生コンクリートの単位水量試験の概要と5つの試験方法を解説

生コンクリートの「単位水量試験」とは?

生コンクリート(生コン)の品質を確認する検査として、スランプ、空気量、コンクリート温度、温度塩化物含有量と並んで「単位水量試験」があります。

ここでは「単位水量試験」の方法やその詳細について解説します。

ちなみに、生コンの各材料の設計値を配合と呼び、通常は生コン1㎥あたりの数値で表します。配合のうち、生コン1㎥に含まれる水量の事を単位水量と呼びます。

1. コンクリートの単位水量試験とは

コンクリートの品質に大きな影響を与える要素の一つとして単位水量が挙げられます。

「単位水量試験」とは、打ち込み直前の生コンが良質な生コンなのか、明らかに不良な生コンなのかを単位水量の測定によって選別する品質検査の一つです。

国土交通省によると、測定単位水量が設計配合±15kg/m3以下の場合はそのまま施工・±15kg/m3を超え±20kg/m3の範囲にある場合は生コンを打設し、変動の原因を調査、改善・±20kg/m3を超えた場合は打設しないとの判定基準を定めています。

2. コンクリートの単位水量試験の方法は?

「単位水量試験」の方法は以下に示すように数種類の方法があります。

どの方法も推定の精度が10kg/㎥以下で測定可能と考えられていますが、それぞれの方法に長所・短所があります。

各方法の概要と長所・短所をまとめました。

2-1. エアメータ法

水はセメント・骨材と比べて密度が小さいため、コンクリート中の水量に変化があると、全体の単位容積質量も変化します。この変化を利用して単位水量を推定する方法が単位容積質量法です。

単位容積質量は水量のみならず、コンクリート中の空気量の影響も受けます。

単位容積質量法の中で、空気量を正確に測定して容積を求めるのがエアメータ法です。

長所

  • 空気量測定時に質量を測定するだけなので、5分ほどで単位水量を推定できます。
  • 無注水法と注水法どちらでも同程度の精度で単位水量が推定できます。

エアメータ法は簡単で迅速なため、実績が増えてきています。

短所

  • 骨材の密度を正しく把握していないと正確な結果が得られません。

コンクリートの質量は大半が骨材であるため、骨材の密度を把握できていない場合試験の精度が低下すると言われています。

2-2. 電子レンジ法

試料を加熱乾燥して、蒸発した水の量から単位水量を推定する方法が加熱乾燥法です。

使用する機器によって方法は異なりますが原理は同じです。

その中で、コンクリートからモルタル分をふるい分けて、電子レンジで加熱乾燥させ、質量の減少量から単位水量を推定する方法が電子レンジ法です。

長所

  • 使用する機器が電子レンジ・はかり・パソコンであり入手しやすいことです。
  • 測定時間も15分ほどで比較的迅速に結果が得られます。

短所

  • モルタル分のふるい分け時に誤差の補正が必要でやや熟練を必要とします。
  • 長期間使用すると電子レンジが劣化する可能性があります。

2-3. 静電容量法

物質の静電容量が水分量によって変化することを応用して、静電容量から単位水量を推定する方法です。

コンクリートからモルタルをふるい分け、モルタル中の静電容量と水分率の関係式を事前に把握しておき、モルタル中の静電容量を測定することから単位水量を推定します。

静電容量法専用の機械としては生コン水分計(株式会社ケット科学研究所)というものがあります。

長所

  • 測定には特別な技術は不要で試験時間も10分と比較的迅速に結果を得られます。

また多くの測定データの記憶や出力が可能です。

短所

  • 専用の機械が必要で、事前に関係式のチェックや見直しをしないと高精度を維持できません。
  • モルタルのふるい分け時に誤差の補正が必要です。

2-4. 乾燥炉法

加熱乾燥法のうち、専用の乾燥炉でコンクリートを加熱乾燥させ蒸発した水の量から単位水量を推定する方法です。

長所

  • 原理が単純で信頼性が高いです。
  • 乾燥後の試料を5mmふるいで水洗いし、粗骨材の量を測定し補正することで精度の高い結果を得られます。

短所

  • 事前に1時間ほど乾燥炉の温度を上昇させる必要があり、試験時間も20~25分と比較的長いです。
  • やや熟練を必要とします。

2-5. 水中質量法

単位容積質量法のうち、コンクリート中の空気を完全に追い出した状態で容積を測定する方法が水中質量法です。

この方法は空中の質量と水中の質量から容積を算出します。

試料の空中の質量を測定した後、試料中の気泡を脱泡しながら水中の質量を測定します。

その後粗骨材のみを洗い出して、粗骨材の量を測定し、計算から単位水量を推定します。

長所

  • モルタル分のふるい分けを行わず、コンクリートを用いて測定可能です。
  • 測定の際に粗骨材の洗い出しを行うため、装置の洗浄をすることなく次の測定を行えます。

