住宅のコンクリート壁にひび割れが起こる原因と補修方法

 

ひび割れを見つけた時の対処は、その原因を知ったうえで調査し、対処する方が効率的です。ひび割れの種類と原因を知ったうえで補修方法を考えましょう。

購入したばかりの我が家の外壁に、『ひび割れ』を発見して、これから先の我が家の耐震性や老朽化にとても不安になったことでしょう。

『ひび割れ』と一口にいっても、それは様々です。

外壁の種類(コンクリート打放し外壁、モルタル外壁、サイディング外壁等)やひび割れの幅や場所によって、緊急性を要したり、さほど気にしなくて良かったりと、ひび割れには、たくさんの状況があります。

それでは、気になる我が家のひび割れが、どのひび割れに相当するのか、見てみましょう見てみてください。そのうえで、その原因を特定していきたいと思います。

たとえ、緊急性を要しなくても、耐久性や美観が気になるものです。原因特定ができましたら、その対処方法について説明したいと思います。

1. 外壁の違いによるひび割れ3種類

一般的に住宅の外壁には、コンクリート外壁、モルタル外壁、サイディング外壁などがあります。

コンクリート外壁は、主に鉄筋コンクリート造の打放しと言われるものです。モルタル外壁、サイディング外壁は、一般的に木造や軽量鉄骨造に使用されます。

1-1. コンクリート外壁のひび割れ

コンクリート外壁、いわゆる『打放し』外壁は、2階を支えたり、地震等に抵抗する構造体をそのまま仕上げ材として使用し、外壁と兼用したものです。

世界的に有名な建築家 安藤忠雄先生が得意とする仕上げですね。

コンクリート外壁のひび割れには、ヘアークラック、乾燥ひび割れ、構造ひび割れ、沈みひび割れの4種類あります。

それぞれのひび割れについて説明は、後ほど詳しく説明します。

1-2. モルタル外壁のひび割れ

モルタル外壁は、外壁の仕上げとして、セメントと砂と水を練り交ぜたセメントモルタルを外壁に塗ったものになります。左官屋さんがコテで塗って多彩な模様を作り出します。

このモルタル外壁のひび割れは、ほとんどが乾燥収縮になります。また地震等による建物の揺れにより、ひび割れが生じます。

モルタル自体が乾燥収縮するうえ、振動等に対して追従しないため、この主なひび割れの原因としては、以下のようなことが考えられます。

  • モルタル調合の割合 (セメント、砂、骨材、樹脂の配合バランス)
  • モルタルの乾燥不足
  • モルタルの下地の不良
  • モルタルの目地(継ぎ目)の位置および不足

モルタル外壁には、緩衝材となるような目地を設け、外壁の振動等に対して、ひび割れやわ割れが生じないようにしておくことが一般的です。

対策として、下記の2点を基準にして下さい。

●1mm以下のひび割れの場合

1mm以下のひび割れは、深さが0.3mm~1mm程度です。

この程度では、外壁の雨漏りに発展することはありませんので、外壁塗装を行う際にメンテナンスすることで対処できます。

●3mm以上のひび割れの場合

3mm以上のひび割れは雨水が浸透し、外壁の内部に入ります。そうすると、外壁が水を含むようになり、塗装の剥離が生じたりします。

また内部に水分が入り込みますと、冬場に水分が凍結融解を繰り返し、外壁が剥がれてしまう原因となります。

1-3. サイディング外壁のひび割れ

サイディング外壁は、構造体に外壁材として、釘等で取り付けます。

このサイディング外壁のひび割れは、地震や地盤沈下などの揺れなどにより、固定している釘がひび割れの原因となります。

サイディングの厚みが14mm以下の場合、釘によりサイディングを取り付けるので、釘の頭が外に現れます。地震等による揺れで、その釘が緩み、隙間から内部に水が侵入して塗装の剥がれを引き起こします。

ひび割れが進行すると、サイディングそのものを取り換える必要生じるので、早めの対処が必要となります。

またサイディング外壁同士の隙間に、コーキング材と呼ばれるゴム状の目地を設け、地震時等の揺れに対して、サイディング同士が衝突するのを防ぎます。しかしこのコーキング材は経年劣化していくため、コーキング材にひび割れが生じます。

