高強度コンクリートとは|特徴・製造方法・施工方法まとめ

一般に使用されているコンクリートより、圧縮強度の高いコンクリートを高強度コンクリートと呼んでいます。高強度コンクリートは、主に高層建築物の柱部や土木構造物では橋梁などに適用事例が増えてきています。

高強度コンクリートは普通コンクリートに比べ、部材の断面を小さくできるため、重量負担の軽減やスパンの広さを大きく確保できます。また、低水セメント比なので緻密で高耐久のコンクリートとなります。

ここでは、高強度コンクリートの概要について説明します。

1. 高強度コンクリートとは

高強度コンクリートの適応範囲は、建築と土木では異なります。建築分野では、日本建築学会の建築工事標準仕様書・同解説JASS5で「設計基準強度が36N/㎜2を超えるコンクリート」と規定されています。ここで、36N/㎜2は含まれないので注意して下さい。

土木分野では、土木学会のコンクリート標準示方書で「設計基準強度50~100N/㎜2のコンクリート」を高強度コンクリートとしています。

また、日本工業規格のJIS A 5308では「呼び強度50、55、60」が高強度コンクリートとして定められています。

2. 高強度コンクリートの特徴

高強度コンクリートは、使用するセメント量が多く水が極端に少ないのが特徴です。そのため、施工時の作業性(ワーカビリティー)を確保するには技術的な要素が必要になります。

このようなことから,高強度コンクリートには以下のような特徴があります。

  1. フレッシュ性状の粘性が大きいため、材料分離抵抗性は高くなりますが,作業性(ワーカビリティ)は低下します。
  2. 外気温やコンクリート温度が高い時期、又は部材断面の大きい箇所に使用する場合は、早い時期に高温履歴を受けて長期の強度増進がほとんど見込めないため、低発熱系のセメントを検討が必要になります。
  3. 火災が起きた際に、高強度コンクリートは緻密なため、水分の逃げ道がなく爆裂を起こしてしまうことがあります。これは、強度が高くなればなるほど爆裂の危険性は増します。対策としてはポリプロピレンなどの繊維を混入することで爆裂の防止を図ります。繊維は高温になると溶けるため、溶けた部分が空隙なり水分の移動できる道を作ります。
  4. セメント量が多いため、自己収縮は普通コンクリートより大きくなります。
  5. 低水セメント比で緻密になるため、中性化はほとんど進行しません。

3. 高強度コンクリートの製造

高強度コンクリートを製造する上で、使用する材料は普通コンクリートと大きく異なりませんが、配(調)合やフレッシュ性状、耐久性の面から、以下の点に注意が必要です。

3-1. セメント

一般的にセメントは、普通ポルトランドセメントを使用する場合が多いですが、設計基準強度60N/㎜2以上では、低発熱系の中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメントが多く使用されています。また、設計基準強度80N/㎜2以上になると粒子が細かく形状が球形のシリカヒュームを結合材の一部として使用することで、流動性を向上させたり、強度を高めたりする効果が期待できます。

3-2. 骨材

粗骨材は、砂利より砕石の方が適しています。これは、砂利は形状が良いため流動性は向上しますが、セメントペーストとの付着強度は砕石の方が良く、所要の強度を得るには有効になるからです。

さらに、骨材の岩種でも影響するため、一般には安山岩の砕石を使用した場合の方が石灰岩の砕石を使用した場合より強度は高くなります。また、骨材のアルカリシリカ反応性試験で無害と判定された骨材を使用しなければなりません。

3-3. 水

練混ぜに用いる水は回収水を使用してはならないとされています。

3-4. 混和剤

粘性が大きくても流動性の良いコンクリートを確保するために、減水率が高くかつスランプ保持性に優れた高性能AE減水剤を使用することが有効になります。現在は、高分散性及び高機能性に優れたポリカルボン酸系を主成分とした高性能AE減水剤が主流となっています。

