コンクリート構造物において施工不良が原因で起こりうる代表的なコンクリートの欠陥には、ジャンカ(豆板)、ひび割れ、表面気泡、表面凍結などがあります。
これは、バイブレーターのかけ過ぎによるコンクリートの分離や、逆に締め固め不足による型枠への充填不足、低温時の養生不足などが原因としてあげられます。
この記事でわかること
1. 施工不良により生じやすい欠陥
コンクリート構造物の施工中には思わぬことから様々な不具合が生じることがあります。
時間経過とともにそらが初期欠陥としてコンクリート片の剥離・落下といった変状を引き起こさせていることが少なくありません。施工不良により生じやすい欠陥を紹介します。
1-1. 豆板、砂目、
豆板とは、あばたやジャンカとも呼ばれ、コンクリート打設時の締め固め不足や砂利とセメントの分離、また型枠下端からのコンクリートペーストの漏れにより空隙ができ脆くなっている状態であり、コンクリート構造物に発生する代表的な初期欠陥です。
砂目はコンクリート中の水分が分離して表面に流れ出し、表面に細骨材が多く集まってできた縞状に露出した状です。
1-2. ひび割れ
ひび割れとは一般的に硬化したコンクリート又はモルタルに生じた割れ目のことです。
クラックや亀裂ともいいます。コンクリートの水密性や気密性を低下させるだけでなく、コンクリート内の鉄筋の腐食の原因にもなります。
1-3. 表面気泡
表面気泡(あばた)とは、型枠に接するコンクリート表面にコンクリート打設時に巻き込んだ空気あるいはエントラップドエアが無くならずに残って露出し、硬化してしまう状態です。
1-4. 表面の凍結
フレッシュコンクリートは-0.5~-2℃で凍結するとされています。
水が凍結することにより9%の体積膨張することによって、コンクリートの組織がもろくなりその後の強度増進は期待出来なくなります。冬季のコンクリートの打設時には凍結を防止するとともに、計画的な養生でコンクリート強度を確保することが重要になります。
2. 施工中に生じる欠陥の原因と対策
2-1. 材料分離
材料分離とはフレッシュコンクリートの運搬中や打設中または打設後において,コンクリートの構成材料の分布が不均一となる現象です。
2-2. 締固め不良・ゆきわたり不良
コンクリート打設時には振動を与え、型枠の隅々まで行き渡る為に締固めをします。
振動により余分な気泡を排除し、砂や砂利といった骨材やセメントなどが均一化され、コンクリート本来の強度・水密性・耐久性を引き出すことができます。
締固め不良とは振動締固めが不足したために起こる充填不足によるものです。また型枠の隅々まで行き渡るよう出来なかった場合がゆきわたり不良となります。
2-3. 型枠接触面の硬化不良
糖類はセメントの水和反応を抑制します。コンクリート構造物の型枠に使用される合板製コンパネに含まれる樹液内の糖分によりコンクリートの水和反応を遅延する方向に働き,程度によってはコンクリートが固まりきらず硬化不良になる事があります。
一 般に合板表面が長時間直射日光の照射を受けた場合に,糖類などの硬化阻害成分の出物量 が著しく増えることによって発生すると言われています。
防止方法として最も基本的なことは合板を直射日光に極力さらさないことです。
またアルカリ浸漬処理での防止法や合板表面の樹脂処理等の方法も考えられます。
2-4. コールドジョイント
コールドジョイントとはコンクリートの打設後相当時間が経過した層の上に、次のコンクリートを打ち継ぐことで生じる不連続面です。発生部分は一般的に強度が低下していることがあります。
コールドジョイントを防ぐには、打ち重ね時にコンクリート打設の間隔を出来る限り短くし、打ち重ね時にバイブレーター等を使い、前後のコンクリートの一体化を図るようにすることです。
2-5. 養生不良
コンクリートにおける養生とは、コンクリートを成長させるセメントの水和反応を十分に進めるために水分が逸散するのを防いだり、水和反応が適切に継続するように温度を制御することです。
また風雨、霜、日光等からコンクリートの露出面を保護し、過度の衝撃や荷重を与えないようにします。この養生の方法を誤るとひび割れの発生や強度の不足など不具合が生じ養生不良となってしまいます。
養生は,その目的に応じて「湿潤状態に保全」「温度を制御」「有害作用に対しての保護」の 3 項目に分類されます。
コンクリートは十分に硬化が進むまで必要な湿度条件を保ち、急激な温度変化等を受けないように必要に応じて温度制御することが必要です。
また養生期間中に予想される荷重や振動、衝撃等の有害な作用から保護することが必要になります。
3. まとめ
コンクリートは使用する現場により、様々な条件があります。
その条件をもとに適正な配合設計をすることはもとより、適正な打設や養生を行うことにより本来の機能を発揮します。
コンクリートにおいて疑問に思ったことについては、専門家にアドバイスを受けることが望ましいでしょう。