コンクリート舗装のひび割れ

一般的な道路はアスファルトによって舗装されていますが、コンクリートを使用した舗装も近年増えて来ています。

コンクリート舗装の場合、設計・材料・施工などの不具合によりひび割れを発生させることがあり注意が必要ですが、アスファルト舗装と比較してライフサイクルコストが約2割低減出来たり、耐久性が高いなどの大きなメリットも持っています。

Basilisk
Basilisk

1. コンクリート舗装の特徴

舗装と言う言葉を聞いてまず思い浮かべるのは「アスファルトコンクリート舗装」

だと思います。略して「アスファルト」や「アスコン」とも呼ばれたりします。

主にセメントコンクリートを打設した舗装を「コンクリート舗装」と呼びます。

コンクリート舗装には以下のような特徴があります。

コンクリート舗装はライフサイクルコスト(生涯費用:初期コスト+維持管理コスト)がアスファルト舗装に比べて低廉です。初期コストではアスファルト舗装を上回りますが、供用後25年程度で比較すると維持管理コスト

がアスファルト舗装に比べて、約2割低減することが出来ます。

コンクリート舗装はアスファルト舗装に比べてたわみに強く耐摩耗性に優れており耐久性が極めて高いため、打換え頻度が低減でき、打換えに伴う環境負荷の軽減や維持管理の合理化が図れます。

コンクリート舗装は大型車の燃費向上に効果があります。コンクリート舗装における走行抵抗が、アスファルト舗装よりも約6~20%程度小さいという結果が走行試験において得られています。大型車の燃費換算では約0.8~4.8%優れている結果が確認されており、これは二酸化炭素排出量の削減に大きく貢献するものです。

都市化に伴うヒートアイランド現象の大きな要因は「地表面被覆の人工化」と「人工排熱の増加」にあります。「地表面被覆の人工化」とは地表面がアスファルト舗装などにより自然土壌に比べ、周囲の温度を低下させる役割である蒸発散作用が減少し熱的な特性が変化することです。

コンクリート舗装は明色性により温度低減効果を発揮するため、アスファルト舗装に比べて最大で10℃程度の路面温度低減効果があります。

相場変動が大きい原油価格に左右され基盤材料としては将来的なリスクを抱えるアスファルト材より、コンクリート舗装の主たる材料はセメントであるため原材料の安定供給が面からも優位です。また国民生活で排出する廃棄物・副産物を有効に生産工程に組み入れているため廃棄物処理の効率化や最終処分場不足の緩和も担っています。

2.  ひび割れの原因

コンクリートに生じる割れ目をひび割れと言います。クラックあるいは亀裂とも呼ばれています。ひび割れを発生させる原因を大別すると、設計・材料・施工の3つの要因があります。設計的な要因はコンクリートに生じた構造的な応力により曲げ・引張・せん断力によるものであったりします。

材料的な要因は単位水量が過大なため余分な水分蒸発によるひび割れや熱膨張したコンクリートが冷える過程で何かに収縮が拘束され生じるひび割れがあります。

施工的要因としては打重ね時間間隔が不適切であったり、コンクリートが硬化するまでに強い振動を受けたり、型枠との付着によりコンクリート表面が引張を受けたために発生するひび割れです。

3. ひび割れ以外の劣化

コンクリートのひび割れ以外の劣化要因は、コンクリートに含まれるアルカリ性の水溶液が砂や砂利といった骨材の特定成分と反応し膨張反応をおこすことにより、コンクリートを押し割る現象を生じさせるアルカリ骨材反応や、寒冷地におけるコンクリート内部の水分が凍結融解を繰り返すことでひび割れや表面の剥離が生じさせる凍害等があります。

4.  まとめ

コンクリートの寿命を縮める様々な要因やその要因によるひび割れについては、コンクリートの適正な設計や材料選定をすることにより解決でき、コンクリートの性能を十分に発揮できます。コンクリート舗装においてもアスファルトコンクリート舗装に勝るとも劣らない特徴がたくさんあります。お互いの特徴・特性を理解し専門化に相談しながら適材適所に使い分けすることが、資源の有効活用と言えるでしょう。

新規CTA