月刊コロンブス 8月号 2016年7月28日号

「寒冷地で培われたコンクリート技術に海外各国が注目 環境配慮型の開発も」

中小企業庁がこのほど公表した「はばたく中小企業・小規模事業者300社」(本誌7月号掲載)に選ばれた北海道企業のひとつが會澤高圧コンクリート㈱。創業81年目、道内の重要なインフラ工事を数多く手掛けてきた老舗だ。選定理由は「北海道ならではの技術で海外市場を切り開いている」とのこと、そのあたりの事情について會澤祥弘社長に聞いた。

コンクリートは水とセメントの化学反応をもとに、砂利や砂などの骨材と化学添加物を混ぜて仕上げていく。一見カンタンそうに思えるが、その扱いは難しい。たとえば強度については、一般住宅の基礎部分に使われるもの(1平方ミリ当たり約20ニュートン)から超高層ビルに使われる高強度コンクリート(同100ニュートン以上)までさまざまだ。とくに難しいのが各種材料の配合設計と生成時の温度コントロールで、温度では一般に日平均気温が5~25℃の範囲外の高温、低温下では強度にバラつきが出てしまうため、型枠内に流し込む打設時まで一貫した管理が必要になるという。こうした特徴について、會澤社長は「コンクリートはいわば処方箋ビジネス、モジュール化できない究極のすり合わせ産業」と表現する。

同社は2009年、モンゴル・ウランバートルに現地法人を設立した。モンゴルでは気温マイナス40℃にもなる厳冬期に生コン(凝固する前のコンクリート)を製造する技術がなく、建設工事の中断を余儀なくされてきた。しかし、同社には寒冷な北海道で長年にわたって積み上げてきたノウハウがある。具体的には「蒸気配管を施した寒冷地仕様のプラントで、骨材温度や練り水の温度を適正に保ち、水和するセメントの自己発熱力を最大限引き出す混和剤を使用する」といった技術を持っているという。おかげで、一年を通じて生コンを製造できるようになり、モンゴルにおける冬季の生コン供給は同社の独占状態になっているという。また、反対に高温のところでは「液体窒素を用いて温度を下げるなどしてコンクリートを理想的な状態に保つこともできる」ので、東南アジアやアラブ地域からもオファーがあるそうだ。

さらなる展開に向けた取り組みとしては昨年10月、「硬化がはじまる時間を自在にコントロールできる高機能・高耐久コンクリート」を開発。「pMp」と呼ばれる特殊なセメントペーストを先行生成して生コンを仕上げる分割練り製法で、水和反応を数日間停止させておき、生コンを使用したいときにミキサー車の傾胴ドラムに所定の回転を加えて硬化を開始させることができるというもの。この製法のおかげで建設現場の生産性向上のみならずコンクリート生成から施工までの二酸化炭素発生量も大幅に削減できるようになったという。真っ向から開発ニーズに立ち向かう企業マインドはまさにはばたく中小企業といえるだろう。

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