コンクリート壁にコケやカビが生える原因と正しい清掃方法

住宅等のコンクリート壁にコケやカビが生えてしまうと、その部分が目立ってしまい困ってしまいます。そこで、コケやカビが生えてしまう原因とキレイにする方法、予防方法などをまとめました。参考にして頂ければと思います。

Basilisk
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1. コンクリート壁にカビが生えてしまう原因

1-1. コケやカビはなぜ生える?

コケは、胞子として日常空気中に浮遊しています。それが壁などにくっつき繁殖するのですが、どんな壁でもコケが生えるわけではありません。コケの繁殖には水とある程度の日光が必要で、水分が付着しやすく日当たりのあまり良くない所に生えやすいのです。

コンクリートの表面が完全に乾燥していることは少なく、わずかな水分があることがほとんどです。日当たりがよく、風通しが良いところは、コンクリート表面が乾燥しやすくコケは生えにくいですが、方角によりそうではない部分では、コンクリート表面のわずかな水分でコケは繁殖するのです。

ではカビはどうでしょうか?カビもコンクリート表面の水分によって発生します。カビは菌類なので、コケと違い光合成をしない為、日当たりが全くないところでも繁殖します。

コンクリートは基本的にアルカリ性なので、カビが生えにくいですが、中性化によりph(ペーハー)が下がってアルカリ性が弱くなるとカビが生えやすい状態になります。古い建物のコンクリートは要注意です。

特に雨が直接当たる外壁のコンクリート壁では黒カビが生えてしまうことがあります。黒カビは有毒で、胞子を吸い込んでしまうとアレルギー反応が出たり、傷口から体に入って病気にかかることもあります。

1-2. コケやカビが生えやすい条件とは?

①日当たりが悪い

コンクリート壁の表面が乾燥しない為に湿気が溜まりやすく、コケやカビが生えやすい環境になります。

②風通しが悪い

こちらも風通しが悪いことで表面が乾燥しない為、コケやカビが生えやすい環境になります。

③湿気が溜まりやすい場所

雨水がたまり常に水分がコンクリート壁に供給される場所や隣の建物などが隣接する場所などは、湿気が溜まりやすくコケやカビが生えやすい環境になります。

④結露を起こしやすい場所

窓のサッシまわりなど、結露による水滴が垂れる場所などは、乾燥する間もなく水分が供給されるので、コケやカビが生えやすくなります。

⑤デコボコした模様の壁

コンクリート壁でもデザインで表面がデコボコした模様がある場合、わずかな水分が溜まりやすくコケやカビが生えやすい条件になります。

2. コケやカビが生えたコンクリート壁をキレイにする方法

コケやカビを掃除するときには、胞子や菌を吸ってしまうことがあるので、マスクを付けると良いでしょう。特に黒カビは有毒ですのでマスクは必須です。

自分でコケやカビを落とす一つの方法として熱湯をかける方法がよく知られています。インターネットでコケやカビの除去方法を検索すると、「コケは熱湯をかけることでキレイになる。」や「カビは熱に弱く80℃以上のお湯をかけると死滅する。」と書かれています。

実際に浴室の一部に発生したカビや駐車場の一部に発生したコケをキレイにしたい場合は熱湯をかけて拭きとる方法も有効であると思われます。しかし、発生した部分が広範囲にわたる場合や、コンクリート壁の場合だと熱湯を全体にかけることは危険ですし、時間も体力も必要になりますので現実的ではないように思われます。

また、熱湯ではカビの根までは除去できないので、簡単に確実にキレイにしたい場合はカビキラーやハイターを使用すると良いでしょう。これらには、プールや水道の殺菌で使われる次亜塩素酸ナトリウムが主成分となっており、コケやカビの除去に有効です。ハイターを使うのであれば、希釈してゴシゴシこすります。

この時、手袋をして直接手に触れないように注意しましょう。手の皮膚まで溶かしてしまいます。カビキラーを使うのであれば、コケやカビの部分に直接噴射して、そのあとゴシゴシとふき取ります。一度で落ちない場合は、落ちるまで繰り返し行います。

高圧洗浄機を使って、コケやカビを落とす方法もあります。ホームセンターなどで1~3万円程度できます。ただし、慣れていない人が使うと逆に外壁を傷つけたり、その他まわりのものを損傷してしまうこともあり、あまりお勧めできません。

自分でやってもコケやカビが落ちない場合は、専門業者に依頼することもできます。業者の洗浄方法としては、高圧洗浄やバイオ洗浄があります。コケやカビで黒ずみが残ってしまっている場合は、バイオ洗浄を行うと根こそぎ汚れを落とすことができます。ただし、費用は高圧洗浄の2倍程度かかります。

3. コンクリート壁にコケやカビが生えないようにするために

コンクリートの特に外壁にコケやカビが生えないようにする抜本的対策はかなり難しいケースがほとんどです。建物の立地条件による原因がほとんどの為です。できる対策として、壁に沿ってものを積み上げたりしない事や物置などの設置場所を考えて風通しを良くする。

また、壁まわりに水たまりができなように地面を少し高くするなど、出来るかぎり湿気を少なくすることが必要です。

また、防カビ機能がある塗料で塗装する方法もあります。光触媒塗料は、紫外線があたると活性酸素を作り出し、自ら汚れやカビを落とす作用があります。

しかし、日光が当たらない場所では効果が発揮できません。フッ素塗料は、塗膜に防カビ機能がある為効果があります。さらに、シリコン塗料やラジカル塗料には防カビ機能はありませんが、添加剤を入れることで防カビ機能を持たせることが出来ます。

ただし、これら塗装する方法は、費用もさることながらデザイン性などを考えるとすべてのケースに有効であるとは言えません。

4. 本当にカビでしょうか?

これまでコンクリートに発生したコケやカビについて説明してきましたが、ここではカビと間違えやすいエフロッレッセンス(白華とも呼ばれる)について簡単に紹介します。

この写真の白色部分はエフロレッセンスと呼ばれるもので、コンクリート中の水酸化カルシウムが化学反応によって結晶化し、表面で白色化したものです。

エフロレッセンスそのものは構造物へ悪影響を与えるものではありませんが、その発生原因が構造物の劣化に由来する場合には対策が必要となることもあります。万が一コンクリートにカビが発生し、清掃後もすぐに発生する場合やエフロレッセンスと見分けがつかない場合などは業者に点検を依頼することをお勧めします。

尚、エフロレッセンスについての詳細は当サイトの「コンクリートのエフロレッセンス(白華)について」を参照してください。

5. まとめ

コンクリート壁に生えるコケやカビは、表面の湿気によって発生するので、日当たりの悪いところは風通しを良くするなどの対策が必要ですが、建物の立地条件などでそれが許されないことも多いのではないでしょうか。

特に住宅などでは、室内の日当たりや生活する上での利便性などが優先され、コンクリート壁の防カビなどまで考慮することは難しい状況があります。さらにデザインや費用なども優先したいと考えると、コケやカビが生えないようにする為には、その発生原因を知っておき、自分でできる清掃方法で、こまめに除去していくことが望ましいと思われます。

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