また、高性能AE減水剤は外気温やコンクリート温度により使用量調整しなければなりません。使用量を増やすと流動性は大幅に増しますが、過多な量を使用すると凝結が遅れる傾向にあるので、冬期の施工では支障が生じる場合があります。

逆に使用量が過少な場合は、スランプロスが大きくなり所要のワーカビリティーを確保しにくくなるので注意が必要です。

3-5. 空気量

普通コンクリートの空気量は4.5%ですが、高強度コンクリートの空気量は2.0~3.0%程度に設計する場合が多いです。これは、空気量が1.0%多くなると圧縮強度が4~6%低下するので、強度を確保するために空気量を下げて設計しています。しかし、凍害を受ける恐れがある場合は、凍結融解作用に対する抵抗性を確保するために空気量4.5%を標準としています。

4. 高強度コンクリートの施工

高強度コンクリートは粘性が大きく、ブリーディングが少ないため、施工時の注意点は通常の施工時の他に、以下の点が考えられます。

  1. ポンプ車を使用して施工する場合は、圧送負荷が大きいため、スランプロスが大きくなる傾向があるので注意が必要となります。
  2. コンクリートバケットを使用する場合は、ポンプ車のような圧送負荷によるスランプロスは生じないが、打込み速度が遅くなるので打ち継ぎなどの不具合が生じないよう計画時の検討が必要となります。
  3. 締固めには振動機を用いますが、粘性が大きいため締固め範囲が小さくなる傾向にあります。また、高層のRC建築物では配筋量も多くなるので、確実に充填できるよう締固めを念入りに行う必要があります。
  4. 上面のコテ仕上げは、ブリーディング水が少ないことから上面が急激に乾燥し、均しが困難になりますので、散水などを行い仕上げます。また、散水は50~100g/m2の量だと中性化の進行に問題ないとされています。
  5. 上面の押さえ完了直後のプラスチック収縮ひび割れを防止するために、散水や養生シートなどによる対策が必要となります。

5. 建築基準法について

平成12年6月1日に施行された建築基準法の改正によって、建築物の基礎、主要構造物、その他安全上重要である部分に使用する指定建築材料は、日本工業規格(JIS規格)のJIS A 5308に適合するもの、または国土交通大臣が指定建築材料として認定したものでなければなりません。

認定は当初、技術的な観点から建設会社と生コン工場との共同申請による取得が主流でしたが、現在は、実積も蓄積されてきたことから工場単独での認定取得が増えてきています。

6. 大臣認定取得について

主に大臣認定取得に関する実験は、水セメント比3点以上で実機試験練りを行い、模擬構造体を作成します。この作成した模擬構造体からコア供試体を採取し、標準養生供試体(m日)の圧縮強度と構造体コンクリートを保証する材齢(n日)における圧縮強度の差を求めます。

この求めた差をS値(mSn)と呼び、設計基準強度に加算して管理強度を算出します。実験は、夏期、標準期、冬期と季節別に実施し、実験結果をもとに標準配合、S値、使用材料の品質基準値、製造マニュアルなどを含めた申請図書を作成します。

申請図書は作成後、認定機関へ提出し審査委員会の承認を受けます。この審査委員会承認後に、国土交通省へ申請し審査を受けて承認されれば大臣認定取得となります。

実験開始から認定取得までの期間は、おおよそ1年半~2年ほどになると思います。

ただ、現在は官報で告示されたS値を使用すれば、模擬構造体の作成が不要になり季節別の実験を行わなくても認定取得が可能となっています。これは、実験期間の短縮、模擬構造体の作成費用などの利点があります。

7. まとめ

構造物の高層化や大型化に伴い、高強度コンクリートを使用する割合は年々増加しています。しかし、高強度コンクリートは粘性が大きいことからワーカビリティーが損なわれることがあります。これは、製造の面で品質を確保しなければ施工性の低下を招いてしまうことになります。

高性能AE減水剤を使用する高強度コンクリートは、気温によって変化する使用量の調整を最適に行わなければなりません。流動性が保たれた高強度コンクリートを製造することで施工欠陥を生じさせないことが大切です。