Q. 質問内容
壁コンクリートの中性化進行について調査したいのだが、
- コンクリートの中性化試験方法は?
- 試験時の注意事項は?
- 中性化の判定方法は?
A. 回答
①コンクリートの中性化試験方法は?
コンクリートの中性化とは、高アルカリで保たれているコンクリートが排気ガスや二酸化炭素がコンクリート内部に侵入し中性に変化していく劣化現象です。
調査方法の種類は、はつり法、コア法、ドリル法などがあります。
⑴はつり法
手又はピックなどにより、コンクリートを数十㎝、角型、十字型、L型にはつります。
はつり粉を十分に除去後、フェノールフタレイン溶液を噴霧し中性化深さを測定します。
⑵コア法
コンクリートをコアと呼ぶ円筒型に切り取ります。
切り取るコアの直径がφ25㎜程度の小径コアからφ125㎜など、粗骨材の大きさによって変更します。コア割裂面にフェノールフタレイン溶液を噴霧し、赤紫色に変色した位置から中性化深さを測定します。
⑶ドリル法
壁面に直角に電動ドリルで削孔(直径10㎜)し、フェノールフタレイン溶液の染み込ませた試験紙をゆっくり回転させながら削孔粉を補集し、試験紙が赤紫色に変色したらドリルを止め、穴の深さから中性化深さを測定します。
②試験時の注意事項は?
⑴はつり法
一般的に鉄筋位置まではつる為、電磁波レーダー法などによって鉄筋位置を把握してはつりを行います。
この時、粉塵の飛散対策が必要になります。
⑵コア法
誤って鉄筋を切断しないよう、電磁波レーダー法などを使い鉄筋をずらしてコア抜きを行います。
⑶ドリル法
はつり法やコア法と比較して精度は低下しますが、構造体への影響の軽減や、コスト削減、作業性の向上に有利です。
③中性化の判定方法は?
中性化の判定には「フェノールフタレイン1%エチルアルコール溶液」を使用します。この試薬を噴霧し、着色された色によって判定します。
赤紫色:中性化していない部分
着色されない部分:中性化がすすんでいる部分
中性化に関する解説記事
- 中性化の概要を解説した記事:「コンクリートの中性化試験の試験方法と中性化による劣化の対策案」
- コンクリートのアルカリ化について解説した記事:「コンクリートはなぜアルカリ性(12〜13pH)?中性化すると危険な理由」