財界さっぽろ12月号 2015年11月15日発行

「6年がかりで新製品を開発 道内最王手がコンクリート業界に革命!?」

會澤高圧コンクリートが10月21日、新製品の発表会を開催した。お披露目された新技術は、これまでの常識を打ち破る画期的なもの。業界に大きなインパクトを与えた。

建設現場に欠かせない生コンには“90分ルール”がある。製造から90分以内に使わなければならないというJIS規格だ。

生コンはセメントに砂利などの骨材、水を混ぜてつくられる。ミキサー車で建設現場まで運ばれるが、一定時間が経過すると性能が落ちるため、90分を超えた生コンは廃棄される。

この生コン業界の常識をくつがえす技術を、コンクリート製品製造の道内最大手・會澤高圧コンクリート(苫小牧市)が確立した。

一般の生コンはセメント、水、骨材をいっぺんに混ぜてつくる(一括練り)が、工程を分割。まずセメントに極端に少ない水を投入し、独自に開発したミキサーで練り上げる。その後、追加の水と少量の薬剤を投じて混ぜると「pMp」(水分割練りペースト)ができあがる。

このペースト状の「pMp」はセメント粒子の塊が水分を抱え込んでおり、24時間以上、固まらない。骨材を入れて混ぜた時、摩擦で粒子の塊の膜がとれ、初めて生コンになる。

つまり、ペースト状の「pMp」を補完しておけば技術的にには、90分の練りにとらわれることなく、使いたいタイミングで生コンを調達ができる。しかも固まった時は、一括練りの生コンよりも耐久性の優れたコンクリートになるという。

會澤高圧は約6年間、研究・開発を重ね、特許を取得した。

會澤祥弘社長はかつて本誌に「コンクリート素材の革新で社会にインパクトを与えていくこと。それが業界における真のイノベーションだと考えている」と語っていた。この新製品が普及すれば、今までのあり得なかった生コンの長距離輸送が可能になる。まさに夢の新技術だ。

しかし、現時点では、実用化のハードルは高いと言わざるを得ない。

国内の生コンはJIS規格を通ったものか、国土交通大臣の認定を受けたものしか一般に使われない。JIS規格は90分ルールがあるので、新製品を生コンとして普及させるには大臣認定を得る必要がある。

そこで會澤高圧は国土交通省にアプローチをしたものの、色よい返事ではなかったようだ。

「生コン工場はどんどん減っており、将来的に長距離輸送ができる『pMp』の技術の出番はあると期待していますが、現在は生コンとして国内で販売するのは非常に難しい。当面はプレキャストへの活用を考えています」(アイザワ技術研究所の青木涼所長)

プレキャストとは、あらかじめ決まった形に製造されたコンクリート部材のこと。工場で生産し、建設現場に運ぶ。プレキャストのJIS規格には90分ルールはない。

青木所長は「建設現場に軽量の『pMp』を運び、骨材を混ぜて生コンをつくり、その場でプレキャストを製造する手法を提案していきたい。重いプレキャストを工場から現場に運ぶ現行の方法より、運送コストが省け、二酸化炭素排出量も削減できると考えています」と話す。

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