このひび割れから雨水等が侵入し、外壁の内部にまで水が浸透してしまいます。

サイディング外壁は、サイディング自体のひび割れとともに、コーキングのひび割れも合わせて点検、メンテナンスをするようにしてください。

2. コンクリート壁に生じるひび割れ4種類

それでは、コンクリート壁に生じるひび割れ4種類を説明します。

2-1. ヘア―クラック

ヘアークラックのヘアーとは、何だと思いますか?

これは、ヘアースタイルのヘアーと同じで頭髪のことです。つまり、ヘアークラックとは、『髪の毛』ほどのひび割れという意味になります。

誰が付けた名前かわかりませんが、ヘアークラックというと耐震性などの構造的には、影響しないので、補修する必要はないといわれています。ただ美観的にも良くなく、ひび割れが生じたるだけで不安になる方もいますので、補修をすることもあります。

ヘアークラック自体は、髪の毛と例えられるほどで、幅0.3mm以下、深さ4mm以下のひび割れのことを言います。原因としては、コンクリートの乾燥収縮や膨張により表面に生じるものになります。

またヘアークラックが大きくなるような場合には、雨水等が侵入したり、コンクリートの中性化が進行したりして、コンクリート内部の鉄筋を錆びさせる原因となりますので、注意が必要となります。

2-2. 乾燥ひび割れ

コンクリートは、セメントと水と骨材(石と砂)を練り混ぜることによってできます。

セメントと水の化学反応により固まるわけですが、化学反応で不必要な水分は、コンクリートの打設後、時間の経過と共に乾燥によって蒸発します。

すると、コンクリートの体積は減少して収縮します。つまりこの現象が乾燥収縮と言われるものです。

ただこの乾燥収縮は、コンクリートが固まるまでは、ひび割れは生じません。また乾燥収縮を邪魔するようなものがなければひび割れは生じません。

コンクリートが乾燥して収縮しようとする際に、鉄筋、柱、梁、壁、基礎などの他の部材に拘束され自由に収縮できないとき、そこに引張力(ひっぱられる力)が生まれ、コンクリートにひび割れを生じます。

コンクリートは、圧縮力に強い材料ではありますが、引張力は、圧縮力に比べて1/10程度しかなく、拘束により生じた引張力が、コンクリートの持つ引張強度を超えるとコンクリートがちぎれ、ひび割れとなります。

この乾燥収縮によるひび割れは、壁のような面積の広い部分に生じしやすく コンクリートのひび割れ発生の中でも最も頻度の高いひび割れです。

そのため壁のように広い面積には、誘発目地を設け、コンクリート表面の収縮を緩和する事によって、ひび割れを抑える工法もあります。

比較的、外壁に生じるひび割れは、柱の拘束により壁の中心に垂直に生じたり、壁の四隅に生じたりします。

この乾燥収縮のひび割れを防止するためには、水やセメントの量を減少させたり、収縮量に対応した膨張性のある混和剤を混ぜる方法もあります。

2-3. 構造ひび割れ

構造ひび割れは、地震や地盤沈下などによって発生するひび割れです。幅が0.3mm以上、深さが5mm以上のひび割れを構造ひび割れと呼んでいます。

構造ひび割れは外壁自体に地震や地盤沈下などの外的要因によりコンクリートに引張力が生じたひび割れなので、ひび割れが深く、そのままでは水が侵入したり、その部分の中性化か進行して、鉄筋を錆びさせる原因となります。

発生する場所としては、窓の四隅から斜め45度に生じたり、壁に斜めに生じたりします。このままでは、耐震性の低下はもちろん耐久性にも影響を与えるので、早急に補修が必要となります。

2-4. 沈みひび割れ

コンクリートを型枠の中に打ち込むと、コンクリート中の骨材(石)が下に沈みます。

その際、鉄筋上部のコンクリートは、鉄筋によって沈下が抑えられるので、そこに引張力が生じます。

これはコンクリートが固まり始めた直後では、コンクリート自体が十分硬化しておらず、コンクリートの引張強度も十分にないために、引張力が引張強度を上回りひび割れが生じ鉄筋に沿ってひび割れが生じることになります。

