基礎コンクリートに雨が降っても問題ない理由

皆さんがマイホームを建てるとき、最初にコンクリートで基礎をつくるのが一般的です。

現場で型枠を組んで鉄筋を配置し、その後型枠内に生コンを流し込んで施工しますが、その時に

  • 雨が降ってきたら大丈夫だろうか?
  • 施工後に雨でコンクリートの上が水浸しになっている様子を見たことがあるけど強度に問題ないだろうか?
  • コンクリートはどの時点から雨に打たれても問題ないのだろうか?

などなど、自分が家を建てるときにこのような不安を持つことは当然だと思います。この答えは『問題なし!』、心配することはありません。

今回は、コンクリートが固まる仕組みから、このような不安や疑問を解決したいと思います。

Basilisk
Basilisk

1. コンクリートが固まる仕組み

コンクリートの施工は、一般的に生コンと呼ばれるドロドロの状態で現場に運び込まれて、ポンプ車で圧送して型枠などに流し込み施工されます。施工後、時間の経過とともに硬化が進み、打設日から28日で必要な強度以上になるように設計されています。

生コンは、ドロドロの状態から乾燥して水分がなくなって固くなるのではなく、コンクリート材料のセメントと水の「化学反応」で硬化します。セメントを構成する化合物が、水と反応して新しい化合物になる現象を「水和反応」と言います。その時できる新しい化合物を「水和物」と呼びます。

この水和物は固くその他コンクリートの材料である砂や砂利を繋ぎとめながら、どんどん生成されて強度を増していき、水和反応が終わるまで生成され続けます。水和反応が完全に終わるまでには何十年とかかりますが、水和反応が終わるころの最終強度を100%とすると、生コンを練り混ぜてから大体28日くらいで80%くらいの強度になり、その後はゆっくり時間をかけて強度が増すことになります。よって、コンクリートの強度の管理は、28日で行われることが多いのです。

2. 基礎コンクリートが雨に濡れた時の影響

基礎コンクリートは、雨に濡れても大抵の場合は性能や品質に問題はありません。次からは基礎コンクリートの状況別にその影響を考えていきます。

2-1. 土砂降り以外は「恵みの雨」になりうる

コンクリートは打設後、硬化が始まると乾燥が敵になります。前述したようにコンクリートの強度は、セメントと水の水和反応によって高まります。打設後のコンクリートが乾燥した環境にあると表面から水分が取られて思うように強度が発現しません。ひどくなると表面にひび割れが発生してしまいます。

そこで、打設後のコンクリートの養生方法のひとつとして散水することがあります。これはコンクリートの表面を常に湿潤状態にして、コンクリートが水和反応をする環境を整える目的です。よって、打設後のコンクリートにとって雨で湿潤状態になることは、初期の強度を発現する上で良い環境と言えるのです。

注意が必要なのは、コンクリートは練り混ぜてからだんだん硬くなり5~6時間後に形が変えられない状態までになります。この形が変えられない状態になる前に表面を荒らすほどの強い雨が降った場合、表面仕上げの出来栄えに問題が出るので要注意です。

 

2-2. コンクリートにかけてあるシート類は雨対策ではなく養生

建設現場で、打設後のコンクリートにブルーシート等がかけてある光景をよく見ますが、これも雨対策で行っているのではありません。

コンクリートを正常に硬化させるためにブルーシートをかけて一定の湿度を保ち、乾燥させないために行っています。散水をしても日射や気温によってすぐに散水した水が蒸発してしまっては意味がなくなってしまうので、シートをかけて蒸発させないようにしているのです。

3. 基礎コンクリートに雨が降っても問題ないケース

①コンクリートを打設する前に雨が降って濡れている

問題ありません。土工事の土汚れなどがきれいになって良いかもしれませんね。

②コンクリートを打設して数時間後に雨が降った

問題ありません。前述のように散水して養生するくらいですから恵みの雨です。

③コンクリートを打設して数日後に基礎が雨で水浸し(プールの様に)になっている。

問題ありません。コンクリートは水が浸透しにくい材料です。その為、夏場など非常に乾燥しやすい環境では散水では足らず、冠水養生というあえて水を溜めて乾燥を防ぐ養生方法もあるくらいです。

4. 基礎コンクリートに雨が降ると問題があるケース

①コンクリートを打設中に雨が降ってきた

問題があります。コンクリートは求められる強度を必ず出すためにセメントと水の割合を計算して配合しています。その為、コンクリートが硬化を始める前に水が足されるとその割合が崩れてしまうので、求めている強度が出ない場合があります。

しかし、コンクリート1㎥に配合される水の量は、150~200ℓ(リットル)と意外と大量で少々の雨では影響が出ない事の方が多いと思われます。

②土間コンクリートを仕上げている時に雨が降ってきた。

問題があります。コンクリートは打設後、施工した表面をコテでおさえてきれいに仕上げます。その時に雨が降ってしまうと表面が荒らされて仕上がりがきれいにならない問題が出ます。

5. まとめ

住宅を建てる方は、いろいろな疑問や不安を抱えると思いますが、仕組みや意味を知ると安心できると思います。以下のポイントを理解していると安心して基礎コンクリートの施工を見守れると思います。

  1. コンクリートは、水とセメントの化学反応で強度が発現する。
  2. コンクリートにとって、乾燥は天敵。水分は味方。
  3. コンクリート打設中から表面の仕上げ作業までの時間以外では『恵みの雨』

基礎コンクリートに対して疑問や不安を持った時は、これらの知識を持って、施工会社に確認してみると良いでしょう。

新規CTA