コンクリート面の浮き・剥離について

近年高速道路や鉄道などのトンネル内に、モルタル片やコンクリート片が剥落するというニュースが報道され、社会的に大きな問題として取り上げられています。

じつはこの剥落は急に起こった現象ではなく、モルタルやコンクリートに年月の経過によって浮きや剥離が生じ、さらに劣化が進行したり何らかの衝撃を受けることで、剥落したと考えられます。

ではなぜモルタルやコンクリートに浮きや剥離が生じてしまったのでしょう。

ここでは、コンクリート面の浮きや剥離の発生メカニズム、発生要因、探査方法について解説していきます。

1. コンクリート面の浮き、剥離の発生メカニズム

1-1. コンクリート面の浮き

コンクリート面の浮きは、コンクリートの内部でひび割れが連続したり、施工時に欠陥があった場合、その後の振動や変形力によってその欠陥部同士が連続し、コンクリートの表面部分と内部のコンクリートが一体性を失うことによって起こる現象です。

1-2. コンクリート面の剥離

コンクリート面の剥離は、浮きの状態であった表面のコンクリートが、震動などの原因により元のコンクリートからはがれ落ちる現象をいいます。

剥離の場合には、浮きの状態と比較して目視によって確認することが可能です。

 

2. コンクリート面に浮きや剥離を発生させる要因

コンクリートに浮きや剥離を発生させる要因のほとんどはコンクリートの劣化現象により発生していることが多いと考えられます。

ここでは劣化現象がどの様な経緯を経て、コンクリートに浮きや剥離を発生させるのかを解説します。

発生要因となる劣化

劣化現象の解説と浮きや剥離を発生させる理由
1.中性化 コンクリート中の鉄筋は、普段はコンクリート内部のア

ルカリ性に起因し生成される不動態被膜により守られて

いますが、環境中の二酸化炭素の影響を受け、次第にコ

ンクリートの内部がアルカリ性から中性に変化していく

ことで、鉄筋を腐食から保護していた不動態被膜が破壊

され腐食反応が進行し始めます。

かぶりの薄いコンクリート構造物などでは、鉄筋の腐食

による膨張でコンクリートの内側から外側に向けて押し

上げる力が働き、コンクリート表面に浮きを起こします。

2.塩害 コンクリート中に塩化物が多量に含まれている場合、塩

化物イオンが鉄筋の不動態被膜を破壊し、鉄筋の腐食反

応が進行し始めます。

鉄筋の腐食による膨張で中性化と同様に、コンクリート

表面に浮きの状態を起こします。

3.アルカリシリカ反応 コンクリートの材料に反応性骨材を使用した場合、コン

クリート中のアルカリと骨材が反応し、アルカリシリカ

ゲルを生成します。

このアルカリシリカゲルが水分と化学反応を起こすこと

で膨張し、コンクリート全体に不規則なひび割れを発生

させます。

アルカリシリカ反応が進行していくことで、次第にコン

クリートの表面にもひび割れが広がり浮きを発生させま

す。

4.凍害 コンクリートに良質な気泡(空気量)が足りない場合、コン

クリート中の水分凍結による膨張圧を吸収できず、亀甲

状の微細なひび割れが発生し、劣化が進行していくとコ

ンクリート表面が破砕するスケーリングを発生させます

5.化学的侵食 二酸化炭素や無機酸(硫酸、塩酸、硝酸)、有機酸などが外

部からコンクリートに浸入することで、コンクリート内

部の水和物が分解されたり、反応の伴い膨張を起こしひ

び割れを発生させ、劣化が進行すると剥離や剥落を起こ

します。

6.疲労 コンクリートが比較的低い荷重作用を繰り返し受けるこ

とで、補強鋼材への亀裂や、コンクリートに曲げひび割

れを発生させ、その後劣化が進行することで剥離を起こ

し、最終的には剥落に至ってしまうことがあります。

 

 

 

3. コンクリート面浮き、剥離現象の探査方法

コンクリート面の浮きは、コンクリートの内部に発生した不具合が原因となっていることがほとんどであり、剥離と比較してなかなか目視により確認することが難しい為、以下の方法を用いて探査を行います。

探査方法 探査内容
1.打音法 ハンマー等で叩いた打撃音から浮きの原因となるコンク

リート内部の空隙を等を検出する方法です。

2.赤外線法 コンクリートの健全な部分と浮きのある部分の温度差を

赤外線カメラで撮影することで、面的にコンクリート上

部の浮きを検出する方法です。

コンクリート表面温度は、外気温の変化に伴い同等に変

化が生じます。

コンクリート面の浮き部は、健全な面と比較し温度が上

がりやすく、冷めやすい特性である為、健全な部分と浮

き部分には温度差が生じ検出することが出来ます。

3.超音波法 コンクリートの表面に発振器、裏面に受振器を設置し、

発振器から超音波を発射し受振器で受け、その周波数分

布をコンクリートの健全な部分と比較することで、表面

の浮きなどの欠陥を調査するものです。

4.電磁波法 コンクリートの表面から内部に向けて電磁波を放射し浮

きを調査する方法です。

コンクリート中の健全な部分と浮きが見られる部分は電

気的に性質が異なる為、電磁波を放射するとコンクリー

ト内部に浮きがある場合、その表面で反射されコンクリ

ート表面に反射波として受信されます。

この電磁波の送信から受信までの時間によってコンクリ

ート内部の浮きの有る位置を確認します。

4. おわりに

ここまで、コンクリート面の浮き、剥離の発生メカニズム、要因、探査方法について解説してきました。

コンクリート面の浮きはなかなか目視では発見しにくく、もし目視で確認できる状態まで進行しているのであれば、そのコンクリートはかなり大きなダメージを受けていると言えます。

また浮きをそのままに放置して置くと、やがて劣化が進み剥離、最終的には剥落を起こし、人命に関わる重大な事故にもつながることになります。

その為にも定期的な調査が必要になります。

しかし探査にはいずれも専門的な知識と技術が必要であることからも、信頼できる専門機関に相談することをお勧めします。