世界のセメント生産量とセメント産業企業別シェア

世界のセメント生産量は、2015年時点で82億トンほどです。日本の生産量はというと約5500万トンで、約4500万トンが国内で消費され、約1000万トンが輸出にまわされています。

セメントの価格は、国ごとに大きな開きはなく、おおよそ1トン当たりUS$60-US$100の範囲です。これは物価平価で考えると発展途上国は著しく高価という事になります。ここでは世界のセメント産業の状況を少し述べたいと思います。

1. 中国のセメント生産量の台頭

注目すべきは、中国の台頭です。1990年には約2億トンであった生産量は、2014年には約50億トンに達しました。このうち国内消費は20億トン程度で残りは輸出されていると考えられます。1990年頃には、確認できるだけで1000社以上が中国国内に点在し、特に内陸部にはまだ縦型とっくりキルンで品質の低いセメントが生産され、それが空気の汚染や品質の低い建設物の原因となっていました。

最近では 安徽海螺水泥(Conch)を中心として、政府保証を付けた上で小さなセメントメーカーを買収し、非効率な生産状況の工場の閉鎖し、生産を臨海部に集中する政策が取られ、品質は随分改善されてきています。

2. インドのセメント生産量の急進

中国以外で台頭著しいのがインドです。1990年には5000万トン程度であった生産量が、2014年には2億7千万トンに達しています。

やはりセメント産業は、発展の途上での人口の増大に対応するため不可欠なインフラ整備に、最も必要な材料のひとつであることは間違いありません。

発展の最盛期には、人口一人当たりのセメント消費量は2トンになるという統計上の数値があります。そうすると10億人に達するインドは、20億トンのセメントが必要になり、コンクリートに換算すると67億m3という事になります。

一方、先進国である日本は0.35トンが人口一人当たり消費されており、コンクリートに換算すると人口一人当たり僅か1立方メートルになります。

3. 世界のセメント企業別シェア

世界の企業別生産量はというと、上位7位に中国企業が3社入っています。以下グラフにそのシェアの割合を示します。

その他の企業が一体いくら存在しているのかは分かりません。世界の人口は、約75億人と言われ、2030年には98億人に達するそうです。その中心はアフリカに移って行くのでしょう。

セメントの生産で排出される炭酸ガスは、1トンのセメントあたり約800㎏です。やはり、これらの数値を見るとセメントに代わる建設材料開発を進めないと、約45億年かけて地球が作り出した石灰石は掘りつくされ、炭酸ガスに地球を覆われる事になるのだと恐怖すら感じます。

 

4. 世界のセメント価格とコスト構造

セメント工場の立地を考えると、原料調達立地産業です。焼成するまでの石灰石を遠方に運ぶより、焼成した後、炭素や酸素を取り除いて少し軽くなったセメントやクリンカーを運ぶ方が運賃は少なくて済むのは道理です。しかし、原料立地が消費地に近いとは限らないのでコストに占める運送費の割合は高い産業と言えます。また、石灰石を焼成するために必要な石炭や重油を運ぶのにもコストが掛かります。日本の様に、産業廃棄物を有償で受け入れて燃料として地域社会に貢献することを産業のひとつの目的としている国もあります。

前述したように世界のセメントの価格は、1トン当たりUS$60からUS$100の範囲です。しかし原材料は裏山の石灰石が主で、そのほとんどのコストは、設備の償却や修繕費、燃料費が占めます。原油価格は世界で大きく変わらない現状を考えるとセメントの価格が一定の範囲に入るのは理解できます。

5. まとめ

以上に述べたように、世界のセメント産業の製造量の伸びは中国とインドが牽引しており、今後はアフリカ諸国へとその流れはシフトしていくでしょう。

しかし、セメント製造時に排出される多量の炭酸ガスには各生産企業とも削減に向け取り組みを進めていますが、セメントに頼らない新しい建材開発などが今後重要なテーマとなることは間違いありません。