短所

  • 作業に熟練が必要です。
  • 水道水が必要になります。
  • 粗骨材の洗い出しが手間になります。

表 単位水量試験:各試験方法の特徴

 

3. なぜコンクリートの単位水量試験が必要なのか

生コンが硬化した後に求められる物性の中で、特に重要なものに強度と耐久性が挙げられます。詳細は後述しますが、この両者に大きく関わってくるのが単位水量です。

生コンの単位水量は強度と耐久性を考慮し必要最小限に設計されていますが、何らかの要因により水が多く含まれた生コンは構造物に悪影響を及ぼします。

通常、生コン工場は不良なコンクリートを製造・出荷することがないように定められた頻度で検査を行っています。しかし骨材の表面に付着する水分(表面水)は時間とともに変動する性質上、その量をリアルタイムに完全に把握するのが困難であると言われています。

そのため、工場現場で納入前の生コンを迅速かつ簡単に検査し、より安定した品質を維持するためにも「単位水量試験」が必要なのです。

3-1. 生コンは見た目でわからない

生コンのコンシステンシーの指標としてスランプ試験があります。

一見、柔らかいコンクリートは単位水量が多く、硬いコンクリートは単位水量が少ないとも思えます。

スランプと単位水量にはある程度の相関があるとも言えますが、必ずしもと言えないところが厄介なところです。

生コンはご存知の通り、練り上りから時間が経過するとともに硬化していく特性があります。見た目で良好な品質のコンクリートだと判断しても、練り上りからかなりの時間が経過しているものだったとしたらどうでしょう。

練り上り時には設計値の単位水量よりも多くの水が含まれていたかもしれません。

また、混和剤の種類によっては時間が経過していても、良好な品質を保つ場合もあり、これらのことから見た目だけで生コンを判断するのは危険であることが分かります。

さらに、硬化が始まってしまうとその生コンがフレッシュコンクリートの段階でどのような状態にあったのかを判断することは、困難であると言えるでしょう。

3-2. 設計値より水が多いとどうなる?

水の量が多いと生コンが軟らかくなるのは容易に想像できるかと思います。

軟らかい生コンの方が施工性は向上するとも思えますが、果たしてそうなのでしょうか?

施工性も含めて以下のような事が考えられます。

強度の低下

コンクリートの強度は水とセメントの割合(水セメント比)によって決まります。セメント量が同じなのに水が多いということは、それだけ水セメント比が大きくなる。つまり構造物の強度の低下を意味しています。

ポンプ施工時の圧送性低下

コンクリートの配合は、施工条件等も考慮され決められています。

生コンは適切なセメント量、単位水量、骨材量によって粘性を保ちます。この粘性は特にポンプ施工においてスムーズな圧送性を確保しています。

施工性を上げる目的で設計値よりも多くの水が入った生コンクリートは、この粘性が弱くなるためにポンプ内で材料の分離、閉塞が起こり圧送管の内部やホースの内部で詰まる可能性が高まり、施工性の低下を招きます。

構造体への影響

強度の低下のみならず、打ち込み後に硬化を始めたコンクリートがブリージングの影響から沈下を生じたり、ひび割れを起こしやすくなります。

仕上げ時に修復できる程度であれば問題はありませんが、後述する耐久性や構造物に要求される品質に影響を与える程度のものになると大きな問題になります。

3-3. コンクリートの耐久性と水の関係

硬化後のコンクリートに要求される品質のうち最も重要なものとして耐久性が挙げられます。

耐久性の中でも凍結融解に対しては水セメント比と空気量が重要であることが知られています。また乾燥収縮・中性化・塩分の浸透に対してはコンクリートの組織を緻密にすることが重要になります。

コンクリートを緻密にするには水セメント比と単位水量をできるだけ低くすることが必要であり、コンクリートの耐久性と単位水量の関係は切っても切れない関係であると言うことができます。

これらの理由より。特記仕様書において使用材料中のコンクリートの項目を見てみると、打込み個所ごとに強度・耐久性の確保と施工性の両立を充分に検討し、単位水量が必要最低限になる生コンを選定されていることがよくわかります。

4. まとめ

これまで単位水量について説明しましたが、単位水量が生コンや構造物に与える影響が大きいことは言うまでもありません。そのため、構造物に使用される生コンが安定して良質なものであるための検査の一つとして単位水量試験が必要なのです。

しかし、単位水量試験にも課題は残ります。各試験方法で説明した通り、それぞれに長所と短所があり、完璧な方法はまだ確立されておりません。

得られた推定値を直ちに製造にフィードバックする必要があるため、単位水量試験はやはり作業が簡単で、迅速に高精度の結果が得られる必要があるからです。

また近年、構造物の長寿命化により高強度コンクリートの需要が増えてきていますが、このようなコンクリートに関しては従来の方法では正確な結果が得られない場合も存在します。

単位水量試験に関しては現在も研究が進められており、ご紹介した以外にもさまざまな方法があります。今後、より高精度で簡単な試験方法が確立されることが予想されます。