コンクリート建物の屋上防水のひび割れの影響と補修

 

建築物には、屋根のある小規模の建物などありますが、マンションのような大型の建築物では、平坦なスラブが屋上になっていることが一般的です。その屋上には防水処理がされており階下に水が浸透しないように対策されていますが、そこにひび割れが発生していた場合、どのような影響があり、どのような対処が必要なのか気になりますね。ここでは、それらについて記述していきたいと思います。

1. コンクリート建物の屋上防水の種類と特徴

屋上などの防水処理にはいろいろな工法があり、それぞれの特徴により用途に応じて使われています。それぞれの工法は、大きく割れて3つに分類されます。

1-1. 塗膜防水~「塗る」工法

コンクリートスラブの上面に液状の防水材料を塗って、化学反応により防水膜を作る工法です。いろいろな場所に施工可能な工法で便利な防止方法です。屋上にフェンス基礎や構造物があり一面平坦ではなく細かい作業が必要な場面で有効になります。

工法例:ウレタン防水 耐久年数:12年前後

<長所>

ウレタン防水は、液体のウレタンを塗布する工法なので下地の形状になじみやすく、施工も簡単で短期間で終わり安価です。既存の防水層があってもその上から塗ることもできます。

<短所>

施工を人の手で塗る為、完全に均一にはなりずらく、完全な外観にならないことがあります。また、経年による劣化とひび割れ等の亀裂に弱い特徴があります。

1-2. シート防水~「貼る」工法

ゴムや塩化ビニルでできたシートを下地に貼り付ける工法です。1枚のシートで防水ができるという簡便さがあります。

工法例:ゴムシート防水 耐久年数:13年前後

ゴムシート防水は、合成ゴム系の素材をシート状に成形して、下地に接着剤などで貼り付ける工法です。費用面では比較的安価で短工期で施工できる工法なので、応急処置としても最適な工法です。上面に保護層を塗れば軽歩行も可能です。

<長所>

合成ゴムの伸縮性が下地のひび割れなどに追随することは長所のひとつです。温度による物性変化が少ないので、施工地域の制約もなく耐用年数も長いことが特徴です。

<短所>

ゴムシートを接着剤で張り付ける為、下地が平らであることが条件になります。その為、複雑な形状には向かない工法と言えます。また、接着剤で張り付ける為に接着剤の性能がそのまま防水性に影響する傾向があり、接着剤の耐用年数が問題になります。さらにシート自体が薄い為、衝撃に弱いという特徴もあります。

 

工法例:塩ビシート防水 耐久年数:13年前後

塩ビシート防水は、塩化ビニル樹脂のシートを接着剤などで下地に貼り付ける工法です。単層防水の為、工期が短く費用も低く抑えられます。また、意匠性に優れ、色や模様がプリントされたシートもあります。

<長所>

紫外線、熱、オゾンなどに優れた耐久性を持ち、保護層無しで軽歩行が可能です。鳥害も受けにくく、鳥のついばみによる穴開けも発生しにくい特徴があります。シートが柔らかくて施工がしやすい、下地の撤去の必要が無いので、改修工事等に最適です。シート同士の接着で、接着剤でうまくいかない場合は、熱溶着をすることもできます。

<短所>

塩ビシート防水もシートを張り付ける為、下地が平坦である必要があります。また、シートを急に曲げたりすると切れやすくなります。さらに、塩化ビニルは硬い素材で、シートを柔らかくするために可塑剤が添加されていますが、それが気化してしまうと硬くなり、割れやすくなります。

1-3. アスファルト防水~「塗る」+「貼る」複合工法

アスファルト防水とは、合成繊維不織布にアスファルトを含ませてコーティングしたシート状のルーフィングを貼り重ねる工法です。アスファルト防水でも工法がいくつかあり、それぞれ方法が異なります。熱工法は、アスファルトを高温で溶解してシートを複数枚交互に積層します。密着工法と絶縁工法があります。トーチ工法は、シートの裏面と下地をバーナーで炙りながら貼り付ける工法です。密着工法と絶縁工法があります。常温工法では、液状のアスファルトを用いて、ルーフィングを複数枚交互に積層して貼り合せます。接着工法と絶縁工法があります。いずれも防止層が厚く連続しているので施工のばらつきが少なくて信頼性の高い工法です。

