コンクリートの床が採用される倉庫・物流センターや工場などは、商品や重量物を運ぶためにフォークリフトや台車などの車両の走行にガタツキなどの支障が無く、かつ車両などの重量物の走行に対する耐久性・機能性が求められます。
コンクリートのひび割れは、美観性であったり、床の耐久性・機能性を低下させる原因となる可能性があります。
この記事では、床のコンクリートにひび割れが発生する原因と施工にあたっての防止方法について解説します。
この記事でわかること
1. 床コンクリートのひび割れ発生原因
1-1. 初期収縮によるひび割れ
コンクリートは打設後に湿潤状態を保ちます。しかし、温度や風などの影響により、コンクリートの表面の水分が奪われて乾燥状態となると表面が収縮しひび割れが発生します。
1-2. 乾燥収縮によるひび割れ
硬化後のコンクリートは、内部にある水分がセメントとの反応で消費されることと乾燥をすることにより収縮します。周辺の梁などの部材があまり収縮しないものであれば、床のコンクリートのみが収縮し引張応力が発生してひび割れが発生します。
1-3. 地盤沈下によるひび割れ
土間コンクリートの場合、地盤の長期にわたる圧密沈下、床のコンクリート自重による圧密沈下、埋め戻し土の転圧不良などにより、床にたわみや不同沈下が起こりひび割れが発生します。
2. 床コンクリートのひび割れ防止方法
1-1. コンクリートの配合計画
コンクリートの乾燥収縮によるひび割れを防止するためには、単位水量を出来るだけ少なくします。その為、混和剤として高性能AE減水剤が効果的です。さらに膨張材や収縮低減剤を使用する方法もあります。また、収縮率の小さい骨材(石灰石など)を使用したり、ファイバーを混合する方法も検討してください。
単位水量を少なくすることは、乾燥収縮率を減少させるだけでなく、ブリーディングの減少にもつながり、沈みひび割れと言われるコンクリート自体の沈降によるひび割れも防止できます。
1-2. 打設
コンクリートの打設(施工)においては、分割打設と低スランプ打設が乾燥収縮のひび割れ防止に有効です。分割打設は、工区を分割してコンクリートを打設することにより、工区ごとの収縮を先行させ、全体としての収縮ひずみを小さくすることができます。低スランプ打設は、ジャンカや空洞などの不具合を誘発し逆効果となることもあるので、配合計画等を十分に考慮する必要があります。
1-3. 養生
コンクリートの打設後は、初期段階で十分な水分を与えないといけません。初期収縮によるひび割れの防止には、コンクリートの表面に水を供給することにより、内部の水を奪われないようすることが重要です。防湿フィルムや養生マットによる保湿が効果的であり、湿潤養生を計画期間以上しっかり行なってください。
1-4. その他
あらかじめひび割れをしやすいように適当な間隔で目地を設けておき、目地以外にひび割れが発生しにくくする方法として誘発目地があります。コンクリートにひび割れが発生するとひび割れとひび割れの間は拘束が緩和されてひび割れが発生しにくくなる現象を利用しています。
誘発目地を設ける時期は、コンクリートの十分な強度が発現する前に行いますが、早すぎると目地が欠けてしまい美観を損なってしまったり、逆に遅すぎるとひび割れ防止の効果が少なくなるので注意してください。また、目地の位置・形状・目地注入剤などは十分な計画が必要です。
土間コンクリートの場合、地盤の状況を確認し、地盤沈下が予想されるような場所では、たわみや不同沈下を防止するためにスラブ形式・杭基礎形式とするか地盤改良等の配慮が必要となります。
3. まとめ
床コンクリートは、ひび割れが発生すると美観性を損なったり、耐久性・機能性に支障をきたす可能性もあり、重要視される部分です。
品質を保つために、設計にてコンクリートの厚さ・強度・配筋などを適正に決定されること、十分な施工計画を行なうことが重要となります。