近隣に生コン工場が存在しない為、生コンの供給が不可能な場合などがあります。

その様な条件の現場で、大量のコンクリートを使用しなければならない場合は、バッチャープラントと同様な性能を持ち、かつ移動可能な「モバイルプラント」を現場に設置し生コンクリートを製造します。

モバイルプラント

5-2. 製造手順

一般的なバッチャープラントで、コンクリートを製造する為の設備は、

  1. 材料貯蔵設備
  2. 材料輸送設備
  3. 材料計量設備
  4. 材料練り混ぜ設備

の4つに分けることが出来ます。

①材料貯蔵設備

材料を一時的に貯蔵しておく設備です。セメントは品種別、製造メーカー別にセメントサイロに貯蔵されます。

細・粗骨材は骨材ヤードや骨材サイロに貯蔵されます。化学混和剤は、品種別、製造メーカー別にタンクに貯蔵します。水は、タンクに貯蔵します。

②材料輸送設備

貯蔵した各材料をバッチャープラント内貯蔵ビンへ輸送する設備です。

セメントは、バケットエレベーターや空気圧送を使用し、細・粗骨材はベルトコンベアにより輸送されます。水は、ポンプにより輸送されます。

③材料計量設備

貯蔵ビンの材料を電気式計量器(ロードセル)を使って計量します。化学混和剤は、ポンプにより直接計量器に送られます。

④材料練り混ぜ設備

各計量された材料はミキサーと呼ばれる練り混ぜ装置を使用し、材料が均等になるまで練り混ぜられます。

ミキサーの種類には、重力式、強制練り混ぜ式、連続式などがありますが、一般的なバッチャープラントでは、瞬発力の高い強制二軸式が設置されていることが多いようです。

練り混ぜ方法には、ほぼ同時に全材料を投入し練り混ぜる「一括練り」や、セメント・水と細骨材を先行練り後、粗骨材を後投入し練り上げる「SEC練り」、セメントを一次水、二次水で分割練りしたセメントペーストに、細骨材、粗骨材を投入し練り上げる「pMp製法」などがあります。

pMpプラント

5-3. プレキャストコンクリートの製造

現場に移動し組み立て・設置する目的で、専用の工場で製造した製品や、これを用いた工法をプレキャストコンクリートと言います。

一般的には型枠や鉄筋を組んだ後、そこに、まだ固まらないコンクリートを流し込んで蒸気などで養生し製品とする製造方法です。

また、ゼロスランプの硬いコンクリートに振動締固めを行い成型する、即脱製法などもあります。

パイルやポールなどを製造する場合は、型枠ごと高速回転させる遠心力により成型する製法が使われています。

6. コンクリートの施工手順

製造された生コンクリートは、一般的にはミキサー車に積み込まれて現場に運ばれ、型枠の中に流し込まれることでコンクリート構造物を形づくります。

しかし、ただ流し込めばよいわけではなく、良いコンクリート構造物を作るためには入念な準備と計画、正しい作業手順が必要です。

コンクリートの打設は以下のような手順で行われます。

  1. 打設前の打ち合わせ(打設計画)
  2. コンクリートの打設工法の選定
  3. コンクリートの打込み準備
  4. コンクリートの受け入れ検査
  5. コンクリートの打込み
  6. コンクリートの締固め(⑤⑥⑦は並行して行われます)
  7. コンクリートの仕上げ

6-1. コンクリートの打設工法

コンクリートの打設工法は、主にコンクリートポンプによる打設とコンクリートバケットによる打設の2種類に分かれます。

コンクリートポンプによる打設は、ポンプ車に荷卸しされた生コンクリートに圧力をかけて、配管を経由して送り出す方法で、様々な性能や大きさのコンクリートポンプ車がある現在では主流の工法となっています。

一方、コンクリートバケットは比較的小規模の打設や固練りのコンクリートを使用する際に用いられます。

6-2. コンクリートの打設準備

コンクリートの打設前には、様々な確認・準備作業が行われます。

まず、鉄筋のかぶり厚さがきちんと確保されているか、図面通りの配筋や埋め込み金物、設備配管などの位置になっているかなどが確認されます。

そして、型枠内に木片やごみなどの異物があれば取り除き、型枠が乾燥しているようであれば散水を行います。

生コンクリートが現場に到着すると、荷卸しの際に品質が規格通りであるか受入検査が行われます。

主な受入検査としては、生コンクリートの軟らかさを確認するスランプ試験、含まれる空気量を測定する空気量試験、鉄筋の錆びのもとになる塩化物量の含有量を測定する塩化物試験、固まった後の強度を確認するための試験体を取る作業などがあります。

6-3. コンクリートの打ち込み、締固め

コンクリートの打ち込みは、材料の分離や打ち込み高さ、打ち重ね時間などに留意して行われます。

材料分離は充填不良(ジャンカ)やひび割れの原因となり、また打ち重ね時間が空きすぎると先に打ち込んだコンクリートと後から打込んだコンクリートが一体化せず打ち継ぎ(コールドジョイント)が生じてしまいます。

打ち込んだコンクリートは振動をかけて締め固めることで型枠の隅々に充填し、密実な良いコンクリート構造物になります。

締固めには一般的に棒状振動機(バイブレーター)や型枠振動機、突き棒を用いて行われます。

締固め作業の際には、ジャンカや空隙などの充填不良、コールドジョイントが生じないように意識することが重要です。

6-4. コンクリートの仕上げ

打ち込まれたコンクリートは、最後に表面の凹凸をコテなどで均し、奇麗な表面に仕上げられます。

金ゴテなどで強固に締め固められることでコンクリート表面は非常に緻密な組織になり、劣化しにくい耐久性に富む構造物になります。

コンクリートの打設手順については「コンクリートの打設手順の解説」こちらの記事で詳細を解説しているので参考にしてください。

まとめ

ここまで、セメントペースト、モルタル、コンクリートの違いについて、特性や用途別に説明してきました。

よくメディアなどでもモルタルとコンクリートを混同して伝えられていることがあります。

確かに、セメントペーストやモルタル、コンクリートには共通してセメントが主要材料として使用されていますが、実は用途などを含め違うものだということがお分かりいただけたのではないかと思います。

コンクリートの歴史は古く約9,000年前に遡ると言われています。

今でもコンクリートに代表されるセメントを主原料とした製品は、施工のしやすさやコストの面からも、世界で最も多く使用されている土木、建築材料なのです。