住宅の基礎コンクリートのひび割れが起こる原因と補修方法

自宅の基礎コンクリートにひび割れを見つけた時、大切な住宅を支える基礎にひび割れが入っていて大丈夫なのだろうか?と、心配になります。今回は、住宅の基礎のひび割れの種類や原因、疎の補修方法などをまとめました。

1. 基礎のひび割れはなぜ起こるか?

基礎に入るひび割れには、その種類によってそれぞれ原因が異なります。種類と原因により、リスクや補修方法が異なりますので、まずはひび割れの原因を把握することが大切です。

1-1. 乾燥収縮

住宅の基礎は、一般的に鉄筋コンクリート造で、現場で鉄筋を組み、型枠を配置してコンクリートを打設します。乾燥収縮ひび割れは、一般にコンクリート打設から2~3ヶ月以降に発生することが多く、幅0.2㎜以下の微細なひび割れで、コンクリートのひび割れの中でも最も多く発生するひび割れです。

コンクリートは、セメントと水の化学反応により硬化します。そのセメント硬化体は、固体部分とたくさんの微細な空間から成り立っています。

この微細な空間には、セメントと化学反応しなかった余剰水と呼ばれる水が入っていますが、コンクリート打設後に乾燥によりだんだんとその余剰水が蒸発していきます。

コンクリート内部の水が蒸発すると体積が減少し、コンクリートが収縮しますが、内部は鉄筋により拘束されている為、コンクリート表面では引張力が発生します。

この引張力が、コンクリートの引張強度を超えるとひび割れが発生して、これを乾燥収縮ひび割れと言います。

この乾燥収縮ひび割れを防止するためには、コンクリートの水分量やセメント量を低減したり、収縮量に対応した膨張性のある混和剤を使用する方法がありますが、防水性や水密性を求めない基礎コンクリートであれば幅0.2㎜以下の乾燥収縮ひび割れは、多くの場合「許容範囲」となり、耐久性の面からは補修する必要のないひび割れという判断になります。

1-2. 施工的要因

・コールドジョイント

コンクリートは、連続的に打ち込むのが原則ですが、何らかの要因によって前の層に打ち重ねるまでに時間がかかってしまうと、先に打ち込まれたコンクリートの上にレイタンス(上部に浮き上がる脆弱な膜)が出て、後に打ち込まれるコンクリートとの間に隙間が出来てしまいます。コールドジョイントは、ひび割れと同様に劣化因子となる水や酸素、二酸化炭素、塩化物イオンなどがコンクリート内部に侵入する原因となります。

・沈みひび割れ

基礎コンクリートは、鉄筋を配置した型枠内に生コンと呼ばれるドロドロの状態で打ちこなれます。生コンは、セメントと水が練り合わさったセメントペーストと砂、砕石などの骨材が攪拌された状態を言います。鉄筋が水平に配置された型枠内に生コンを打設すると骨材は重いので下へ沈もうとしますが、鉄筋によって沈下が抑えられますので、鉄筋上部のコンクリートには引張力が作用します。コンクリートの硬化直後では、コンクリートの引張強度も十分な発現がないので、鉄筋に沿ってひび割れが生じることがあります。このようにできるひび割れを「沈みひび割れ」または、「沈降ひび割れ」と言います。

・凍結融解ひび割れ

コンクリートには、微細な空隙(空間)がたくさんあります。この空隙に外部から水が浸透してきます。寒冷地では、外気温の低下し、マイナス5℃以下になると内部の水が凍結します。水は凍結により約9%体積が膨張します。この膨張による圧力を逃がすだけの空間がコンクリと内部にないとき、圧力に耐え切れずコンクリートにひび割れが生じます。これを「凍結融解ひび割れ」と言います。

寒冷地では、凍結融解ひび割れを未然に防ぐ為、外気にさらされるコンクリートには製造時にAE剤という混和剤を使用し、コンクリート中に空気を連行して、生じる微細な気泡が水の凍結による膨張を受け止め軽減する対処を行っています。

