流動化コンクリートとは|歴史・製造方法・注意点など基礎知識まとめ

流動化コンクリートとは、あらかじめ練混ぜられた単位水量の少ない硬めのコンクリートに、流動化剤を加えることによって、流動性の良い、いいかえればスランプの大きいコンクリートとしたものです。

流動化剤とはいわゆる高性能減水剤のことで、使用されるようになった背景にはこの高性能減水剤の開発が欠かせません。

ここでは、はじめに流動化コンクリートの歴史を紐解き、わが国で使用されるようになった背景と、現在の製造方法や施工方法関する注意点について説明します。

1.流動化コンクリートの歴史

流動化コンクリートは、1971年頃西ドイツで硬練りコンクリートの施工性改善を目的として考案されました。最初は、リグニンスルホン酸アンモニウム塩で流動化したもののうまくゆかず、メラミン系の高性能減水剤を使用して成功したといわれています。1974年には、西ドイツ鉄筋コンクリート協会に設置された委員会により、その製造方法と施工方法に関する指針が作成され、流動化工法が世界的に知られるようになりました。

流動化コンクリートに使用する分散効果の高い混和剤は、わが国ではすでに昭和30年代後半(1965年頃)に開発されていましたが、これは主にコンクリート二次製品用の高強度コンクリート用混和剤として用いられ、硬練りコンクリートの流動化を目的としては使われていなかったようです。

昭和41年頃から、わが国では経済の高度成長に伴い工事量も急増し、ポンプ工法が普及してきました。ポンプ工法は、作業員の省力化、工事短縮によるコストの低減等、利点が多くありましたが、硬練りコンクリートではポンプ圧送の効率が悪く、軟練りコンクリートが求められました。その結果、単位水量、単位セメント量、細骨材率の増大をもたらし、建造物のひびわれ多発の原因となりました。

ひび割れは、当時においてもコンクリート構造物の美観に加えて耐久性上からも問題視され、硬練りコンクリートへの復帰が強く要請されました。その結果、日本建築学会のひびわれ対策指針(昭53)では、基礎、はり、床スラブのスランプは12cm以下、柱、壁は15cm、単位水量は170kg/m3以下とするように規定し、土木においてもスランプは5~12cmを標準的に用いるようなりましたが、ポンプ施工を行うには非常に問題がありました。

しかし、このような状況下で、単位水量の少ない良質の硬練りコンクリートをその品質を保ちながら打込み直前に現場で流動化させ、直ちに打込む流動化コンクリートが注目されるようになり、昭和58年には建築学会で、翌年の59年には土木学会において施工基準が制定され現在に至っています。

2.流動化コンクリートの製造方法

製造方法には、次の三つの方法があります。

①生コンプラントから運搬したコンクリートに工事現場で流動化剤と添加し、均一になるまで攪拌して流動化する。

流動化のための攪拌には、トラックアジテータをそのまま用いて所定時間高速攪拌するか、工事現場内にミキサなどの練混ぜ設備を設置して流動化させる。

②コンクリートプラントでトラックアジテータ内のコンクリートに流動化剤を添加し、直ちに拘束攪拌して流動化してから運搬する。

③コンクリートプラントでトラックアジテータ内のコンクリートに流動化剤を添加し、低速でアジテートしながら運搬して、工事現場に到着後高速攪拌して流動化する。

図―1 流動化コンクリートの製造方法

流動化コンクリートと似た言葉で高流動コンクリートがありますが、両者は全く違うので注意してください。高流動コンクリートは、コンクリート配合そのものを調整し、フレッシュ時の材料分離抵抗性を損なうことなく流動性を高めたもので、一般的にはスランプフローで管理します。

建築学会では、高流動コンクリートの規定の新設によって、1993年版以前のJASS5に示されていた工場流動化方式(図―1の②および③)の存在意識が薄くなり、高流動コンクリートと混同するおそれも出てきたので、工場流動化方式を削除し、流動化のための攪拌はすべて工事現場で行うことに改めました。

3.流動化コンクリートの製造時の注意点

①生コン工場の選定はできるだけ運搬時間の短い工場とする。

流動化コンクリートは、流動化時期が遅くなるほど流動化後のスランプ低下が大きくなる性質があります。よって、打込み管理に影響を及ぼすおそれがあるので、ベースコンクリートの運搬時間をできるだけ短くする必要があります。

②液体の流動化剤は原液で使用する。

流動化剤を水で希釈して使用すると、コンクリートに後添加される水の量が増えてしまいます。この結果、強度やその他の性能に悪影響を及ぼしかねません。よって、流動化剤は水で希釈せずに使用しなければなりません。

③流動化剤は質量または容積で正確に計量する。

流動化剤が液体である場合は、質量または容積のいずれかで計量することとし、計量誤差はJIS A 5308 の混和剤の計量誤差の規定と同じく、1回の計量分量の3%以内にする必要があります。

4.流動化コンクリートの施工時の注意点

①流動化してから打込み終了までの時間をできるだけ短くする。

流動化コンクリートは、一般に流動化後のスランプ低下が大きいため、流動化してから打込み終了までの時間をできるだけ短くするように打込み計画を立てる必要があります。外気温が25℃未満の場合は30分以内、25℃以上の場合は20分以内とすることが望ましいといわれています。

②打ち重ね時間間隔を適切に管理しなければならない。

流動化コンクリートは、型枠に打込んだ後の流動性の低下が速いので、打ち重ね時間が長くなるとコールドジョントが発生しやすくなるので注意を要します。

③十分な締め固めが必要である。

流動化コンクリートは、締め固めが不十分であると、空洞やジャンカなどの欠陥が生じやすくなります。そのため、適切な振動機を用いて、通常のコンクリートと同等以上に十分な締め固めを行う必要があります。

5.流動化剤の品質

流動化剤には標準形と遅延形のものがあり、ベースコンクリートに使用されるAE剤、減水剤等の相互作用によって悪影響を与えないように選定しなければなりません。

遅延形の流動化剤は、添加量が多い場合やベースコンクリートに遅延形減水剤を用いた場合には、遅延性が大きくなるとともに耐久性が低下することもあるので注意が必要です。

6.まとめ

近年、建設物の耐震性向上に伴い、コンクリート構造物は高密度配筋や締め固めが困難となる箇所が多くなり、流動性の高いコンクリートが求められています。流動化コンクリートを採用する場合は、製造と施工時の注意点をよく理解し、適切な計画を立てましょう。