週刊ブロック通信 第3043号 2019年6月24日号

ドローンで維持補修
MIT発ベンチャーと提携

會澤高圧コンクリート(本社、北海道苫小牧市若草町3-1-4、社長=會澤祥弘氏)は、ドローンを使ったビジネスに本格参入する。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)発の航空宇宙ベンチャー、トップフライトテクノロジーズ(TFT)と提携してTFTの特許「ハイブリッド電力システム」を搭載した長距離・大容量の産業用ドローン(UAV)を共同で開発し、コンクリート構造物を中心に監視や維持補修等のサービス事業を展開する。

同社はバクテリアの代謝機能を活用した自己治癒コンクリート「バジリスク」をインフラメンテナンス分野の中核事業と位置付けて実用化に向けた動きを加速しており、事業展開のひとつとしてドローンを使い液体ひび割れ補修剤「バジリスク ER7」を施工する技術の確立を目指している。

ドローンの動力源はバッテリーが主流だが、飛行時間が最長でも15分程度と短くバッテリー交換が煩雑だ。このため同社は、遠隔地のコンクリート構造物にドローンでER7を自動塗布する目視外ロボット施工法を確立する上で、ペイロード(最大積載量)が最低10kg以上、航続時間が1時間を超える本格的な産業用機体が不可欠と判断し適切な機材の模索を続けていた。TFTの機体は1回の給油で長時間の飛行が可能で、運行管理の手間を大幅に削減する事ができる。さらに安定飛行の妨げとなるエンジンの振動を抑制する機能や、優れたセンシング技術により悪天候でも安定した飛行を実現する。両社は燃料やセンサー類を除き、最大10kgの積荷を抱えて最長1時間の継続運行が可能な新型機2機を今夏までに開発する計画。機体には、➀レーザー照射の点群データを元に、地形図や構造物の3D画像を作成する高性能ライダー➁高解像度(4K)電子光学カメラ➂コンクリートの表面の浮きや剥離を解析するのに使うサーマルイメージングカメラ(サーモグラフィー)➃コンピュータユニットー等を搭載する予定。これらの搭載装備だけで8~10kgあり、機体総重量は33kgに達する見通し。

新型機の開発により、地上データをドローンから収集・統合・蓄積・更新して顧客に付加価値の高い情報を提供し続ける「地理情報システム」(GIS)サービスが展開できるようになる事から、コンクリート系のインフラ点検だけでなく、大規模農地の育成状況をモニタリングしながら農薬を散布したり、長大な送電線網を目視外で自動監視するなど、様々な用途に活用できるとみている。

機体の運行や保守点検は、国内ドローン業界のパイオニアで全国28ヵ所の認定教習所を持つTEAD(群馬県高崎市)と提携する計画。

週刊ブロック通信 第3043号

記事はこちらからご覧ください「20190624 週刊ブロック通信

新規CTA