1-3. 地盤の沈下

住宅基礎の下の地盤が沈下し、それが原因で基礎にひび割れが発生することがあります。住宅は、そのほとんどが形状などにより基礎に均一に重みがかかっていない状態です。その為、地盤が沈下すると不同沈下といい傾きながら沈下してしまいます。また、地盤の沈下自体も住宅の範囲の中で均一に沈下しないことがあり、その要因でも不同沈下が起こります。

住宅が不同沈下して傾いてしまうと、住人の三半規管に異常が出たり、建具などがゆがみドアや窓が開かなくなるなどの支障が出ます。さらに基礎にも、設計時に想定していない応力が作用して、ひび割れが発生してしまいます。これらの状況は、その程度によって住宅の重大な瑕疵とされていて、法律によって元請会社が修繕などの保証をすることが義務付けられています。

1-4. 中性化等の経年劣化

コンクリートは、セメントと水が反応して固まりますが、その反応によって水酸化カルシウムという物質が生じます。この水酸化カルシウムはアルカリ性で、これをたくさん含むためコンクリートは強アルカリ性になっています。アルカリ性の度合いを表す数値をpH(ペーハー)といい、健全なコンクリートはpH12~13程度と言われています。しかし、コンクリートが長年外気に触れていると空気中の二酸化炭素と水酸化カルシウムが反応して炭酸化という現象が起こります。これによりアルカリ性が弱くなり、pHが低くなり中性に近づくことを中性化と言います。

コンクリートが中性化すると内部にある鉄筋が錆びはじめます。鉄筋が錆びると錆びの分だけ体積が膨張して内部からコンクリートを圧迫して、耐え切れなくなったコンクリートはひび割れを起こします。これが中性化によるコンクリートのひび割れです。

2. 基礎のひび割れが起こすリスクとは?

基礎コンクリートのひび割れは、乾燥収縮ひび割れの様に許容範囲内のものはその後構造的な影響は出ませんが、許容範囲を超えるものは、重大な瑕疵となる場合があります。

基礎は、鉄筋コンクリートです。コンクリートが健全であれば、内部の鉄筋が錆びることは無いように設計されています。しかし、コンクリートにひび割れが入ると水や空気が内部の鉄筋にまで侵入して鉄筋に錆を発生させます。鉄筋は錆が発生すると体積膨張をして、されにひび割れを発生させます。鉄筋に沿ったひび割れが入るようになり、ひどくなるとコンクリート表面のはく離・はく落、されに進行すると鉄筋露出までひどくなります。このような状態になると住宅を支える基礎の役割を果たせなくなります。

3. 補修が必要なひび割れの状態とは?

3-1. 構造ひび割れと言われる幅の基準

構造ひび割れとは、設計時や施工の不備により構造部分に発生したひび割れで、建物の安全に影響を及ぼす危険性があるひび割れです。その見極め方は一般にひび割れの幅で判断されます。一般の鉄筋コンクリート構造物の表面に生じるひび割れ幅は、0.3㎜を超えると構造ひび割れと判断されます。

また、水溶性の高い構造物では0.05㎜、海水に接する構造物では0.15㎜などと規定がありますが、土と接する基礎コンクリートでは、幅が0.2㎜を超えると構造ひび割れと判断され、放置すると基礎の強度が落ちてしまう為、必ず補修をしなければなりません。

3-2. 水平方法に入るひび割れ微細なひび割れ

水平方向に入るひび割れは、水平に配置された鉄筋に沿って入っていることが多く、沈みひび割れや中性化による鉄筋腐食が原因のひび割れである可能性が高くなります。これらのひび割れは建物の安全に影響を与えることになりますので、必ず補修等の対処が必要になります。

