北海道胆振東部地震における液状化現象の被害

1.  北海道胆振東部地震の概要

北海道胆振東部地震は、平成30年9月6日の午前3時7分に、北海道の胆振地方中東部を震源として発生した地震で、地震の規模はマグニチュード6.7、震源の深さは37km。最大震度は、胆振地方の厚真町で北海道では初めて震度7を観測しました。

2. 地震被害の状況

この地震では震源に近い厚真町吉野地区の山林で大規模な崖崩れが発生し、多数の住宅が巻き込まれたほか、厚真町の他地区、安平町、むかわ町で多くの住宅が倒壊しました。

地震により、苫東厚真火力発電所をはじめ道内全ての火力発電所が緊急停止した影響で、道内全域の約295万戸で停電が発生しました。

大規模な停電によって、災害基幹病院では救急の受け入れ対応が出来ない状態が発生しましたが、一部では救急車の受け入れのみを再開しました。

電気事業連合会によると、北海道管内のほぼ全域で電力が止まる「ブラックアウト」が起きるのは初めてであったそうです。

また、札幌市内では地盤の液状化現象が発生し、清田区の里塚地区で道路の陥没や地盤の沈下、住宅の傾斜、土砂の流出などの大きな被害が発生しました。

2-1. 地盤の液状化とは

そもそも液状化とはどのような現象なのでしょうか。

液状化は、水分を多く含んだ砂地盤で発生しやすい現象です。

地震が発生する前は下の図1のように、すき間に水を多く含んでいても砂粒同士がかみ合って地表の建物を支えます。

しかし、地盤が地震によって激しい振動を受けると、今まで互いにかみ合って支えていた砂の粒はバラバラになって水に浮かびます(図2)

そして、揺れが収まるとバラバラになった砂の粒は沈み、図3、4のように以前より密になりその間にあった水は地表に湧き出てきます。

この時に地盤の沈下や建物、道路の沈下が発生し、逆に浮力を受けやすいマンホール等は浮き上がったりします。これが液状化です。

 

3. 被害原因の推定

今回の液状化現象は、札幌市清田区里塚地区の一部、斜面の谷あいにある造成地で発生しました。

およそ2ヘクタールの範囲で、液状化により建物の傾斜や不同沈下による損壊、道路の損傷、土砂の流出が起こり、札幌市が調査した288の建物のうち約4割の建物が立ち入り危険な状態と言われています。

被災した地区は、過去細長い谷地形でした。かつて谷であった箇所が造成によって火山灰質の土砂で埋められ、住宅地として区画整理されたのがこのエリアの成り立ちです。

元々谷であった場所の造成地には周囲の水が集まりやすく、前日北海道を通過した台風がもたらした降雨によって、埋め立てられた地盤は水を多く含む状態であったと推定されます。

ここに地震による強い揺れが加わったため、土砂が元の谷地形の下流側に向けて一挙に流れ出し、家屋や道路の沈下と谷底にあたる部分への土砂の流出を引き起こしたと推定されています。

4. 過去の液状化現象

札幌市の清田区では、過去にも大きな地震があった際に液状化を起こしています。

4-1. 2003年十勝沖地震

2003年に起きた北海道十勝沖地震では、震源からおよそ260kmも離れているのにも関わらず、清田区の美しが丘地区の沢を火山灰質土壌で埋め立てたエリアが液状化し、火山灰混じりの水の噴出、道路や家屋の沈下・傾斜をもたらしました。

なお、同じく清田区の清田団地では、1968年の十勝沖地震の際にも液状化被害が生じ、住宅の基礎の沈下などが報告されました。

5. まとめ

平成30年北海道胆振東部地震による液状化被害から得られた情報としては、以下のことが言えます。

・今回の液状化が発生した里塚地区は、火山灰を主とする盛土材料で埋め立てられた造成地と推定される箇所である。

・造成後の現在の地形も、谷地形の底にあたる部分であることに変わりはなく、水が集まりやすい地点であると推定される。

・地震前日の台風による降雨が液状化や土砂の流出に影響したことが考えられる

・液状化による大きな被害が出た要因としては、水を含むと流出しやすい火山灰質土壌が埋め立てに使われていたこと、水の集まりやすい谷地形であること、地震の前日に台風による強い降雨があったこと、震度5強(清田区)という大きな地震動を受けたことが考えられる。

日本にはこのような谷あいを埋め立てて造られた造成地が各地に点在し、そうした箇所の液状化リスクは高いといえます。

国土交通省では、全国の自治体が作成する液状化ハザードマップをポータルサイトで公開しています。(公開していない地区もあります)

お住いの場所の液状化リスクを調査するには、こちらのサイトを利用するのが良いでしょう。

また、これからの住宅や土地選びには、ハザードマップを参考にするほか、液状化リスクの高い谷埋め立て地区や池・沼があった場所、水田跡などの土地には注意を払う必要があります。

液状化リスクのある場所に住宅を建設する際には、出来る限り地盤の専門業者に相談し、適切な補強工事を行うのが良いでしょう。