セメント新聞 2019年9月30日号

會澤高圧コンクリート 新規事業を積極推進
ドローンや3Dプリンタ、自己治癒コン販売へ

會澤高圧コンクリート(苫小牧市、會澤祥弘社長)は、プレキャストコンクリート(Pca)製品や生コンクリート事業を展開するとともに、ドローンや3Dプリンタなど先端技術を取り入れた新規事業に積極的に取り組み、既存事業と新規事業を両輪として成長を図っている。

2019年3月期の売上高は18年3月期に比べて微減の184億円となった。18年9月の北海道胆振東部地震で同社の鵡川工場が被災し、本格復旧までに2ヶ月以上要した事などから、台風21号および胆振東部地震による災害特別損失を2億2800万円計上している。「鵡川工場は液状化被害が大きく、地盤改良などを実施する必要があり、操業再開までに時間がかかった。一方、地震被害により、各工場や工場ネットワークにおける資材や物流関係の効率などを見直す契機にもなった」(會澤社長)という。

プレキャスト製品部門は大規模圃場整備をはじめとする農業基盤整備事業が活発に推移したほか、畜産クラスター事業で「TMRセンター」関連の受注を確保し、堅調に推移した。

また、北海道新幹線延伸工事向けシールドトンネルのセグメントを受注。札幌工場と鵡川工場から納入するため、工場の整備投資などを進めている。

コンクリートパイルなどの基礎地盤事業では、Hパイル事業が関東をはじめとして本州では大きく需要が伸びた一方、AGパイル(節付きコンクリート杭)は新千歳空港国際線ターミナル工事の空港特需の反動減で伸び悩んだ。

同社は、自己治癒コンクリートや3Dプリンタ、ドローン事業など先端技術を取り入れた新規分野にも進出しており、事業化が着々と進んでいる。

自己治癒コンクリートはオランダ・デルフト工科大学のバイオベンチャー「バジリスク」と提携。バクテリアの代謝機能を活用してコンクリートのひび割れを自然に修復する「Basilisk」シリーズの製品化を進めている。

會澤高圧コンクリートはバジリスク社と日本国内独占販売契約を締結し、国内生産・販売に向けて準備。来年には生産をスタートし、春頃には販売を開始する予定となっている。また、新幹線延伸工事のシールドセグメント製造に向けて水中養生槽の設置を計画。養生槽に自己治癒コンクリートを使用することで暴露試験も行っていく。

ドローン事業ではアメリカ・マサチューセッツ工科大学(MIT)発の航空宇宙ベンチャーと提携。長距離・大容量の産業用ドローンの共同開発を実施する。自動航行による「地理情報システム(GIS)」サービスの提供をはじめ、インフラ点検・監視、維持補修サービスなどの事業を幅広く展開していく方針だ。

現在、さまざまな分野で事業の可能性を探る実証試験を繰り返すとともに、遊休工場を活用してドローンを航行させる施設の整備などを行っている。将来的にはBasiliskシリーズの液体型補修システム「BasiliskER7」のドローンによる自動塗布・目視外施工法の開発を目指していく。

3Dプリンタについては、18年春にスイスのABB社製大型ロボットアームを導入。型枠を一切使わずに構造物をその場で積層造形できる3Dプリンタの特徴を生かし、建築物などへの活用に向けて取り組んでいる。

現在、トイレ普及率が低く、衛生問題が深刻化しているインドで、トイレ建物を3Dプリンタで「印刷」し、日本のバイオトイレ技術を組み合わせてトイレを普及する計画を検討している。そのほか、白老町で建設が進められている「国立アイヌ民族博物館・国立民族共生公園」において、3Dプリンタで印刷したベンチを納入する予定となっている。

「今後も既存事業を伸ばしつつ、先端技術にも取り組んでいきたい。新規事業に取り組んでいくためには、年功序列型とは異なる人事制度も必要だと考えている。こうした制度改革にも取り組んでいきたい」

セメント新聞

新聞記事はこちら
20190930 セメント新聞