舗装コンクリートの基礎知識|アスファルト舗装と何が違うのか?

一般的に舗装と言われてすぐに思いつくのが、よく目にする黒い色のアスファルト舗装ではないでしょうか。舗装コンクリートと言われてもほとんどの方がその存在そのものを知らないかもしれません。たしかに、見渡してみるとそのほとんどがアスファルト舗装だと思います。では、舗装コンクリートは一体どのようなもので、どこで使われているのでしょうか?

ここでは、そんな舗装コンクリートについて説明していきたいと思います。

1. 舗装コンクリートとは

舗装コンクリートは、セメント・砂・砂利等を練り混ぜて造られたコンクリートによって舗装されたもので、一般的なコンクリートは圧縮強度で管理されますが、舗装コンクリートに作用する主な応力が曲げ応力である事から、曲げ強度を基準として管理されています。

日本工業規格のJIS A 5308の舗装コンクリートでは「呼び強度 曲げ4.5」として規定されています。

コンクリート舗装は、1912年の名古屋大須観音入口で日本で初めて施工され、関東大震災(1923年)以降に道路で使われるようになりました。

しかし、コンクリート舗装は高耐久で、原材料に使われる石灰石(セメントの原料)は国産で入手が可能であるというメリットがありましたが、震災の復旧を急ぐ状況では、工事費が安く、施工後数時間で使用できるアスファルト舗装が便利であった為、アスファルト舗装が多く採用されました。

第二次世界大戦後は、コンクリート用の混和剤(AE剤)が開発されたことで施工性が改善し、アメリカ流のコンクリート舗装が採用されました。

1950年代、建設省の直轄直営の時代にコンクリート舗装は最盛期を向かえましたが、直営工事から請負工事への転換期において、アスファルト舗装化が進みました。これは前述した安い、早いといったメリットだけではなく乗り心地や補修性が重視された結果でした。

その結果、国交省による「道路統計年報2012」によると、日本国内のコンクリート舗装は全体のわずか4.5%程度となっています。

しかし、近年では、アスファルト高騰によるコスト高やライフサイクルコスト(生涯費用)の重要性が見直されてきたため、コンクリート舗装の採用が検討されやすくなってきています。

2. 舗装コンクリートの特徴

舗装コンクリートは、アスファルト舗装と比較して以下の表のような特徴を持っています。また、舗装コンクリートの長所・短所について説明していきたいと思います。

 

表 コンクリート舗装とアスファルト舗装の比較

項 目

コンクリート舗装

アスファルト舗装

説  明

初期費用

高い

低い

近年ではアスファルトの高騰によって価格差は、かなり縮小されてきました。

ライフサイクルコスト

低い

高い

コンクリート舗装はその耐久性から、維持補修の回数は少ないですが、アスファルト舗装では、わだち掘れや流動等によって維持補修が多くなります。

設計期間

20年

10年

一般にコンクリート舗装は耐久性の高さから、設計期間が長くなっています。

施工性

悪い

良い

コンクリート舗装は大規模な施工箇所が多い事から、小規模工事などの汎用的な施工機械が少い。アスファルト舗装では、舗装の規模によって施工機械が充実している。

補修性

悪い

良い

コンクリート舗装では補修頻度は少ないものの補修の日数が長くなる傾向があり、アスファルト舗装では補修頻度こそ高いですが、補修にかかる日数は短い。

工事期間

長い

短い

コンクリート舗装は養生を行う日数だけ長くなり、アスファルト舗装では養生がいらない為、交通解放を早く行う事が出来る。

乗り心地

(初期)

悪い

良い

コンクリート舗装はひび割れ制御の為に、目地を設けている為、乗り心地は悪くなります。

乗り心地

(長期)

良い

悪い

コンクリート舗装は摩耗や変形が少ないため、長期においては乗り心地が損なわれず安定しているが、アスファルト舗装では、わだち掘れや変形によって乗り心地が悪くなっていきます。

