北海道住宅通信 2015年10月25日号

「硬化開始を自在にコントロール 特殊セメント利用の新製法開発」

會澤高圧ココンクリート(苫小牧市)は、硬化が始まる時間を自在にコントロールできる高機能・高性能コンクリートを開発した。

「pMp(paste・Mix・preceded)」と称する特殊なセメントペーストを先行生成して生コンを仕上げる分割練り製法のひとつ。水和反応を数日間停止させ、実際に生コンを使いたいときにミキサー車のドラムに入れ、回転を加えて硬化を開始させる。現場の工程に合わせて生コンの最適なフレッシュ性状を引き出せるため、使い勝手が格段に向上するほか、建設現場でコンクリート構造部材を製造して現場で組み立てる「オンサイトプレキャスト」という新たな建設業モデルにもつながる。

セメントに対し25%という極端に少ない水でセメントを練り続けると、最初は不規則に結合していたセメント粒子が4つまたは5つの粒子の塊に分裂する。強固で壊れにくく安定性の高いこの粒子塊を「一次凝集構造体」と呼ぶ。強制二軸型ミキサーなど一般的なコンクリート製造装置では一次凝集構造体を生成できないため、同社は極小の水でセメントを練り上げることができる攪拌性能に優れたミキサーを独自に開発した。中軸スクリュー羽で材料を巻き上げ、落下する材料を反転する外羽でさらに攪拌するコーンタイプのミキサー。

1時間に60m3の生コン生産が可能なpMpモジュールを完成させた。

餅のような強い粘性を持つ一次凝集構造体に、コンクリートの配合上必要な残りの水(二次水)を加え、ペースト状のpMpに仕上げる。このpMpを所定の骨材とともにミキサー車のドラムに入れて最終のコンクリートが完成する。このコンクリートは驚異的な保水力を持ち、ひび割れなど構造体不良の主因であるブリーディング(打設後に石やセメントなど重い材料が下に沈み、軽い水が上に上がってくる減少)を大幅に抑制できる。

同社では、確立したpMpの生成技術をベースに、硬化する時間を自在に決められる高性能コンクリートに進化させた。あらかじめ凝集遅延剤を加えた二次水によって一次凝集構造の粒子塊をひとつひとつ被膜し、わずかな遅延剤で数時間、水和反応を停止させる製法を実用化した。

効果を開始するには、ミキサー車のドラムを回転させ、被膜したpMpペーストに骨材が衝突する摩擦エネルギーによって被膜を解くだけ。数分で生コンとしてフレッシュ性状を生み出すことができる。

この製法によって、工場から液体のpMpだけを運び、重量物の骨材は現場に近い場所から別途搬入し、現場で生コンに仕上げることが可能になる。この方法で建設現場でプレキャスト製品を製造すると、別の工場でプレキャスト製品を製造して遠距離の現場に搬入する方式に比べ、CO2排出量を約4割削減できるとの試算も。

同社はpMpコンクリートを活用したプレキャスト製品を建設現場で製造することで環境負荷の低減を進め、構造的な人手不足に悩む建設業の生産性向上に貢献していく意向。

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