モルタル外壁の特徴とメリット・デメリットを徹底解説

モルタルは、1990年よりも前に建てられた家の外壁としてよく使われた外壁材です。

しかし、最近では『ひび割れ』や『剥がれ』が気になり、モルタル仕上げを外壁に施す家が徐々に減少しています。

一方で、温かみがあり、デザインの自由度が高く意匠性に優れているなどの点が気に入っているという人も少なくありません。

ここでは、モルタル外壁の特徴と、メリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

Basilisk
Basilisk

1. モルタル外壁とは?

モルタルとは、セメントと砂を混ぜたものに水を加えて練り混ぜた材料で、外壁をはじめさまざまな用途で使用されます。それを『ラス』と呼ばれる網目状の金属に塗り、外壁としたものが『モルタル壁』です。

現在、外壁材として主流になったサイディングボードが出てくるまでは、ほとんどがモルタル壁の家でした。

2. モルタル外壁の種類

・スタッコ

セメント系,合成樹脂系及びシリカ(硅素)系などの仕上げ塗材を5~10mm程度の厚さで吹き付けたもので、立体感があり、重厚感・高級感のある外壁となります。

塗装面に凹凸が多くあるため、汚れやすいことと、塗料の吸い込みが非常に多く塗料を大量に消費してしまい、価格も高く作業に手間がかかるのが欠点です。

・リシン

表面が細かい砂の様にザラザラしている砂壁状の外壁です。これは、塗料を吹き付ける時に一緒に砂粒を混ぜているためです。

仕上げ方法の中でも価格が安く、作業性が良いことから、1970年代から80年代にかけてモルタル外壁の仕上げ材として多く使用されました。

落ち着いた風合いが特徴ではありますが、壁面にひび割れが生じやすく、表面に汚れが付きやすいことが欠点です。

・吹き付けタイル

表面が凸凹になるように異なる種類の塗料で1~5ミリ程度の厚さで吹き付ける複層仕上です。陶磁器のような風合いを出す仕上げ方法で、吹付けタイルの粒の大きさは、吹付ガンの口径の大きさによって変える事ができ、質感を変えることができます。

塗料の性質により耐久性を高めた仕上げが可能で、弾性タイルを使用することでモルタルの弱点であるひび割れも起こりにくくすることができます。

塗り替え時は、リシンやスタッコに比べ、塗料の吸い込みが少ないので、とても塗りやすく作業時間が短く済みます。

・ローラー仕上げ

安全性と作業性が高く、現在最も採用されている工法です。既に塗り替えが行われているモルタル外壁やテナントの壁面に使われる事が多いです。

パターンローラー仕上げは、様々な質感を表現することができ、目的に応じた仕上げ形状が選択できます。また、不燃性・防水性等の性能を付与する事もできます。

・左官仕上げ

左官職人がその場で塗って完成させることから『左官仕上げ』などと呼ばれ、コテ仕上げ・櫛目引き仕上げ等、様々な種類があります。職人の手作業による仕上げのため、温かみのある風合いや、デザインの自由度の高さが特徴です。また、吹きつけ塗装による模様仕上げも可能です。

塗り替え時には、仕上げ面に吸い込みが生じるため、塗料が多く必要になることと、仕上がりが職人の技術力に左右されることが欠点です。

3. モルタル外壁のメリット

①デザインの自由度が高く、意匠性に優れている

仕上げ方法にも種類があり、施工方法や混ぜる砂・繊維などの素材を組み合わせることでたくさんのパターンを作ることができます。

サイディングのような繋ぎ目が必要ないため、見た目も美しく、複雑な形状の建物であっても比較的簡単に対応することができます。

特に左官仕上げなどは、様々な風合・質感を出すことができ、手仕上げならではの温かみも特徴です。

②金属性の外壁材のように熱くならない

金属性の外壁は、太陽光によって温度が上昇し、室内の温度上昇にもつながります。そのため、高価な遮熱効果のある塗料を塗る必要があります。

モルタルの場合は、金属のように温度が上昇することはありません。遮熱効果のある塗料を塗ることでさらに効果が増し、夏場の冷房にかかる経費を節約します。

③耐火性、耐久性に優れている

モルタルの原料は、セメント、砂、水と全て不燃性なので、炎や高熱にさらされてもすぐに燃えることも有毒ガスを発生することもありません。また、台風などの強風による飛散物がぶつかっても、簡単に破損しない強靭さもモルタル外壁のメリットです。

4. モルタル外壁のデメリット

①熟練した職人が必要

細かな部分や最終的な左官仕上げ、ローラー仕上げには職人の技術が必要です。また、材料によっては水分の吸収性に差があり、それも考慮して作業しなくてはならないなど、技術と経験が必要になります。モルタル外壁の出来上がりの良し悪しは職人の腕に大きく左右されるため、出来上がりの品質にばらつきが出るおそれがあります。

また、モルタル仕上げを外壁に施す家が減少していることや賃金の低下などの理由から、左官職人も不足しています。

②ひび割れ

モルタルの防水性能は高くありません。何度も乾燥と湿潤を繰り返すような環境下では、ひび割れや剥がれ等を生じやすくなります。ひび割れや剥がれは部分から壁の中に雨水がしみ込み、建物の寿命を縮める原因となるのです。

少しのひび割れなら防水スプレーなどで対処できますが、ひび割れが進行してきたら塗り替えが必要になります。

③汚れが目立ちやすい

外壁は、厳しい風雨に晒され続けると次第に汚れが生じてきます。風合いや手作り感を出すために表面に凹凸をつけたモルタル外壁は、他の外壁材と比較してホコリが溜まりやすくなります。仕上げも淡い色であることが多く、より汚れが目立ちやすいため、計画的にメンテナンスをする必要があります。

④高コスト

工程が複雑で施工期間が長く、材料費や少なくなってきた職人数を考えると、他の外壁材より施工コストが高くなる傾向があります。また、定期的なメンテナンス費用も考慮しなくてはなりません。

5. まとめ

モルタル外壁のメリット・デメリットついて解説しましたが、他の外壁材の方が良いと感じる方が多いのではないでしょうか。

しかし、昨今ではひび割れを抑制する弾性の塗料や、汚れを軽減する塗料やコーティング剤がたくさん販売されています。

また、ひび割れが入ってしまったとしても、適切な手入れやメンテナンスを行うことで半永久的に持たせることも可能なのです。

外壁の仕上げは、建物の耐用年数にも関わってくるので、メリット・デメリットを理解し、コストの面なども含め総合的に判断してたうえで、より理想に近い最適な外壁材を選択をしましょう。

新規CTA