照明費用

低い

高い

コンクリート舗装は白色系の為、照明によって明るく見えますが、アスファルト舗装では黒色系の為、暗くなることで照明費用に差がでます。

環境性能

(燃費)

良い

悪い

コンクリート舗装は路面の転がり抵抗が小さく、アスファルト舗装では路面の変形が大きい為、転がり抵抗が大きくなります。転がり抵抗が小さくなれば燃費性能が向上します。

環境性能

(温度)

低い

高い

コンクリート舗装は白色系の為、路面温度が低く、アスファルト舗装では黒色系の為路面温度が高くなります。

環境性能

(騒音)

高い

低い

コンクリート舗装には短い間隔で目地が設けられている為、走行時の騒音に影響します。

 

3. 舗装コンクリートの長所

①高い耐久性

コンクリート舗装は、アスファルト舗装では得られない「耐流動性」、「耐摩耗性」、「耐油性」、「耐熱性」を有しているほか、コンクリート特有の「耐荷力」も備えています。その為、維持補修が少なく、長期供用が可能となります。この特性を生かし、維持補修を行う事が困難なトンネル内や急勾配での坂道、その耐荷力や耐流動・摩耗性から空港エプロンやコンテナヤード、大型車両の交通量が多く、舗装に与える負荷が大きいところに適用されています。

②ライフサイクルコスト(生涯費用)

コンクリート舗装はその高い耐久性から、維持補修の頻度が少なくランニングコストが低い為、初期費用が高くなったとしても経済的な舗装といえます。また、コンクリート舗装は白色に近いため照明の路面反射率が高く視認性がよいことから照明に係る費用の削減効果も期待できます。

③路面温度の低減

路面の温度は太陽光によって暖められることで温度が上昇しますが、その温度上昇は対象の色によって変わってきます。白い面では太陽光の吸収率は低く温度が上がりにくいですが、黒い面では吸収率が高いため、温度が上がりやすくなってしまいます。その為、黒色のアスファルト舗装に対し、白色のコンクリート舗装は路面温度が低減され、夏場の路面温度では、コンクリート舗装の方が約10℃程度温度が低くなると言われています。

④燃費向上

コンクリート舗装では、大型車の燃費が向上すると言われています。これは、路面の転がり抵抗及び平坦性が大きく関わっており、転がり抵抗が小さく平坦性が保持されているほど燃費性能は向上します。

一般にアスファルト舗装はコンクリート舗装に対して重車輌が載った時に路面が変形しやすく、転がり抵抗が大きくなってしまいます。また、供用後時間の経過に伴い、わだち掘れや流動減少によって平坦性が低下する為、燃費性能が低下してしまいます。

それに対し、コンクリート舗装は剛性にすぐれている為、転がり抵抗が小さく、変形や劣化が少ない為、平坦性が保持され燃費が向上します。

4. 舗装コンクリートの短所

①施工性

舗装コンクリートは、長い養生期間が必要になってしまう為、交通解放までの期間が長くなってしまいます。その為、初期費用も安く早期に交通解放を行う事が出来るアスファルト舗装が多く選択されてきました。近年ではその弱点を補うべく、早期交通解放型コンクリート舗装(1DAY PAVE)や転圧コンクリート舗装(RCCP)等が開発され改善されてきています。

②乗り心地や騒音・振動等

一般のコンクリート舗装は、適切な間隔で横収縮目地が設けられるため、走行時に振動や騒音等が発生してしまいます。しかし、現在では目地を設けない連続鉄筋コンクリート舗装(CRCP)によって、走行時の乗り心地がよく、騒音・振動を軽減する効果が期待できます。

③補修性

コンクリート舗装そのものは適切な設計や施工が行われれば、良好な路面性状を長期間維持する事が可能です。一方で、コンクリート舗装に関する経験や知識が不足している場合や、予期しない気象条件や、交通条件に晒されることで破損する場合もあります。コンクリート舗装そのものの補修工法は多数ありますが、コンクリート舗装の種類や損傷状況に応じた補修を行うには専門的な知識が必要になります。

