北海道住宅通信 2017年4月25日号

「自己治癒コンクリート材 幅1ミリのひび割れも自動修復 會澤高圧コンクリートが国内独占販売」

會澤高圧コンクリート(苫小牧市)は4月11日、オランダのバイオベンチャー企業、バジリスク社(デルフト市)と、バクテリアを使った自己治癒コンクリート材料の日本国内での独占販売契約を締結したと発表した。コンクリートのひび割れ対策は世界的にも永遠のテーマとされていたが、バイオテクノロジーとコンクリート材料技術の融合によって自己治癒が可能になり、コンクリートのメンテナンスフリー時代に道を拓く画期的な試みとして注目される。

自己治癒は、ひび割れに代表されるコンクリートの損傷をコンクリート自体が自動的に修復する機能。會澤高圧コンクリートが国内に投入するのは、オランダのデルフト工科大学のヘンドリック・M・ヨンカース教授が率いる研究チームが開発した、コンクリートに配合する特殊なバクテリアの代謝活動によって自己治癒を実現する新技術。

同技術は、乾燥状態では胞子状の殻をまとって身を守り、休眠したまま200年間行き続けられるバシラス属のバクテリアを使う。この胞子をバクテリアの餌(栄養分)となる乳酸カルシウムによって圧縮・固化し、さらに生分解性プラスチックの殻で覆って粒子状のカプセル「HA(ヒーリングエージェント)」として生成。所定の量のHAを配合して生コンクリートを製造する。

HA内のバクテリア胞子は、コンクリートを練り混ぜる際は生分解性プラスチックの殻によって摩擦や水から守られ、活性化せずにコンクリートの硬化が進む。硬化後、その殻は徐々にもろくなり、コンクリートにひび割れが発生すると、割れ目から浸透した水にバクテリア胞子が反応し、餌である乳酸カルシウムと酸素を取り込み、コンクリートと同じ成分である炭酸カルシウムを生成。ひび割れ部分を自然に埋める仕組み。

炭酸カルシウムの生成過程で副産物として発生する水は、コンクリート中に残っているセメント成分と反応して水酸化カルシウムとなり、同じく副産物の二酸化炭素と反応し、ひび割れの中に炭酸カルシウムを増やし、修復の進行を加速する。

自己治癒能力は、HAの混入量によって最大幅1.0mmまでのひび割れに対応できるという。

バジリスク社は、コンクリートの自己治癒材料の製品化の後、現在はHAのさらなる小型化に取り組んでいる。また、同技術を利用したコンクリート補修材量も同時に開発。ひび割れ部分に塗布することで最大0.8mmまでのひび割れを修復する塗布型材料や、コテ塗りで使えるモルタル材料をラインアップしている。

會澤高圧コンクリートは今夏から塗布型材料を発売し、需要動向を見極めながらモルタル材料やHAを市場に投入するほか、同大学との共同開発にも注力していく。

※北海道住宅通信記事中の「幅1センチ」の記述は、「幅1.0ミリ」の間違いです。修正いたします。

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