コンクリート新聞(第3面) 2017年4月20日号

「會澤高圧 バイオでひび割れ補修 自己治癒コン材料販売」

會澤高圧コンクリート(苫小牧市、會澤祥弘社長)はオランダのデルフト工科大学が開発した、バクテリアを用いた自己治癒コンクリート材料を販売する。

この技術は同大学のヘンドリック・M・ヨンカース教授が研究開発したもので地元デルフト市のバイオベンチャー企業、バジリスク・コントラクティングBVが「バジリスク」の証憑で製品化している。會澤高圧コンクリートは同社と製品の日本国内の独占販売契約を締結した。

バジリスクはバイオテクノロジーとコンクリート材料技術を融合して、コンクリートに自己治癒機能を持たせることでメンテナンスフリーと耐久性の向上を図る。

乾燥状態におかれると胞子状の殻をまとうことで身を守り、休眠したまま200年もの間、行き続けるバシラス属のバクテリアを用いる点が特徴で、このバクテリア胞子をバクテリアの餌(栄養分)となる乳酸カルシウムで圧縮・固化し、さらに生分解性プラスチックの殻で覆って粒子状のカプセル「HA(ヒーリングエージェント)」として生成させる。このHAを生コンクリートに所定量、配合して製造する。

HA内のバクテリア胞子は生分解性プラスチックの殻によって、コンクリートの練り混ぜ時には摩擦や水から守られ、活性化せずにコンクリートの硬化が進む。硬化後、その殻は徐々に脆くなり、実際にコンクリートにひび割れが発生すると、割れ目から浸透した水にバクテリア胞子が反応して餌である乳酸カルシウムと酸素を取り込み、コンクリートと同じ成分の炭酸カルシウムを生成させ、日々割れた部分を自然に埋め込んでいくという仕組みだ。

また、炭酸カルシウム生成の過程で副産物として発生する水はコンクリート中に残っているセメント成分と反応して水酸化カルシウムになり、同じく副産物として発生した二酸化炭素と反応して、ひび割れの中に炭酸カルシウムをさらに増やし、加速度的に修復を進行させる。

実験の結果、コンクリートの自己治癒能力はHAの混入量に応じて最大で幅1.0mmまでのひび割れに対応可能であるという。

バジリスクには生コンクリートの製造に用いるHAの他、ひび割れ部分に噴霧または塗布することで徐々にひび割れを埋めて、最大で0.8mmまでを修復できる液体型補修材のER7や、小手塗りで使用するモルタル型補修材料のMR3も開発している。また、HAのより高密度な分散を目指したカプセルの小型化にも取り組んでいる。

會澤高圧コンクリートは今夏からER7の販売を開始する。今後、その動向を見ながら順次、MR3とHAも市場に投入していきたい考えだ。

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