5. 舗装コンクリートの種類

一口に舗装コンクリートといっても、その種類は多種多様です。コンクリート舗装には長所だけではなく短所もあり、この短所を改善すべく多くのコンクリート舗装が開発されてきました。

ここでは舗装コンクリートの種類について説明していきたいと思います。

①普通コンクリート舗装

最も一般的に用いられているコンクリート舗装で、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)に規定されている舗装コンクリートを用いて施工されます。工法としては、型枠内に人力等で敷き均し、振動機等によって締め固めて仕上げるセットフォーム工法が一般的ですが、型枠を用いないスリップフォーム工法で施工されることもあります。用いられるコンクリートはスランプ2.5㎝又は6.5㎝の硬練りで、厚さは一般に15~30㎝程度、また、適切な間隔で横収縮目地が設けられます。

②連続鉄筋コンクリート舗装(CRCP)

連続鉄筋コンクリート舗装は、縦方向に連結した鉄筋を配筋されたコンクリート舗装で、鉄筋によってコンクリートを拘束し、ひび割れの発生間隔を短く分散してひび割れ幅を小さくすることで、横目地を作らないという特徴をもったコンクリート舗装です。ひび割れを分散しひび割れ幅を小さく抑えることで、内部の鉄筋の腐食や路盤支持力の低下を防止するほか、横目地がないことで、振動や騒音が軽減され走行時の乗り心地も改善されています。

②転圧コンクリート舗装(RCCP)

転圧コンクリート舗装は、アスファルト舗装と同様の施工機械を用いて施工するコンクリート舗装です。用いられるコンクリートは一般的な舗装コンクリートで用いられるスランプ2.5㎝又は6.5㎝より単位水量の少ない硬練りのコンクリートを高締固めアスファルトフィニッシャで敷き均し、タイヤローラ等で締固めて仕上げられます。アスファルトで用いられる施工機械を使用する為、施工性がよく従来のコンクリート舗装に比べて省力化を図ることが可能となるほか、転圧によって施工初期の段階で耐荷力の優れたコンクリートが得られるため、一般のコンクリート舗装に比べて早期の交通解放が可能となります。

③早期交通解放型コンクリート舗装(1DAY PAVE)

1DAY PAVEは特殊な材料を使用せず、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)等に適合する一般的な材料を用いたコンクリートを使用し、コンクリート打設後の養生期間が1日での交通解放を可能としたコンクリート舗装です。一般的なコンクリート舗装で用いられるスランプ2.5㎝又は6.5㎝のような硬い配合ではなく、スランプ8㎝程度からスランプフロー40㎝程度までの流動性の高いコンクリートが用いられ、補修工事や交差点の打替え工事等、長期にわたって交通規制を行う事が困難な箇所に適用されます。このコンクリート舗装は人力施工を前提としている為、比較的小規模の現場に適しています。

④ポーラスコンクリート舗装

ポーラスコンクリート舗装は、コンクリート内部に空隙を保持したコンクリート舗装で、コンクリートをポーラス化(多孔質化)することによって、排水機能や透水・保水機能、騒音低減機能等を付加した舗装です。また、ポーラスコンクリートがもつ保水機能によって路面温度を低下させる事も可能になります。

⑤コンポジット舗装

コンポジット舗装は、下層にコンクリート舗装を敷き、その表層にアスファルト舗装を施したハイブリッドな舗装になります。この舗装は、コンクリート舗装のもつ高い耐久

性とアスファルト舗装のもつ良好な走行性と維持補修の容易さを併せ持った舗装で、通常のアスファルト舗装より長寿命化が期待できます。

6. まとめ

日本の道路総延長は平成27年4月1日現在120万㎞を超えていますが、その大半は皆さんがよく目にするアスファルト舗装でしょう。しかし、安くて早いと多用されてきたアスファルト舗装も、その多くが補修を必要とし、その費用も莫大なものとなりつつあります。

今後は高い耐久性と長寿命なコンクリート舗装が増え、舗装といえば「コンクリート舗装」という時代が来るかもしれません。