北海道建設新聞 2015年10月22日号
「硬化開始時間を自在に 1次凝集構造体利用の新コンクリ開発」
會澤高圧コンクリート(本社・苫小牧)は、硬化開始時間を自由にコントロールできる高性能、高耐久のコンクリートを開発した。現場の工程に合わせた硬化開始や、現場でプレキャスト製品を製造する「オンサイト型プレキャスティング」という新たな建設モデルの確立で、人手不足やプラント不足といった現場の課題解決につながりそうだ。
21日、札幌市内で開いた同社創業80周年記念祝賀会で発表した。
セメントの質量に対し25%という少ない水でセメントを練る時に生じる1次凝集構造体を利用する。セメント粒子が4~5個の単位で結合したもので、高い安定性が特長。この構造体へコンクリートの配合に必要な残りの水(2次水)を加えると、ペースト状の物体ができる。
同社はこれを「水分割練ペースト(pMp)と命名。生コンを製造するには、pMpを骨材とともにミキサー車の傾胴型のドラムに投入し、かき混ぜる。pMpを用いて製造したコンクリートは高い緻密性と保水力を持ち、ブリーディングを抑制。時間の経過と共に水和が進むため強度が高まるという性質もある。
pMp用の2次水に凝結遅延剤を混ぜると、セメント粒子が遅延剤で被膜され、水和反応を数日間停止させられる。骨材とともにミキサーに投入すれば摩擦で被膜が剥がれて数分で生コンの性状が現れる。この性質を利用して自由に硬化を開始させられる。
1次凝集構造体は粘性が非常に高く、一般的なミキサーでは生成できないため、同社は独自のミキサーを含む「pMp製造モジュール」を同社札幌支社菊水工場内に建設。1時間で60立方メートルの生コン製造に対応する。
活用方法として想定しているオンサイト型プレキャスティングは、工場から液体のpMpだけを運び、重量物である骨材は現場に近い場所から搬入して建設現場で生コンを混練後、プレキャスト製品を製造するというもの。引き続き試験などを進め、用途開発の方向性を模索していく。
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