コンクリートの擁壁に関する基礎知識

Basilisk
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1. 擁壁とは

擁壁とは土木工事で発生する盛土・切土の斜面が自然のままでは土の圧力により、

崩壊するおそれがあるときに土砂崩壊を防ぐために設ける土留め構造物のことです。

擁壁には様々な種類があり主としてコンクリート擁壁・補強土擁壁に大別され多くの

擁壁が存在します。

2. コンクリート擁壁

主としてコンクリートを原材料として構築される擁壁のことです。

あらかじめコンクリート製品工場にて製造されたプレキャストコンクリートを現場に

納品して構築する擁壁や、フレッシュコンクリートを現場において作成された型枠に

打設し構築する擁壁などがあります。

1-1. ブロック積擁壁

天然の石材(間知石)に代わる資材として開発されたコンクリートブロックを積み上げて

その間にフレッシュコンクリートを充填し堅固に連結した擁壁です。コンクリートブロック

は一般的に「間知ブロック」と呼ばれています。地山が締まっている切土箇所や、比較的

良質の裏込土で十分締固めがなされている盛土箇所などの土圧が小さな場合に適用さ

れます。一般的に経験に基づく設計法が用いられ重要な箇所への適用には注意が必要で

す。コンクリートブロックは人力施工出来る小型の製品から、建設機械により施工される

大型の製品もあります。

1-2. 重力式コンクリート擁壁

その名のとおり重量により背後からの土圧等の圧力に抗する擁壁です。

一般的には安定性を有するために下部が前面側に上部が背面側になるような、斜めの構造になっています。自重により支持する形式であることから地盤反力が大きく、基礎地盤の

良好な箇所に使用されることが多く、地盤の支持力不足の場合は杭基礎や地盤の置き換えによる支持力の確保が必要となり、高さが低い場合は経済的であります。

重力式擁壁には、地山が比較的安定しており、比較的小さな壁体によって地山にもたれ かるようにフレッシュコンクリートを現場打設により構築するもたれ式擁壁や、直接斜面に施工出来ない場合に、土圧が作用する斜面から離れた場所に擁壁を構築して崩壊時の土砂を受止める待受式擁壁などがあります。

1-3. 片持梁式擁壁

片持梁式擁壁は、擁壁の断面形状がアルファベットのL字形のL型擁壁や逆T字形の

逆T型擁壁の鉄筋コンクリート構造があります。

縦壁と底板からなる鉄筋コンクリート構造で、背面から水平に縦壁を押し出す力が底板を持ち上げる力に変換する構造です。つまり、土圧に対して本体自重と背面土砂重量で

抵抗し、擁壁本体の転倒と滑動に対して安定を確保して構造になります。

ブロック積擁壁や重力式擁壁と比べて、縦壁が垂直に立ち上がっているため用地を有効

活用することが出来ます。より強い土圧に耐えるために、縦壁と底板を連結する控え壁を取り付ける控え壁式擁壁もあります。

3. 補強土擁壁

補強土擁壁とは石油化学繊維材料や鋼製のアンカー補強材を地盤補強用材料として盛土内に埋め込むことにより補強材の引抜き抵抗力によって釣り合いを保ち、地盤を人工的に強化し垂直もしくは垂直に近い壁面を構築する擁壁です。都市部や山岳部のように用地制限がある場所において有効

であり、ある程度の変形を要する柔な構造である必要があります。

代表的な工法としては、コンクリート製壁面材とアンカープレート群に挟まれた盛土材料を拘束し地盤補強することによって安定を保つ、多数アンカー式補強土壁や同様に耐久性に優れている、摩擦力の大きいリブ付平鋼を拘束するテールアルメ工法、ジオグリッドなどの網状補強材を使用するジオテキスタイル補強土壁工法などがあります。

いずれの工法も盛土材の摩擦抵抗力が発揮できる材料の選定が重要となります。

4. 擁壁の選定

土地の所有者においては、擁壁の崩壊やがけ崩れ等などの災害が発生しないように安全な状態に維持管理する責任が求められます。擁壁の選定に当たっては、工事場所の開発事業区域に係る法指定状況や設置箇所の地形、土質、地盤条件、地下水等の自然条件、必要な擁壁の高さ等を十分に調査・設計のうえ、当該擁壁に求められる安全性を確保できるものを選定することが非常に重要になります。

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