3-3. 同じ場所に集中している微細なひび割れ

仮に微細なひび割れであっても同じ場所に集中して複数のひび割れが発生している場合、その場所に何らかの負荷がかかっており、それが設計時の想定を超えているサインになっている場合があります。住宅の不同沈下の初期症状である可能性もあります。

このような場合は専門家による診断をしてもらい、診断結果によって補修、対処を行う必要があります。

3-4. 雨染みのあるひび割れ

ひび割れに雨染みがある場合、基礎コンクリートの内部に雨水が侵入しているサインになります。この状況は、コンクリート内部の鉄筋が錆びている可能性が高く、進行するとひび割れが増えて、はく離・はく落まで起こる可能性があります。ひび割れ要因を特定して適切な補修を行う必要があります。

3-5. コンクリートのはく離・はく落

コンクリートのはく離・はく落まで症状が進んでしまうと、かなり専門的で高レベルの補修工事が必要になってしまいます。さらに放置すると基礎としての機能を果たさなくなり、住宅の安全が確保できなくなります。基本的には、このような状態になる前に適切な補修等の対処をする必要があります。

3. ひび割れ状態別の補修方法の紹介

コンクリートの補修方法は、ひび割れの状態別に補修方法の要求性能が違ってきます。要求性の別に整理すると下記のようになります。

①劣化因子の遮断~外部からの水、酸素、塩化物イオンの進入を遮断
『表面被膜工法』『表面含浸工法』『ひび割れ注入工法』

②劣化因子の除去~塩化物イオンの除去、中性化したコンクリ―トのアルカリ性回復
『断面修復工法』『脱塩工法』『再アルカリ工法』

③鉄筋腐食の抑制~既に腐食が進行している鉄筋の防錆
『電気防食工法』『鉄筋防錆剤の活用』

この中で、住宅の基礎コンクリートが起こり得るひび割れの状態と補修方法は、水や酸素の進入を遮断する方法がほとんどと言え、他の方法は公共的な道路柱脚や橋脚などの構造体が対象になります。

3-1. 住宅基礎で採用される補修方法

住宅基礎で採用される補修方法をいくつか紹介します。

・Uカットシール工法(Vカットシール工法)

コンクリートのひび割れ部分を専用の電動工具でU字型にカットして、その部分にシーリング材・エポキシ樹脂を充填し、モルタルなどを塗布して表面を整える工法です。幅の広いひび割れや、シーリング材が奥まで届かない深いひび割れに対応できる補修方法です。カットの形状によりVカットシール工法とも呼ばれます。

・ビックス工法

ひび割れ表面に設置したパイプにゴム製の注入器を設置して、ゴムの圧力で長時間かけてエポキシ樹脂を注入していく方法です。幅0.1㎜以下の微細なひび割れにも樹脂を充填することが可能です。

・アラミド繊維シートの貼り付け

アラミド繊維とは、タイヤや光ファイバーなどにも使用される非常に強度の強い素材です。鋼材の7倍の引張強度があるとされています。このシートを基礎に貼り付け、その上からモルタルなどを塗布して表面を仕上げます。やや費用がかかりますが、耐震性の向上の期待できる工法です。

4. まとめ

住宅の基礎コンクリートにひび割れが起こる要因は様々あり、ひび割れの状態からその要因を把握して、適切な対処を行うことが必要です。要因によっては、地盤沈下などひび割れを補修するだけでは解決できない場合もあるからです。

軽微なひび割れと決めつけて、専門家の診断を受けずに自分で補修してしまうと後からその要因の特定が難しくなり、適切な対処方法がわからなくなってしまうこともあります。専門家とはどういう人かというと、コンクリート診断士という資格があります。

施工自体は、リフォーム会社や塗装会社に依頼することになりますが、必ずしもそれらの会社にコンクリート診断士がいるとは限りません。診断してくれた人に資格の有無を聞いたり、複数の業者に診断を依頼して診断結果の信ぴょう性を高めるようにすると良いでしょう。