カルバート工指針とは?

Basilisk
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1. カルバートとは

カルバートとは函渠(かんきょ)とも呼び、道路や鉄道、堤防などの下に埋設されたとき覆いをしたり地下に設けたりして,外から見えないようになっている用水や排水を目的とした水路のことです。また人や車の通行を目的としたトンネルとしても使用されたりします。

2. カルバート工指針とは?

道路土工指針は昭和31年の初版より道路技術者の実務書として利用され道路土工技術の指標としての役割を果たしており、カルバート工指針により函渠工の標準的な設計がされています。

3. カルバートの種類

従来型カルバートは、構造形式から剛性カルバートとたわみ性パイプカルバートに分類されます。さらに剛性カルバートには内空断面が矩形(ボックス型)ないし頂部が半円形の内空断面を有する比較的剛性の高い構造の剛性ボックスカルバートや一般に円形の内空断面を有し鉛直土圧に対するたわみ量が小さい構造体の剛性パイプカルバートがあります。

また、たわみ性パイプカルバートは,薄肉でたわみ性に富む構造体であり,鉛直土圧によってたわむことによりカルバートの両側の土砂を圧縮し,そのとき反力として生じる水平土圧を受けることによってカルバートに加わる外圧を全周に渡り均等化して抵抗するものです。

3-1.  剛性ボックスカルバート

剛性ボックスカルバートには、ボックスカルバート・門形カルバート・アーチカルバート等があります。

ボックスカルバートは、建設現場において木製や鉄製の型枠を組み、型枠の中にコンクリートを打設し固めることで、現場でコンクリート製品を完成させる場所打ち鉄筋コンクリートカルバートと、専用工場で製品を製作するプレキャスト鉄筋コンクリートカルバートがあり、場所打ちの場合は任意の形状の形成が可能となり多連構造も可能です。

プレキャストの場合は断面によってはブロックの細分化が必要となり現場での接合方法において十分に注意が必要です。しかし、現場での施工期間を短縮出来る大きなメリットがあります。

門型カルバートは必要な内空断面が大きく、施工中に水替えが困難な条件の施工現場に適しています。既存の水路にかぶせる形で暗渠化を行うことが可能になります。

アーチカルバートは頂部が半円形(アーチ状)の内空断面である事から、上載荷重が軸方向圧縮力として部材に伝達されることから、ボックス形状に比べて頂部及び側壁に生じる曲げモーメント大幅に低減することが出来るので、土被りの大きな条件の現場に適しています。

採用にあたっては地形および盛土材料の相違による偏土圧が生じない事や地盤の傾斜などによる不同沈下が生じない事が条件となります。

3-2.  剛性パイプカルバート

剛性パイプカルバートは水路用として広く用いられており、管の種類によって強度が異な

るため、土被りや荷重条件により適切な管種選定をする必要があります。一般的に用いられる管としては、鉄筋コンクリート管、遠心力鉄筋コンクリート管、プレストレストコンクリート管、鉄筋コンクリート高圧管、鉄筋コンクリート台付管の基礎形式の組み合わせにより選定が行われます。

3-3.  たわみ性パイプカルバート

たわみ性パイプカルバートには、コルゲートメタルカルバート、硬質塩化ビニル管、強化プラスチック複合管、高耐圧ポリエチレン管などがあります。

いずれも比較的軽量で大がかりな施設や建設機械を必要としない材料が多く、高盛土や軟弱地盤上に用いる場合においては裏込めおよび被覆土によって影響を受けやすいため、耐荷力について検討を行うことや周辺地盤の影響によって、管に過大な変形やたわみが生じる場合は、それらを検討のうえ採用することが必要です。

4. まとめ

カルバートの技術には,特殊技能者や建設労働人口の減少に伴い工事現場での生産性向上を目的として施工の省力化や工期短縮等,時代の動向や要請に応じた変遷がみられ、従来型カルバートの適用範囲を特に大きく超える大規模なカルバートや材料の多様化、継手部の耐震性の向上により様々な製品が開発されています。現場条件を調査のうえ、よく把握し、適切な方法で設計施工を行うことが非常に重要になります。

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