- コンクリートの比重
普通コンクリート |
2.3t/m3前後 |
鉄筋コンクリート |
2.4~2.5t/m3 |
高強度コンクリート |
2.4t/m3前後 |
軽量コンクリート1種 |
1.8~2.1t/m3 |
軽量コンクリート2種 |
1.4~1.8t/m3 |
普通コンクリートの比重はおおよそ「2.3」、鉄筋コンクリートの比重は「2.45」程度です。
質量を求める際の式は、
- 質量=体積(縦・横・高さ)×比重
になります。
また、比重を求める際の式は、
- 比重=物体の質量/物体の体積と同じ量の水の質量
になります。
比重とは、ある物質の質量と同じ体積の水(4℃時)に対する質量の比です。
コンクリートの場合、「比重」より「単位容積質量」や「単位体積重量」といった値で表されるのが一般的ですが、コンクリート製品やコンクリート塊の質量のおおよその値をざっと計算するためにも、比重の値を憶えておくと便利です。
コンクリート製品やコンクリート塊の寸法(高さ×幅×奥行き)に、これらの値をかけることで質量を求めることができます。
この記事でわかること
1. コンクリートの単位容積質量・単位体積重量
ここからは、もう少し詳細にコンクリート構造や製品の設計に使われる際の値について解説します。
「単位容積質量」と「単位体積重量」は、どちらもコンクリート1立方メートルあたりの質量(重量)を指しますが、建築の分野では「単位容積質量」が用いられ、単位はt/m3で表されます。一方土木の分野では「単位体積重量」が用いられることが多く、単位はkN/m3となります。
質量60kgの物質は、地球上でも月面でも宇宙空間でも変わらず質量は60kgです。 これに対して重量(重さ)は、その物体に働く重力の大きさのことをいいます。 重力の大きさは物体のある場所によって変わりますので、物体の重量(重さ)は一定ではなく、重力の小さい月面では重量は地球上の約6分の1、重力の影響の及ばない宇宙空間では限りなく0に近い値になります。
重量の単位はN(ニュートン)で表されます。質量1kgの物体の地球上での重量は、重力加速度を掛けて 1kg × 9.8m/s2 = 9.8Nとなります。
1-1. 普通コンクリート・鉄筋コンクリート
コンクリートの種類
資 料 名
建築分野
土 木 分 野
JASS5鉄筋コンクリート工事
道路橋示方書・同解説
コンクリート標準示方書
(構造性能照査編)
普通コンクリート
2.3t/m3前後
23.0kN/m3
22.5kN/m3~23.0kN/m3
鉄筋コンクリート
2.4~2.5t/m3 ※1
24.5kN/m3
24.0kN/m3~24.5kN/m3
高強度コンクリート
2.4t/m3前後
-
-
プレストレスを導入するコンクリート
(設計基準強度60N/mm2以下)
-
24.5kN/m3
24.5kN/m3
プレストレスを導入するコンクリート
(設計基準強度60N/mm2を超え
80N/mm2まで)
-
25.0kN/m3
-
セメントモルタル
-
21.0kN/m3
21.0kN/m3
※1日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」による
つまり、普通コンクリート1立方メートルあたりの質量は約2.3t、鉄筋コンクリートの場合は約2.45tということになります。
1-2. 軽量コンクリート
一般的な材料を用いた普通コンクリートの他に、密度の小さい材料(軽量骨材)を使用して質量(重量)を軽くした軽量コンクリートがあり、建物自重の軽減などの用途に用いられています。
軽量コンクリートの単位容積質量・単位体積重量は以下のようになります。
コンクリートの種類 |
資 料 名 |
||
建築分野 |
土 木 分 野 |
||
JASS5鉄筋コンクリート工事 |
道路橋示方書・同解説 |
コンクリート標準示方書 (構造性能照査編) |
|
軽量コンクリート1種 (骨材の一部が軽量骨材) |
