Basiliskバクテリアを用いた自己治癒コンクリート技術

技術の背景と目的

サステナビリティ社会を実現するため、社会基盤を担うコンクリート構造物のひび割れ予防と補修に関する社会的ニーズは極めて高い状況です。また、少子高齢化による労働人口減少を社会背景に、メンテナンスフリーの要求も高まっています。そこで、コンクリートが自らひび割れを修復する能力を持った自己治癒技術が大きく期待されています。

オランダ・デルフト工科大学のヘンドリック M.ヨンカース博士は、コンクリート中に特殊なバクテリアと栄養分のカルシウム有機塩を混入することで、コンクリートにひび割れが発生した際にバクテリアの代謝活動によって自動的に修復する技術の開発に成功しました。

この技術がコンクリート構造物の長寿命化およびメンテナンスフリーまたは大幅軽減等の特長を有することが評価され、2015年に欧州特許庁の欧州発明家賞にノミネートされました。

当社ではこの技術のユニークさと将来性等に着目し、実地調査と検証実験を行った結果を踏まえ、2016年6月にこの技術を利用した製品(Basilisk)の日本での独占販売に関する契約を締結しました。

自己治癒のメカニズム

この自己治癒システムは、バシラス属のバクテリアを乾燥状態にして休眠させ、乳酸カルシウムといった栄養素と一緒に顆粒化しコンクリート製造時に混入します。

コンクリート硬化後ひび割れが発生した場合、雨水などの水分が浸入すると酸素を有する環境下でバクテリアが復活し、栄養分を吸収して炭酸カルシウム(石灰石)を生み出しひび割れを閉塞し、内部の鉄筋腐食を防止します。修復期間は平均で6週間程度。なお、この特殊なバクテリアは、高アルカリ環境に耐え200年まで休眠することができます。

Basilisk製品ラインナップ

1.HA 自己治癒コンクリート添加材

バクテリア、有機塩等が入った顆粒状カブセル混和材料で、補修が困難な構造物等をメイン対象とします。コンクリート製造時に混入し、硬化後のひび割れ発生時に自ら修復します。(最大幅1mm迄)。

◆構造物長寿命化
◆メンテナンスフリーまたは大幅軽減

2.MR3 自己治癒型補修モルタル

バクテリア、有機塩および繊維等を混入したモルタル補修材です。比較的大きな幅のひび割れや、断面欠損部の補修を対象とします。左官工法により施工します。

◆しっかり補修と、補修後再劣化抑制
◆優れる変形追従性
◆止水性能の回復または付与

3.ER7 バクテリア液体補修剤

バクテリアと有機塩等が入ったA剤と大量のカルシウム分を有するB剤の2つの液体から構成される補修剤です。最大幅0.6mm迄のひび割れや、大面積に発生した微細なひび割れの補修を対象とします。噴霧または塗布による施工。

◆低粘度で浸透性がよい
◆止水性能の回復または付与
◆大面積のひび割れを効率的に補修

なお、取り扱うバクテリアの安全性に関して、「DIRETVE 2000/54/EU」に基づき、そして日本国内データベースとの照合により、生物への危険性や病原性のへの変異のない種類に分類されます。