コンクリートに塩害が発生するメカニズムとは?対策と対処法も

コンクリート構造物を蝕む塩害の被害はその状態変化が外観からは非常にわかりにくいものです。錆び汁やコンクリートの剥落などが発生してから気づいたのではすでに手遅れという事態にもなりかねません。

この記事では、コンクリート構造物の塩害が発生するメカニズムについてまとめてみました。

1. なぜ塩害は発生するのか

そもそもコンクリート構造物の塩害とはコンクリート中の鉄筋が錆びる事で膨張し、ひび割れや表面の剥がれ(剥落)を起こすことを言います。

通常コンクリート中の鉄筋は強いアルカリ性に保護され、表面に緻密な膜(不動態被膜)を形成し錆びない状態になっています。

ところが、コンクリートに含まれる塩分の濃度が一定以上になってしまうと鉄筋の不動態被膜が破壊され腐食が始まります。

1-1. 塩害はコンクリートの劣化に直結する

塩害によるコンクリートの劣化現象は、中性化と共に鉄筋に沿って錆び汁をともなったひび割れや剥離、鉄筋の露出などとして現れます。

さらに補修を施しても経年とともに再劣化する可能性が高いと言われています。

2. コンクリート構造物を蝕む塩害のメカニズム

コンクリートを蝕む塩害のメカニズムについてもう少し詳しく見ていきましょう。

2-1. 塩害のメカニズム

コンクリート内の鉄筋はセメントの水和物によって多量の水酸化カルシウムが供給されるため非常に高いアルカリ性の状態に保たれます。これにより鉄筋が不導体被膜という保護膜で覆われるため錆びることはありません。

しかし塩化物イオンが一定量を超えてコンクリート中に存在するとこの被膜が破壊されてしまいます。そしてコンクリート表面から浸透した酸素や水分がそこに触れることで腐食、錆びが始まります。

2-2. 最初から含まれる塩分と外から浸透する塩分

コンクリート中の塩化物イオンの濃度が高まる要因としては、最初からコンクリートに含まれる塩分と外から浸透する塩分があるといわれています。

最初から含まれる塩分としては洗っていない海砂の使用や、コンクリートを早く固めるために塩化ナトリウムが使用されたなどの要因が考えられます。

外から浸透する塩分は海水や潮風、道路に撒かれた凍結防止剤に含まれるものなどが要因として考えられます。

鉄筋は塩分があれば即ち錆び始めるというものではなく、限度量を超えることがなければ腐食が始まることはありません。

このことから塩分濃度が変化しない最初から含まれる塩分より時間経過と共に徐々に濃度が高まる外から浸透する塩分の方がコンクリート劣化の大きな要素になると考えられます。

2-3. 塩害による劣化

外から来る塩分はコンクリート構造物の表面から少しずつ内部へ浸透していきます。

浸透した塩分はやがて鉄筋を保護している不導体被膜を破壊し酸素や水分といった腐食因子によって腐食、錆びが始まります。

鉄筋は錆びることにより膨張し、コンクリートを押し割ってひび割れを生じさせ、さらに腐食因子が侵入しやすく錆びやすい状況になり剥離や剥落といった危険な状態に急速に進行していきます。

塩害による劣化は状況に応じて適切に対処を施さないと補修を行っても再度劣化する事例も多く、補修効果も短期的にしか期待できない場合もあります。

3. 塩害からコンクリートを守る工法

コンクリート構造物の塩害を未然に防ぐための手法はどのようなものがあるのでしょうか。

3-1. 後から来る塩分の遮断

塩害を未然に防ぐには外から浸透する塩分からなる塩化物イオンの浸入を阻止することが非常に重要となります。

コンクリート構造物の表面を塗膜防水材などで覆う表面被覆工法や、ひび割れた部分を補修することで外部からの塩化物イオンや鉄筋腐食因子の侵入を遮断します。

主に内部の鉄筋がまだ腐食していない状態または軽微な場合での予防策として適用します。

4. 塩害で劣化した後の対処法

既に塩害による劣化が進んでいる場合はどのような対処法があるのでしょうか。

4-1. 劣化速度の抑制

塩害による劣化の進行を抑えるには内部鉄筋の腐食を食い止める電気防食工法という方法があります。

コンクリート中の鉄筋に防食電流と呼ばれる電流を流し続けることで、電気的に鉄筋の腐食を食い止めることが出来ます。

この電気防食工法には、外部に電源を必要とする外部電源方式と、電源を必要としない流動陽極方式があります。

いずれにしてもコンクリート構造物を使用している間は防食電流を流し続ける必要がありますので、定期的な点検、メンテナンスが必要となります。

4-2. コンクリート内部の塩分の除去

コンクリート構造物の内部に含まれる塩分を除去する方法として脱塩工法があります。

この工法はコンクリート内部に含まれる塩化物イオンをコンクリート外部に移動させることで除去できる工法です。

コンクリート構造物の表面に仮設陽極材(+極)を設置し、コンクリート内部の鉄筋に電流(-極)を流すことで、コンクリートに含まれる塩化物イオン(Cl-)が陽極(+極)に引かれてコンクリート表面に出てくる仕組みです。

5. まとめ

コンクリート構造物の塩害による劣化は他の原因の劣化と比べると非常に進行が速く、また初期の段階は外観からではわかりにくい為、気付いた時には既に危険な状況ということも多く、また根本的な解決手段も少なかったというのが従来までの特徴でした。

しかし現在では電気化学的工法など従来の工法では回避できなかったコンクリートの再劣化もほぼ根本的に解決できますので、まずは早期に点検・調査・検査・計測を行い、コンクリート劣化の要因や進行速度を見極めながら適切な補修を行うことが大切です。