週刊ブロック通信 第3048号 2019年7月29日号

夢の放物線花開く
會澤高圧 NEPアーチ初施工

NEP工業会(会長=荒川崇氏)が開発した多分割式ブロックアーチ橋「NEPアーチ」の初施工が23日、北海道雨竜町で行われた。会員社の會澤高圧コンクリート(本社、北海道苫小牧市若草町3-1-4、社長=會澤祥弘氏)が、雨竜町発注の排水路橋架け替え工事(平成30年度基線幹線排水路取付橋改修工事)に納入したもので、施工者は北興建設(北竜町)。

当日は工業会や工事関係者など約30名が見守る中、わずか90分程でアーチブロック5基の設置が完了し、水路に美しいアーチが架かった。NEPアーチはアーチブロックと基礎ブロックから成るプレキャストアーチ橋で、中小橋梁の架け替え用に開発した。アーチブロックをクレーン等で吊り上げて両端の基礎ブロックに据え付け、現地でアーチ橋を構築する。欧州で使われているコンクリート製のアーチ橋を参考に、日本の規格に合うよう2011年に開発に着手、8年の年月をかけて実用化にこぎつけた。ボックスカルバート橋に比べ、掘削工に伴なう水替えの必要がなく施工手間が軽減する他、渇水期など季節も選ばないので、工期短縮や省力化に寄与しコスト削減効果が期待できる。設計にはFEM(有限要素法)解析を採用して十分な安全性を確保した。

アーチブロックは台形の迫石(せりいし)ブロックをテキスタイルで連結した蛇腹状の部材。クレーンで吊り上げるとフラットな状態からアーチ形状へ変化し、基礎ブロックに設置するとそのまま自立する。このため短期間でアーチ橋が構築できる。運搬車輌の積載制限に応じた大きさにアーチブロックをユニット化(1ユニットあたり迫石3~5個)し、各ユニットをH鋼で連結する分割タイプも開発済で、大型トラックの入れない山間部や狭小な市街地でも設置できる。形状の変化で重心が移動するアーチブロックをバランスよく吊り上げるため、滑車式の吊り具も新たに開発した。

今回施工したNEPアーチは、内空幅(スパン)4600×内空高(ライズ)1000×幅5000mmで、耐荷重は14トン。この後、両側にスパンドレル(胸壁)を取り付けて生コンを打設。養生後に防護柵の設置や舗装を行い、8月下旬には供用を開始する予定。

會澤高圧コンクリートは、初施工を通じてNEPアーチの工期短縮効果や省力化メリットが確認できたとして、市町村の中小河川や用・排水路、民間企業の施設などへの提案を進める考え。NEP工業会では、ゴルフ場の池や工場内の用水路などに架かる橋の代替需要も期待できるとしており、会員61社のネットワークを活かして全国的な普及を図る方針だ。

[主 張] NEPアーチの完成を祝す

NEP工業会(会長=荒川崇氏)が開発した多分割式ブロックアーチ橋「NEPアーチ」の初施工が23日、北海道雨竜町で行われ無事、据え付けが完了した。5mに満たない小さな道路橋の架け替えにもかかわらず、現場では工業会や工事関係者など約30名が固唾を飲んで工事の成り行きを見守った。それだけ注目度の高い新技術だという事だろう。開発を担当した商品開発委員会をはじめ多くの関係者の努力に改めて祝意を敬意を表したい。

NEPアーチはアーチブロックと基礎ブロックから成る中小橋梁用のプレキャストアーチ橋だ。メインのアーチブロックは台形の迫石(せりいし)ブロックをテキスタイルで連結した蛇腹状の部材で、吊り上げるとフラットな状態からアーチへと形状が変化する独自の構造により、輸送と施工の両面でパフォーマンスに優れている。剛性と柔軟性を併せ持つNEPアーチの開発は、アーチブロックの重量に耐えるテキスタイルの選定にはじまり、刻々と形状が変化し重心も移動するブロックをバランス良く安全に吊り上げるための専用吊り具やFEM解析ソフトの開発など、いくつもの難題に直面した。それでもしっかりと結果を出すことができたのは、NEP工業会が持つ強力な組織力と多数の取扱商品群を有する独特の運営形態ならではの成果といえる。優れた技術に投資する事ができる積立金制度も技術開発をバックアップした。

アーチ橋は、橋梁に生じる鉛直荷重の作用をアーチリブの圧縮力として地盤へ伝える合理的な構造の橋梁だ。難しい理論は別として、アーチ橋の美しい景観は実に魅力的だ。日本にもかつては石造や煉瓦造のアーチ橋が存在したが、新設のアーチ橋を見る事はめったになくなった。効率優先の世の中となり、土木の分野でも工期短縮は至上命題だ。しかしその分、風情のある構造物は少なくなったように思う。NEPアーチは初施工にもかかわらず、わずか90分ほどでブロック5基の据え付けが完了した。小規模橋梁の架け替えニーズは多数存在すると見られ、全国にアーチ橋が復活する事を願わずにはいられない。

一方、2011年の開発着手から8年の歳月をかけた同工業会の一大プロジェクトは、今回の初施工により大きな区切りを迎えることになる。同工業会には、新たな挑戦に向けた一歩を踏み出して欲しい。NEPはニュー・エンジニアリング・プログレッシブの略。新たなる技術進歩を追及し続けるのがNEP工業会だ。

週刊ブロック通信第3048

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