コンクリート面の汚れには、人為的な落書きや油汚れ・水あか、コケや黒カビの発生などさまざまな要因があります。
ここでは汚れの種類別にきれいにする方法を紹介します。
この記事でわかること
1. コンクリートの落書きの消し方
近年急増している壁面やシャッターなどへの落書き。特に商店街や繁華街では悪質なものも目立ちます。落書きに使われるスプレー塗料は、通常の洗剤で洗ってもなかなか落ちません。そこで専用の落書き消し溶剤やペイント除去剤を使います。
溶剤はスプレータイプと刷毛で塗るタイプの2種類があり、ホームセンターなどで数百円から購入できます。落書きの場所や大きさによって使いやすい方を選びましょう。
なお、溶剤の中には身体や環境に有害な成分を含むものもあります。使用にあたっては製品の注意事項をよく読んでからお使いください。
1-1. 一般的な作業手順
一般的な落書き消し溶剤を使った汚れ落としの作業手順です。
- 溶剤を落書き箇所にたっぷりとスプレーする、または刷毛で塗りつける
- 数秒から数分放置すると塗料が溶け出す
- 塗料が残ったらスポンジ又はブラシなどでこすり落とす
- 水で溶剤が残らないように洗い流す
1-2. 落書きの予防
落書きは消しても何度も繰り返し描かれることが少なくありません。市販の落書き・貼り紙防止用のコーティング剤(落書き予防塗料)は、あらかじめ塀や壁に塗っておくと、再度落書きされても簡単に消すことができるのでおすすめです。
また、落書きを防ぐには、侵入されないよう柵などを設ける、センサーライトや防犯カメラを設置するなどの防犯対策もあわせて行うと有効です。
1-3. 道路構造物への落書き
橋脚やトンネルなどの道路構造物への落書きは、上からペンキで塗りつぶすのが一般的でした。これは、溶剤などの化学薬品がコンクリートに悪影響を与える恐れがあるため。しかし、近年では有機溶剤を含まない落書き除去剤の開発が進み、環境に優しい製品もいろいろなメーカーから販売されています。また、高温スチームと重曹を高圧洗浄機で同時に噴射することで塗料をこそぎ落とす工法などもあります。
スプレー塗料による落書きは、美観上の問題だけではなく、コンクリート表面の凹凸に塗料が入り込むことによって、コンクリート劣化度の基準となる表面のひび割れの状態がわからなくなることが問題ですが、新技術によってコンクリート面本来の姿を損なわなずに汚れだけを落とすことが可能となっています。
1-4. 粘着テープ痕の除去
ガムテープや、ポスター、ステッカーなどをはがしたときに粘着テープの痕が残ったときは、ドライヤーで暖めると粘着面が柔らかくなり取れやすくなります。
柔らかくなった粘着痕に市販のシールはがし液やマニキュア除光液などたっぷりと染み込ませてから雑巾などで拭き取ります。落ちにくい場合はスポンジやタワシでこするかヘラを使ってはがしますが、下地を傷つけないように注意してください。
2. コンクリートの汚れ落とし
油汚れや水あか、コケや黒カビなどの汚れを落とす方法をいくつか紹介します。
2-1. メラミンスポンジの使用
表面の汚れだけならメラミンスポンジでこすると落ちる場合があります。ただし、凹凸深く入り込んでいる汚れには無効です。
2-2. アルカリ性洗剤とたわしでこすり洗い
家庭用のアルカリ性洗剤とタワシでこすり洗いをする方法です。
- 表面の汚れをタワシやデッキブラシなどで軽く水洗いする
- 直接汚れている箇所にアルカリ性の洗剤をかけ、5~10分ほど放置する。汚れがひどい場合は、新聞紙やラップで覆うとさらに効果が上がります。
- タワシやデッキブラシで多方向からこすり、汚れをかき出す。手荒れ防止にゴム手袋着用しましょう。
- 水で汚れと洗剤をしっかりと洗い流す
2-3. コンクリート専用洗剤
頑固な汚れには、コンクリート専用洗剤もあります。
使い方はアルカリ性洗剤とほぼ同じです。商品説明を良く読み使用してください。
2-4. 高圧洗浄機の使用
外壁やコンクリートたたきのホコリや水あか、コケなどは高圧洗浄機で簡単にキレイになります。水圧が強いので、目地や塗装部分には注意が必要です。吐水口を近づけすぎないようにしましょう。
3. コンクリートの上から塗装して手早く消去する
落書きや汚れの上から塗装するのも一つの方法です。大きな落書きでも手早く消去できます。
3-1. 必要なもの
- 塗料、薄め液(塗料にあったもの)
- ハケ、ローラーバケ、トレイ、受け皿
- マスキングテープ(または布製ガムテープ)
- ブルーシート、新聞紙
- 軍手、ゴム手袋
- 汚れてもよい服装
- 脚立 など
3-2. 塗装手順
- ホコリや汚れを高圧洗浄機やブラシななどで洗い流す。
- 塗る範囲を決め、塗料を塗らないところはブルーシートや新聞紙でカバーする。
- ハケやローラーなどで塗りすすめる。一度塗りで下の汚れが透ける場合は、乾いてから二度塗りします。
- 場所によっては、完全に乾くまで「ペンキ塗りたて」などの表示をしておきましょう。
3-3. 塗料について
塗料は大きくわけて水性塗料と油性塗料があります。下地にあったものを選びましょう。
カビが生えやすい箇所には「防カビ塗料」を使いましょう。
落書き消去の場合、塗料が薄いと十分に消去できないことがあるので、多めに準備することをお勧めします。
4. コンクリートの落書き落としのプロに依頼する
ここまで自分で汚れを落とす方法を中心に紹介して来ましたが、汚れが広範囲にわたるときや場所によっては個人でやるには限界があります。そんなときは、プロにお任せしましょう。
ペンキを塗り直すならは塗装業者に、汚れ落としは清掃業者や特殊高圧洗浄業者、リフォーム業者など、いろいろな業種で対応しています。
価格は工法によってさまざまですが、油性スプレーによる落書きの場合1平方メートル当たり5,000円~が多いようです。
地元の信頼できる専門業者に依頼し、まず見積もりを取ることをお勧めします。
5. 落書きのないまちづくり
落書き防止条例を制定している市町村では、対策課を設けている場合があります。お困りのときは、まずお住まいの市町村に問い合わせてみるのも良いかもしれません。
また、国土交通省では落書き防止対策を実施した地域の報告書を作成しているので、その資料内容もご参照ください。
6. まとめ
コンクリート面の汚れ落としは汚れの種類によってさまざまな方法があります。
溶剤や塗料の使用にあたっては、製品に記載されている使用方法、使用上の注意などを守って正しくお使いください。
汚れを落とした後は、汚れ防止剤や撥水剤でコーティングしておくと、その後のメンテナンスが楽になりおすすめです。
汚れが広範囲にわたる場合や、自分で落とせないときは専門業者に依頼しましょう。