コンクリートのスランプ試験とは、凝固する前のコンクリートの流動性を示す値を調べる試験です。 このスランプ値が大きいほど、流動性が高いと判断されます。
試験方法は、スランプ台板の上に置いたスランプコーンに生コンクリートを規定層詰め、各層を規定回数突きます。
スランプコーンを垂直に約3秒で引き上げ、引き上げ前の状態(30㎝)から何㎝下がったかを測定します。
1. スランプ試験とは
スランプ試験とは、スランプ値を求めるための試験のことです。
スランプ値とは、凝固する前の生コンクリートの打設作業の難易度や効率性、ワーカビリティーを調べる指標のひとつである流動性を示す値のことです。
生コンクリートはスランプ値が大きいほど、流動性が高いということになります。
スランプ値の単位はcmで表され、通常建築物に使用される生コンクリートのスランプ値は15cm~18cmが適正とされています。
適正でないスランプ値の生コンクリート使用はジャンカなど劣化の原因となります。
また、ダムなどの土木工事では建築物用の生コンクリートよりもスランプ値が低く、より強度の高い生コンクリートが使用されます。
2. 試験方法
スランプ試験は次の手順で行います。
まず、スランプ台板と呼ばれるステンレスなどでできた板を水平に設置します。
次に、スランプコーンと呼ばれるメガホンのような円錐状の筒形をした試験用の入れ物をスランプ台板の中心に置き、下部の耳と呼ばれる出っ張った部分を足で踏みしっかりと固定します。
設置したスランプコーンの中にハンドスコップなどを使って上から生コンクリートをほぼ等しい量の3層に分けて詰めていきます。
その際、層ごとにスランプ突き棒と呼ばれる金属の棒で25回ほど攪拌しながらいっぱいになるまで詰めます。各層を突く際の突き棒の突き入れ深さは、その前の層に届く程度にします。
スランプコーンがいっぱいになるまで生コンクリートを詰めたら、スランプコーンの上面をコテでならします。
スランプコーンの取っ手をつかみ、足をスランプ台板の外側に移動してから、約3秒をかけて静かにスランプコーンを垂直に引き上げます。
スランプ台板上に残った試験体生コンクリートの中央部の高さが何cm下がったか、通常スランプコーンは30cmの高さがありますので、+30cmからの落ち幅をスランプ検尺などを用いて0.5cm単位で測定し、これをスランプ値とします。
3. スランプ値の基準
スランプ値が大きければその分頂部の高さが下がっているので生コンクリート流動性は高いと言えます。
通常建築物に使用される生コンクリートのスランプ値は15cm~18cmが適正とされています。
なお、あまりにも流動性が高い生コンクリートは、スランプコーンを引き抜くと水溜り状に拡がってしまいます。
その場合はスランプ値の代わりに、試験体生コンクリートの広がりの直径の値をスランプフローとして用います。
4. スランプ値の報告
スランプ値の報告は主に下記の項目について行います。
- 試験年月日
- 試験日の天候
- 試験室の温度または気温(℃)
- バッチ番号または運搬車番号
- 粗骨材の最大寸法(mm)
- コンクリートの温度(℃)
- スランプ値(cm)
- 突き回数(材料分離の恐れで突き回数を減らした場合など)
5. まとめ
スランプ値はその建築物や工事現場の種類や施工方法に適した粘性、軟らかさをもった生コンクリートであるかどうかをはかる指標であり、作業のしやすさ、ワーカビリティに大きく影響してきますので、正確に測ることを心がけましょう。
また、狙ったスランプ値が出なかったからといって加水などを行うのはコンクリートの強度を下げますので絶対にやめましょう。