コンクリートのジャンカ(豆板)

現在使用されているコンクリートは、「レディーミクストコンクリート(Ready Mixed Concrete)」と呼ばれる、まだ固まる前のフレッシュコンクリート(いわゆる生コン)を施工現場に配達し、型枠内に打ち込み固める事で初めてコンクリートとして使用されています。阪神・淡路大震災以降、耐震性能の要求水準が強化されたことによって、鉄筋コンクリート構造物の配筋が高密度化し、コンクリートの充てん不足による品質低下が懸念されるようになりました。

今回はその品質低下の一つとしてコンクリートの打ち込み直後に発生する「コンクリートのジャンカ(豆板)」について着目し、説明していきたいと思います。

1. コンクリートのジャンカ(豆板)とは?

コンクリートのジャンカとは、打設されたコンクリートの一部分がセメントペースト、モルタルの充てん不良によって、粗骨材が多く集まり、空隙の多くなった構造物の不良部分の事をいいます。

その仕上がりは表面に凹みができ、表面部分に粗骨材が確認できる状態になってしまうほか、極端に酷い場合には、大きな空隙が出来て粗骨材を叩くとバラバラと崩れてしまい、鉄筋が露出してしまうこともあります。ジャンカの状態になってしまうと、適切に施工されたコンクリートに対して強度が低下する為、構造物の耐久力の低下を招いてしまうほか、鉄筋を保護する為のかぶりコンクリートが不足する為、中性化が進行しやすく、鉄筋の腐食が発生して建築物の安全性や耐久性に重大な問題が生じてしまいます。

また、ジャンカはその見た目から「豆板(まめいた)」と呼ばれることもあります。

写真 コンクリートの表面状態(左:ジャンカ無 右:ジャンカ有)

2. コンクリートのジャンカ(豆板)の発生要因

ジャンカは、コンクリートを打設する際の「材料の分離」、「締固め不足」等によって発生します。コンクリートは、セメント、水、砂、砂利などを練り混ぜて作られたもので、それぞれの材料によって密度(比重)が異なります。そのため、振動を与えることで重いものは沈み、軽いものは浮き上がります。また、流動させることで重いものはその場に留まり、軽いものはより遠くへ移動しようとします。このような動きによって材料の分離を生じ粗骨材だけが一部分に集中してしまうことでジャンカが発生します。

また、コンクリートは型枠内に入れただけでは、空隙が残るほか隅々まで充てんされません。鉄筋コンクリート構造物の場合では、鉄筋によってコンクリートの流動を妨げてしまいます。このような場合に締め固めが不足するとジャンカが発生します。

以下のような条件では、特にジャンカが発生しやすい為、施工にあたって注意する必要があります。

ジャンカ(豆板)を発生させやすい条件

①コンクリートが打込みにくい場所

  • 設備の埋め込み金物や配管などの下部や窓などの開口部下部
  • 階高の高い柱や壁脚部
  • 薄い壁
  • SRC造の梁鉄骨のフランジ下端
  • SRC造の梁下中央にある壁
  • 壁付きの階段 など

②施工条件

  • バイブレータ等でコンクリートを型枠内で横移動した場合
  • 打込み速度が速く締固めが不十分になってしまった場合
  • コンクリートの落下高さが高い場合
  • コンクリートの施工性が悪い(スランプが固く充てん性が悪い、又は柔かく材料分離しやすい)場合

3. 防止対策

ここではジャンカ(豆板)の防止対策の方法について説明していきたいと思います。

ジャンカの防止対策は、コンクリートを打設する上での基本が一番の防止対策です。以下の項目について

①コンクリートを材料分離しないように打設する。

コンクリートは、材料分離抵抗性を高めても、流動させることで骨材は沈み、流動しやすいモルタル部分は流れて分離しようとします。これは水平方向に移動させる距離が長くなるほど分離してしまうので、打ち込んだコンクリートは、型枠内で横移動させないようにしましょう。

また、型枠の継手部分などにすき間が出来ていると、そのすき間からモルタル部分だけが流れて材料分離し、流れ出る事の出来なかった骨材のみが残ってしまうのでジャンカを発生させてしまいます。型枠にすき間が出来ていないか確認をしましょう。

②コンクリートを十分に締め固める。

締め固めにはバイブレータ等でコンクリートに振動を与えて締め固めるほか、型枠の外側からハンマーで叩くなどして締め固めを行いましょう。ただし、近年のコンクリート工事では構造物の形状が複雑であったり、鉄筋量が多い事で一般的なコンクリートでは密実に充てんを行う事が難しい場合、振動締固め作業が不要で自己充てん性をもつ「高流動コンクリート」を用いる事を検討しても良いでしょう。

③コンクリートをワーカビリティーが良好な配(調)合とする。

コンクリートのワーカビリティーとは、コンクリートの変形や流動に対する抵抗性と、材料分離に対する抵抗性を合わせた「作業性」を意味します。コンクリートの「作業性」が良好な配(調)合を用いることで、コンクリートが打設しやすく、材料分離もしにくくなります。

一般的にワーカビリティー(作業性)が良好な配(調)合とは、スランプが柔らかく、セメント量が多い配合を指す事が多いですが、セメント量が多くなるとコンクリートの金額が高くなってしまいますので、打設する場所によって適切なワーカビリティーのコンクリートを選定しましょう。

4. まとめ

コンクリートのジャンカは、打ち込まれた型枠を取外してみて初めて出来ている事に気づくというのが殆どだと思います。しかし、出来てしまうと見た目が悪いだけではすみません。

構造物の安全性や耐久性に重大な問題が生じるだけでなく、施工者としての技量を疑われ、評価を下げる事になってしまいます。

ジャンカを防ぐ為の対策は、コンクリートを打設する為の基本そのもので、特別なものではありません。より良いモノづくりを行うには、基本に立ち返ることが大切なのではないでしょうか。