そのため沈みひび割れは、水平に入る傾向があり、長さは様々ですが、そんなに長く入るものではありません。このようにできるひび割れを『沈みひび割れ』または『沈降ひび割れ』と言います。

このひび割れの防止対策としては、単位水量の少ないコンクリートにして、施工を十分気を付けて行えば対処することができます。

3. 種類別のひび割れ補修方法

3-1. ヘアークラックの補修方法

ヘアークラックの補修方法としては、髪の毛ほどのひび割れなので、塗装で対応することができます。塗装を重ね塗りすることで、ヘアークラック自体を埋めてしまうのです。またセメントスプレーなどで簡単に補修することができます。

しかし、塗装で隠しても年数が経てばひび割れが目立ってくることもあります。

そこで、ヘアークラックのような1.0mmに満たない小さなひび割れにフィラー擦り込み工法を用いたりして補修を行います。

フィラーとは、詰め物という意味があり、ひび割れ部分に詰め物を擦り込むのでフィラー擦り込み工法と言われています。

フィラーの材料は、セメントやモルタル及び合成樹脂などが多く、ひび割れの場所によって使いわけられます。

補修方法としては、ひび割れにフィラーを刷毛で擦り込みます。またポンプ式の注入器などでひび割れの中に接着剤を注ぎ込む補修方法もあります。接着剤がひび割れを埋めることで水分の浸入を防ぐことができます。

またVカットと呼ばれる補修方法があります。これは1mm以上の大きなひび割れでも用いられる補修方法です。Vカットではひびに沿ってV型(またはU型)の溝を掘り、そこにコーキング材やセメント接着剤を塗っていきます。

ヘアークラックのようなひび割れにコーキング材やセメント接着剤をそのまま埋めようとしても、ひび割れに浸透していません。そこでわざとVカット(Uカット)を行い、コーキング材やセメント接着剤の粒子よりも大きな溝にすることで、しっかりとひび割れを埋め、接着することができます。

これはVカット(Uカット)の溝がはっきりと残ってしまうことが欠点ですが、しっかりと補修することができ、塗装等を行えば、隠すこともできます。

3-2. 乾燥ひび割れの補修方法

乾燥ひび割れの補修方法は、ヘアークラックで紹介したVカットの補修方法を行います。

3-3. 構造ひび割れの補修方法

構造ひび割れの補修には、エポキシ樹脂を使用する補修をお勧めします。

エポキシ樹脂という材料は、聞き慣れない方も多いと思いますが、エポキシ樹脂はひび割れの防水補修には最適な材料になります。

補修方法は、低圧注入でひび割れに浸透させて、ひび割れの奥まで確実に注入することで、ひび割れした部分を一体化してくれます。

構造ひび割れの場合は、耐震性、耐久性に非常に影響してきます。専門業者に依頼して、確実に補修をするようにしましょう。

3-4. 沈みひび割れの補修方法

沈みひび割れは、ひび割れ自体が進展することがないため、ヘアークラックで紹介した補修を行います。

また、鉄筋等により沈下が抑制され鉄筋に沿ったひび割れが生じている場合は、鉄筋部分までひび割れが深いので、少し深めにVカットを行い、補修を行うことをお勧めします。

4. まとめ

外壁のひび割れは、外壁の種類やひび割れの幅や場所によって様々です。そのためひび割れの補修には、外壁の種類、ひび割れの幅や場所により変わってきます。

原因を的確に判断し、早期の補修を行えば、軽微な補修で済みます。0.3mm以下のヘアークラックであれば、外壁塗装でも十分に補修することができます。

素人目では判断が難しいのが現実ですが、業者任せにするのではなく、きちんと判断することで、過剰な補修をしなくても済みます。

ただし構造ひび割れのような、耐震性、耐久性に関係してくるようなひび割れは、専門家に依頼し、補修を行うようにしてください。