外壁がコンクリートで出来ている住宅は木造住宅と比較して設計のデザイン性の高さや、自由に設計が可能であるという理由から近年よく見かけるようになりました。
耐久性や強度の面から見ても優れているコンクリート壁ではありますが、一般的な塗装した壁と同様にメンテナンスが必要です。
コンクリート壁のメンテナンスは、塗料使用の有無や塗料の種類、壁の劣化進行状況にもよりますが、約10年周期で行うのが理想的と言われています。
特に外壁に塗料を塗っていないコンクリートがむき出しとなっている場合は、経年による汚れやシミ、カビ、細かいひび割れ等が目立ち始め、やがては防水加工の劣化した部分から雨水などが浸入して建物自身に大きなダメージを与えることにもなりかねません。
ここからは、コンクリート壁をDIY塗装しようと考えている人の為に、塗装に使う道具や塗料の種類、塗装の方法、塗装後の注意点などについて説明していきましょう。
この記事でわかること
1. コンクリート壁の塗装に使う道具と材料
コンクリート壁に塗装する場合、事前に以下の道具や材料を用意しましょう。
① 高圧洗浄機又はデッキブラシ
塗装前に壁の表面に付着しているほこりや汚れを落とす為に必要です。
② パテ・補修用セメント・ヘラ・ペーパーヤスリ・養生テープ・養生シート
壁に入っているひび割れや凹凸を埋めたり、塗装しない部分を加工する為に必要です。
③ 含浸シーラー・ローラーセット・刷毛
塗装と壁の密着性向上をはかる為に必要です。含浸シーラーとは、下地塗りに使用する接着塗料のことです。
④ 水性塗料・ローラーセット・刷毛
塗料を壁に塗る為に必要です。
2. コンクリート壁の塗装方法(下地調整~片付け)
① 塗装面洗浄
塗装前に壁の表面に付着しているほこりや汚れを高圧洗浄機などで落とします。
高圧洗浄機が無い場合は水をかけながら、デッキブラシなどを使って丁寧に汚れを落とします。
② 下地調整
壁が十分に乾燥したら、塗装しない部分に養生テープや養生シートを貼ります。
次に壁に入っているひび割れや凹凸をパテで埋めて行きます。ひび割れが大きい場合は補修用モルタルを使用するのが良いでしょう。埋めるのはヘラを使用すると良いでしょう。
パテや補修用モルタルが乾いて硬くなったらペーパーヤスリで削ります。凹凸が無くなり表面がなめらかになるまで、この工程を繰り返します。パテや補修用モルタルが完全に乾いたら壁に含浸シーラーを塗ります。
コンクリートはざらつきがあるばかりではなく、表面の状態は不安定なので、含浸シーラーを塗ることによって塗装と壁の密着性向上をはかることが出来ます。
細かい部分はハケを使って、広い部分はローラーを使うと効率よく仕上げることが出来ます。
③ 表面塗装
壁表面の含浸シーラーが乾いたら、水性の塗料を塗って行きます。広い部分はローラーで、細かい部分は刷毛を使って塗ります。ローラーは十分に塗料を含ませ、ゆっくりと塗っていくのが綺麗に仕上げるコツです。
1回目に塗った塗料が十分に乾いた後で2度塗り、3度塗りをすると、より綺麗に仕上がります。
④ 仕上げ
塗装が乾ききる前に養生テープや養生シートを外し、一晩乾かします。完全に乾いた後、塗り残しがあった場合は刷毛を使って修正し完成です。
3. コンクリート壁に使用する塗料と耐久性
コンクリート壁に塗る塗料は、水性塗料お勧めします。もしも油性塗料を使用した場合、化学変化を起こし将来ひび割れを起こす可能性があるからです。
塗料の種類には、アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素などがありますが、使う塗料によって、耐久性とコストが変わってきます。
アクリルやウレタンは塗料の価格は安いですが、対応年数はせいぜい5年~8年と短いので、あまり使われていません。
その為一般的にはシリコンが使われることが多く、耐久性を求める人はフッ素塗料を使用します。
4. コンクリートの外壁をDIY塗装する際の注意点
ここからは、コンクリート外壁をDIY塗装する場合の注意点を述べていきます。
① 危険性が高い
慣れない作業の為、注意力が散漫になりバランスを崩して下に落下する危険性があります。
足場を使う場合でも必ずヘルメットや安全帯は着用しましょう。
② 工事期間が長くなる
専門業者に依頼するのと比較して、工事期間は長くなります。DIY塗装の場合、慣れない作業に合わせ、毎日連続しての作業は難しく工事期間は間違いなく長くなります。
DIY塗装の工事期間は通常3ヶ月程度を計画します。
③ 技術的な未熟、知識不足による仕上がりの不具合
「場所によって色が違っていた」「塗りむらが激しい」「色のイメージが違った」などの仕上がりに関するものや、「2~3年後に壁表面の塗膜が剥がれてきた」など、時間が経過しての不具合も発生することがあります。
④ 追加費用の発生
もし不具合が発生し自分では修復が不可能と判断した場合は、結局専門の業者に頼むほかありません。そうした場合、DIY費用+専門業者への工事費、塗装費がかかってしまうことになります。
平均的なDIY費用は30~50万円、これを専門業者に依頼すると、130~150万円程度が相場です。
5. まとめ
DIYというと、皆さんはどういうイメージを思い浮かべるでしょうか。
自分で使う家具等を自分で設計し完成させるということからも、他には無い自分だけのものを手に入れることで達成感や満足感を得ることができるものです。
また専門の業者に依頼するよりも、安く出来ることも大きな魅力のひとつです。
コンクリート壁の塗り替えは、今まで日曜大工などで経験がある人でも、「詳しい塗装方法が解らない」や、「費用がどれくらいかかるのか」などの疑問が多く中々行動に移すことが出来ないひとも多かったのではないでしょうか。
しかし塗装の手順をしっかりおさえて塗料の選択、工程の順番とやり方、各工程での注意点を把握すれば、十分満足のいく仕上がりになります。
塗装に必要な道具や塗料も、今ではホームセンターやインターネットで簡単に入手出来ます。しかし、後に不具合が発生し、追加で費用がかかるリスクもあるということを忘れてはいけません。
条件によっては、失敗のリスクを減らす為にプロに依頼するという選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。