コンクリートの洗い出しの方法と表面仕上げのポイント

コンクリート施工は、単純に生コンクリートを型枠に流し込んで固まるのを待てばよいというものではありません。コンクリートの仕上げは、表面を平坦にするだけではなく、鉄筋コンクリート造の場合、鉄筋を保護するかぶり部分の強化を目的としています。

滑らかで頑丈な表面を仕上げるためには、仕上げのタイミングが重要となり、そのタイミングを間違えてしまうと強化どころか脆弱になってしまう場合もあります。ここでは、仕上げのタイミングなどについて説明したいと思います。

Basilisk
Basilisk

1. コンクリートの洗い出しの目的

表面仕上げをする目的は、外観を美しくするほか、構造物の耐久性・水密性を増すためのものです。鉄筋コンクリートの劣化は表面から始まり、型枠面はコンクリートの質と締固めで耐久性が決まってきますが、上面のコンクリートは型枠がないため、コテ仕上げの仕方で品質が左右されてきます。

コンクリートは凝結が少し始まった段階で再度練り混ぜるとむしろ強度が増大する性質があります。凝結が始まっていてもコテなどで振動を与えると再び軟らかさをとり戻し、その時点で速やかに仕上げると緻密な組織となり、劣化因子の浸入を抑制する性能が向上します。

コンクリートの表面仕上げは、仕上げ面を緻密にして強化することを目的に行います。

1-1.仕上げのタイミング

コンクリートは、材料を混合して練混ぜ直後からセメントの水和が始まります。打込み直後から練混ぜ水の一部が上昇し、上面にブリーディング水が生じてきます。

ブリーディング水は水和反応に伴い、次第に減少していき、上面に溜まったブリーディング水も徐々に蒸発し、減少し始めます。この水の引きはじめたときに溜まったブリーディング水を拭きとってコテ押さえを行えば、表面を水で荒らすことなく表面仕上げができます。

一方、コテ押さえのタイミングが遅れるとコンクリートのこわばりが強くなり、平坦にしにくく、再振動による強度増加も期待できなくなります。タイミングを間違えることなく、再振動を与えながらコテ押さえをすることが表面を強化にするコツになります。

また、ブリーディング水が上昇しているときにコテ押さえをしてしまうとせっかく仕上げた表面が上昇する水によって荒らされ、また、ブリーディング水とともに上昇してくるセメント成分の微粒子や骨材の微粒分が表面に堆積し脆弱な層ができてしまうため、表面剥離する恐れがあります。

表面仕上げのタイミングは品質を決める極めて重要な工程となります。

1-2. 表面仕上げは適切なコテを選ぶことがポイント

表面仕上げは、再振動によるコンクリートの強化だけでなく、平坦に仕上げることが必要で、そのためには仕上げ面に与えるコテ押さえの力加減が重要になってきます。軟らかいときは、大きなコテを使用し、硬くなると小さなコテを使用します。金属製の大きいコテは重さがあるので、木製やプラスチィック製の軽い素材がおすすめです。

また、コテ押さえの順序としては、最初に木製のコテで荒均ししたあと、金属製のコテで再度コテ押さえをすることによって、緻密にすることができます。なお、平坦性を重視するなら剛性の高い金属性のコテがおすすめです。

以上のことより、表面仕上げは目的により、コテの大きさ、材質、形状を選ぶことがポイントです。すでに様々なコテが市販されているので、目的に応じたコテを選ぶことで表面仕上げがやりやすくなります。

2. その他の表面仕上げ方法

表面仕上げはコテ押さえの仕上げが一般的ですが、コテ押さえの他にほうき目仕上げや洗い出し仕上げがあります。ここでは、その2つの方法について簡単にご紹介します。

2-1. ほうき目仕上げ

ほうき目仕上げとは、コンクリートを打込み、平坦に均したあと、ブラシなどを用いて表面にほうき目を入れ、粗面に仕上げる方法です。道路などのコンクリート舗装面では、表面を平坦に仕上げてしまうと車がスリップする恐れがあるため、ほうき目を入れて粗面に仕上げています。

また、プレキャスト製品では、ほうき目などの模様がついたシートをあらかじめ型枠に貼付け、その上にコンクリートを打込むことによって、製品にほうき目模様を入れることが可能です。

2-2. 洗い出し仕上げ

洗い出し仕上げとは、表面のセメントペーストを高圧洗浄機などで洗い流すことで、表面のセメントペーストを剥がし、骨材を露出させる仕上げ方法です。コンクリートの打ち継ぎ面などコンクリート同士の付着が良くなるようにこの洗い出し仕上げが用いられます。

なお、洗い出し仕上げをするためには、表面凝結遅延剤というの硬化を遅くする液剤を使用します。洗い出ししたい部分があれば、この遅延剤をあらかじめ型枠に塗布し、コンクリートを打込みことによって、その部分を容易に洗い出すことができます。

また、型枠面がない箇所は、直接、遅延剤を噴霧することで洗い出すことができます。遅延剤にも洗い出したい深さによって種類があり、洗い出しできる深さは1mm~5mm程度です。

3. まとめ

今回、コテ仕上げをおもに説明させていただきました。表面仕上げは、コンクリート施工において最終的な品質を決める大事な作業工程です。仕上げのタイミングは上面に溜まった水が引きはじめたときに仕上げを行うことで均し面が緻密になり、耐久性向上につながります。

新規CTA