住宅の「顔」である玄関ポーチに「ひび割れ」や「劣化」があると、家への印象が変わりますよね。ここでは、玄関ポーチのひび割れ・劣化の原因と補修方法について解説します。

Basilisk
Basilisk

1. 玄関ポーチのひび割れ・劣化の状態とその原因

玄関ポーチのひび割れを大別すると、原因別に、1.コンクリートに起因するひび割れ、2.沈下に起因するひび割れ、3.タイルとコンクリートの剥離などがあります。

1-1. コンクリートに起因する「乾燥収縮によるひび割れ」

硬化後のコンクリートは、内部の水分がセメントとの反応で消費され、乾燥することにより収縮します。部材があまり収縮しない環境下でコンクリートのみが収縮し、引張応力が発生。ひび割れが発生します。これが「乾燥収縮によるひび割れ」です。

1-2. 地盤沈下に起因するひび割れ

地盤条件が悪い土地に住宅を建設する場合、不同沈下抑止のため地盤改良を施すことがあります。
この場合、住宅本体には必要十分な地盤改良を計画しますが、特にコスト削減目的で玄関ポーチ部は「無改良」であったり、必要な本数を確保しないケースがあります。
このような状況下で、土間部で沈下が発生し、沈下に伴う発生応力でひび割れが発生する場合があります。

1-3. タイルとコンクリートのはく離

タイルとコンクリートの剥離の原因はいくつか考えられます。

a.温度変化に伴い発生する相対ひずみ

タイルやタイル下地は、温度・湿度の変化によって膨張・収縮を行います。素材ごとに収縮度合いが異なるため、相対的にひずみが発生し、環境変化によって素材が劣化し剥落します。

b.中性化による剥落

酸性雨・紫外線や汚染物質などが付着浸入し、中性化が進行します。
中性化の進行に伴い、タイルの強度が著しく下がり、剥落します。

c.タイルの圧着不足

タイルの裏面は通常凹凸があり、タイルと圧着セメントとの接着力を上げています。
しかし、圧着セメントの充填不足があると、隙間ができタイルの剥離が発生します。
また、下地の清掃不足や不適切なプライマーを使用している場合など 様々な要因でも発生します。

2. 玄関ポーチのひび割れを抑制する方法

乾燥収縮によるひび割れを抑制するためには、

  1. 単位水量の少ないコンクリートを使用する
    ~混和剤として高性能AE減水剤を採用することが効果的です。
  2. 適切な養生を行う
    初期段階で十分な水分を与える。表面に水を供給することにより内部の水を奪われないようにする。養生マット、防湿フィルムなどを効果的に使用し、湿潤養生状態をなるべく長期間確保するなどの対策が考えられます。
  3. ひび割れ誘発目地を設置する

などが考えられます。

3. 玄関ポーチのひび割れを補修する方法

玄関ポーチに発生したひび割れは、クラックの幅により対応方法が異なります。特に、0.7mm以上のクラックは、構造クラックと呼ばれる構造機能を失う可能性のあるひび割れのため、V字カットの上、プライマー塗布やシーリング充填を行う対応があります。また、別の方法としては、エポキシの注入などが考えられます。

それ以下の細いヘアクラックに関しては、コンクリート補修剤を水で希釈し充填して対応します。

またタイル剥離の補修に関しては、ピンニング工法などが考えられますが、全体的に浮いてしまっている場合は一度全て剥がして、再施工を行う場合が適切な場合もあります。

4. まとめ

住宅の顔である、玄関ポーチのひび割れ・劣化は、できれば避けたいものです。

計画段階で、配合・養生計画や地盤改良の設計内容や施工方法に注意しひび割れ発生を未然に防いでいきましょう。

新規CTA