1.8~2.1t/m3 |
- |
18.0kN/m3 |
軽量コンクリート2種 (骨材の全部が軽量骨材) |
1.4~1.8t/m3 |
- |
16.5kN/m3 |
軽量コンクリートを用いて建物重量を軽減することによって、基礎部分や柱や梁、杭などの断面を小さくしたり強度を低くしたりできることで、建物のトータルコストを低くできるというメリットがあります。
また、軽量コンクリートに用いられる軽量骨材には空隙が多いため、軽量コンクリートの熱伝導率は一般的なコンクリートに比べて低いという特徴があります。
このため、軽量コンクリートは断熱性に優れており冷暖房効率を高めることができます。 軽量コンクリートについてのより詳しい情報は「軽量コンクリートの種類とメリット・デメリット」をご覧下さい。
2. セメントと骨材の比重(密度)
コンクリートの質量は、用いる原材料の種類と重さによって変化します。
原材料のうち、セメントと骨材の密度について紹介します。
2-1. セメント
セメントの密度は製造するメーカーや種類によって異なりますが、普通ポルトラントセメントの場合は3.15g/cm3~3.16 g/cm3です。よって、コンクリート材料の中で一番比重が大きいセメントの使用量が増えると、コンクリートの単位容積質量も増加します。
セメントの種類 |
密度 |
普通ポルトランドセメント |
3.15~3.16g/cm3 |
早強ポルトランドセメント |
3.13~3.14g/cm3 |
高炉B種セメント |
3.04~3.05g/cm3 |
2-2. 骨材
コンクリート材料の7割を占める骨材ですが、密度が大きい場合は単位容積質量も増加します。逆に軽量骨材を使用すると、単位容積質量は小さくなります。
主な骨材の密度は次のとおりです。
密度2.5~2.6 g/cm3 普通骨材・・・砂・砂利、砕石、砕砂、再生骨材など
密度0.7~1.8 g/cm3 軽量骨材・・・火山砂利、人工軽量骨材、膨張スラグなど
密度3.0~5.0 g/cm3 重量骨材・・・重晶石、鉄鉱石など
3. 生コンクリートの比重、質量について
ここまでは硬化後のコンクリートの質量について解説してきました。
では、まだ固まらない生コンクリート(フレッシュコンクリート)の状態での質量はどれほどなのでしょうか?
フレッシュコンクリートは、硬化後の乾燥したコンクリートに比べて水分を多く含むため多少質量は大きく、比重は2.3~2.4程度と見積もっておくのがよいと思います。
より正確には、フレッシュコンクリート1立方メートル中の水、セメント、細骨材(砂)、粗骨材(砂利)の値を合計することで単位容積質量を求めることができます。
4. フレッシュコンクリートの単位容積質量の試験方法
フレッシュコンクリートの単位容積質量は、実際に生コンクリートから少量のサンプルを採取して測定することもできます。その方法は、日本工業規格「JIS A 1116 フレッシュコンクリートの単位容積質量試験方法及び空気量の質量による試験方法(質量方法)」で規定されています。
5. コンクリートについてもっと詳しく知りたいときは?
生コンプラントから配達されたコンクリートについて、もっと詳しく知りたいときは、生コン製造者が発行する「コンクリート納品書」「配合計画書」を参照しましょう。
コンクリート配合計画書には、強度やスランプのほか、1立方メートル中のセメント・骨材・水などの材料の標準配合量が記載されています。原材料の産地や品質データ、水セメント比などもわかります。
配合計画書に書かれている1立方メートル中の材料の量(「標準配合」といいます)の値を合計すると、生コンクリートの単位容積質量の推定値を知ることができます。
コンクリート納品書は、生コン車と一緒に現場に配達される納品伝票です。こちらにも強度やスランプといった配合の呼び方や原材料の配合量に関する情報が記載されています。
どちらもコンクリートの品質と性能を示す大切な書類です。