マンションのリフォームやセルフリノベーションも人気の昨今ですが、ここではDIYでコンクリートに5~10mm前後の下穴をあける方法について解説します。
下穴をあけコンクリートビスやプラグを打つことでコンクリート壁に絵や鏡を固定したり、塀に棚や照明器具を取り付けることもできます。コツを覚えれば家の補修やメンテナンスにも役立つでしょう。
この記事でわかること
1. コンクリートの壁に自分で穴をあける方法
コンクリートに穴をあけるには、「振動ドリル」か「ハンマードリル」を使います。どちらの電動工具も、軸方向へ打撃を加えながらドリルが回転することで、普通の電気ドリルでは難しいコンクリートやモルタル、コンクリートブロック、レンガなどの硬い素材にも穴をあけることができます。
1-1. 振動ドリルの特徴
振動ドリルは、径5~10mm前後の穴あけに使用します。ドリルを自分でコンクリートに押し付けることで打撃が発生し、コンクリートを打ち砕きながら回転し穴をあけます。
一般的な振動ドリルは「回転」と「回転+打撃」の2種類のモードがあります。木材やプラスチック、タイルなどの穴あけには「回転」、コンクリートなどには「回転+打撃」を使い分けると良いでしょう。DIYで壁に鏡や棚を取り付けるような場合は、振動ドリルがおすすめです。価格は5千円から1万円前後で購入できます。
1-2. ハンマードリルの特徴
ハンマードリルは、振動ドリルよりも強い打撃力を持つ電動ドリルです。振動ドリルと違い、ハンマードリル自体が打撃を発生します。
径20mm以上の穴をあけたり、コンクリートを砕く作業(ハツリ)にはハンマードリルを使用します。振動ドリルに比べ穴あけスピードは速いのですが、穴のふち欠けが多くなります。
コンクリートにアンカー用の下穴をあけるときは、ハンマードリルがおすすめです。
1-3. 振動ドリルの選び方
振動ドリルは様々な種類・機能があります。仕様書を確認し、自分のニーズに合った振動ドリルを選びましょう。
・多機能性
多くの振動ドリルは、回転モードと、回転+振動モードの切り替えが出来ますので、金属や木材の穴あけも可能です。
他にも値段は高めですが、電動ドライバー・インパクトドライバーとしても使える多機能ドリルも販売されていますので、用途や使用頻度に合わせて選ぶと良いでしょう。
・回転数・打撃数
回転数・打撃数が高いほど、より速く穴をあけることができます。穴あけの開始時は、振動により先端がずれることもありますので、より精度の高い丁寧な作業を求められるときは、回転数、打撃数が調節できるタイプを選ぶと良いでしょう。
・最大穴あけ能力
最大で直径何mmの穴をあけることができるかを示すのが「最大穴あけ能力」です。
通常、家庭用で使うのであれば10mm以下で十分でしょう。それ以上の穴をあけるなら、よりハイパワーな振動ドリルかハンマードリルを選んでください。
・充電式と電源コード式
コンセントから遠い所で使用する場合は、充電式の振動ドリルが必要になります。充電式はどこでも気軽に使える半面、電源コード式に比べて価格が高く、長時間使用には向きませんので、メリット、デメリットを良く理解したうえで選びましょう。
・レンタルの活用
ホームセンターではさまざまな電動工具を取り揃えていますが、最近はDIYコーナーも充実し、電動工具の貸し出しを行っている店舗も多くあります。購入すると高価な道具も、1泊あたり数百円からと格安で借りられますので、一度しか使わないときや、購入前に試してみたい方はレンタルを活用してみましょう。近くにホームセンターが無い場合でも、インターネットでレンタルができるサービスもあります。
1-4. プラグ穴の取り付け
コンクリート壁に鏡や棚を取り付けるとき、そのままではネジが効きません。コンクリートは素材がくずれやすいため、プラスティック製やナイロン製のコンクリート用アンカープラグが必要です。下穴にプラグをはめてからネジを締めると、プラグが広がり隙間を埋めるため、しっかりと固定されます。
ネジはプラグよりも長いものを使用し、下穴はネジの長さに合わせてあけましょう。この下穴をあけるのが「振動ドリル・ハンマードリル」です。
2. コンクリートに穴をあける時の注意点
2-1. 粉塵に注意
コンクリートを削ると粉塵がでますので、回りに飛び散らないよう養生する必要があります。粉塵が目に入らないよう保護メガネと、吸い込まないよう防塵マスクを着用しましょう。
2-2. 騒音に注意
電動工具を使用すると大きな音が発生しますので、消音ヘッドホンや耳栓の使用をお勧めします。
また、電動工具や打撃音は、近隣と騒音トラブルに発展しないよう細心の注意が必要です。作業する時間は深夜・早朝を避け、窓を閉めて行うなどの配慮をしましょう。
3. マンションの壁はどこまで穴を開けて良いのか?
まずはマンションの規約を確認しましょう。分譲か、賃貸契約かによっても変わります。
賃貸の場合、一般的に穴あけは全面禁止されていることが多いと思います。壁に穴を開けずに取り付けられる器具などが市販されていますので、そちらを検討してください。
分譲の場合でも、通常マンションの躯体コンクリート(構造部分)に穴をあけることは、構造上の問題でできません。また、隣の部屋との戸境壁は構造上耐力壁で、共用部分となります。したがって、個人が勝手に戸境壁に穴をあけることはできません。勝手に穴をあけると、自己の責任と負担で原状を回復する義務が生じますのでご注意ください。
規約で許される範囲内であれば穴あけは可能です。不明な点は、マンションの管理会社または管理組合に問い合わせるのが確実です。
4. まとめ
「コンクリートに穴をあける」というと、一見してハードルが高く感じる方がいらっしゃるかもしれません。でも、必要な道具さえ揃えば意外と簡単です。これを知っておくと、リフォームやちょっとした家のメンテナンスに役立ちます。
エアコンのケーブルや配水管を増設するために、床や壁に円筒形の穴をあけるのは「コア抜き」といい、ダイヤモンドビットなど別の専用工具が必要です。かなり高価で、ある程度の技術も必要とするため、素人には難しいでしょう。コンクリート内部の鉄筋を切断することで耐震性に重大な影響を及ぼすこともありますので、大きな穴をあける場合にはリフォーム会社や工務店に相談してください。