 <長所>

アスファルト防水は、防水層が厚く連続しているので、水密性が高いのが特徴です。保護モルタルで押さえれば、耐久性が高くなり、他の工法に比較して耐用年数が長く、メンテナンスの回数を減少できます。

 <短所>

施工時にアスファルトを高温で溶かすので危険作業になり、施工中に臭いが発生します。行く層にも重ねてアスファルトを流すので工事に手間がかかります。また、上を歩く場合にはそのままではいかず、保護モルタルを貼る必要があります。そのため屋根が重くなってしまうので木造には木造建築には向いていません。

2. 屋上防水のひび割れ症状とその原因

屋上のコンクリートがひび割れている代表的な例としては、アスファルト防水の抑えコンクリートが劣化によりひび割れている状況が良くあります。抑えコンクリートは、建物の構造的役割は無く、ひび割れていても建物の安全に問題はありません。また、コンクリートの下に防水層がありますので、多少の雨水が入り込んでも防水層がカバーしてくれます。ひび割れの原因としては、乾燥収縮や凍結融解、中性化による劣化などがあげられます。

ウレタン防水でもひび割れの症状を見ることがあります。ウレタン防水は、紫外線や雨水等の外的要因、施工時の防水膜の厚みや下地と防水膜の間の乾燥不足などによる施工的要因により劣化し、膜の破れや膨れが発生します。また、コンクリートスラブの上面に液状のウレタンを塗布する工法ですので、下地のコンクリートのひび割れが塗膜層にもひび割れを起こしてしまうことがあります。

シート防水については、ひび割れ症状というより、防水シートの劣化により破れ・剥がれ・浮き・シート下の水たまり等が発生します。これらは、日光や雨水などでシートが膨張・収縮を繰り返すことにより発生します。特に隅角部に症状が出やすくなります。

アスファルト防水の露出仕上げの場合には、継ぎ目のひび割れ、口開きなどの症状が発生します。シートとシートの継ぎ目部分が紫外線などの影響から経年劣化をおこし、硬くなってひび割れが発生したり、継ぎ目が開いたりする症状が見られます。

3. 屋上防水のひび割れが起こすリスク

屋上防水のひび割れ等の劣化症状によって起こるリスクとしては、工法の種類に関わらず、建物に雨漏りが起きてしまいます。雨漏りが起きてからでは損害が大きくなりますので、その前に劣化症状を発見し、補修対策などを取る必要があります。

4. 屋上防水のひび割れの補修対策

まず、アスファルト防水の上に抑えコンクリートがある場合、抑えコンクリート自体のひび割れでは、下の防水層があるのですぐに雨漏りにつながることはありません。しかし、ひび割れから雨水等が入り込む状況で年数が経つと防水層が劣化して雨漏りをしてしまいます。ひび割れ幅が0.3㎜以上になっている場合は、コンクリートのひび割れ部分を電動工具でU字型にカットして、シーリング材・エポキシ樹脂を充填するUカットシール工法などでひび割れをふさぐ対策を取る必要があります。

また、アスファルト防水露出仕上げで、継ぎ目ひび割れなどが発生している場合は、トーチで炙り直して補修することが可能です。

ウレタン防水などでは、劣化した一部を切り取り、下地処理をやり直して再度ウレタンを塗布する方法などが取られます。

5. まとめ

ここまでマンションやビルの屋上防水の種類やひび割れ等の劣化原因とリスク、疎の補修方法などをまとめてきましたが、防水工事で大切なのは工事後の保証です。

防水工事には通常保証書が出ます。保証書には、保証期間が明記されているはずなので、ますはその期間を確認することが必要です。保証期間内であれば、補償がききます。保証書が無い場合でも、専門の業者や防水材料メーカーなどに問合せして対策を講じる方が良いでしょう。雨漏りは、マンションやビルの住人の財産に損害を与えかねない大きな問題になる可能性があるからです。