コンクリート新聞 2018年7月26日号

~北海道地区特集~
會澤高圧の最新技術動向
時間的制約を解消~分割練り技術 シグマベースと連動

北海道苫小牧市に本社を置く総合コンクリートメーカーの會澤高圧コンクリート(會澤祥弘社長)は、これまで培ってきたコンクリート技術と他分野の技術、知見を掛け合わせることで従来にない画期的な発想の新技術を開発している。硬化時間を自在に制御できる高機能・高耐久コンクリート「pMpコンクリート」をはじめ、バクテリア自己治癒コンクリート、3Dプリンティング技術を活用したコンクリートの積層造形工法など多種多様な技術の事業化を進めている。

pMpコンクリートは分割練混ぜ製法によるコンクリートで、セメントに対して25%という極めて少量の水で先行練混ぜを行い、強固で壊れにくい粒子塊「pMp」を造成し、二次練りで凝結遅延剤を投入してそれを被膜することで水和を停止させる。被膜はpMpが骨材とぶつかるエネルギーで解かれるため、骨材投入の調整で硬化時間を自在に制御でき、従来の生コンのように時間的制約にしばられることなく適用できるのがメリットだ。

同社ではi-Construction(アイコンストラクション)でプレキャストコンクリートの活用が推進されていることを受けて、生コンの良さを活かしつつそれに対応できる方策として、現場で型枠に打設して製品を製造するサイトプレキャスト工法をターゲットに事業化を検討している。

同社真壁工場(茨城県桜川市)にpMp製造設備を移設して、pMpコンクリートを使用した建築部材の製造を検討してきたが、現在は同社が開発した戸建て注文住宅用プレキャスト基礎工法「シグマベース」と連動したビジネスモデルの構築や住宅系基礎杭の新工法の開発を進めている。

シグマベースとの連動については、使用材料を従来の生コンからpMpコンクリートに転換することで工事の生産性向上につなげることを目指しており、今年4月に同製品がシグマベースの基礎梁に使用する生コンとして適合していることを証明する評定を日本建築センターで取得した。

新しい杭工法については、時間的制約がなく長距離輸送ができるなどのメリットを活かして、場所打ち杭の進化形のようなものをイメージして開発を進めている。

會澤社長はpMpコンクリートの事業展開について、「施工現場での制約に解決策を示すソリューションになり得る。これまでの生コンにあったような制約にしばられない材料として展開していきたい」としている。

バクテリアで自己治癒 来春の市販化目指す

バクテリアを活用した自己治癒コンクリートは、オランダのデルフト工科大学発のベンチャー企業「バジリスク・コンストラクティングB.V.」と事業化に向けて共同開発に取り組んでいる。

乾燥状態に置かれると胞子状の殻をまとって身を守り、200年間生き続けられる特徴があるバシラス属のバクテリアと、餌(栄養分)となる乳酸カルシウムを固化してカプセル化し、生コンに投入するもので、硬化後にひび割れが生じるとそこから浸透した水にバクテリア胞子が反応してコンクリートの主成分である炭酸カルシウムを代謝することでひび割れ部分を自己治癒する。

同社では日本国内に生コン用の「HA(ヒーリングエージェント)」、塗布型補修材の「ER7」、モルタル材料の「MR3」の3種類の製品展開を検討している。HAは来春の市販化を目標に開発に取り組んでいる。課題だったバクテリア胞子の最適なコーティング技術は製造方法を押し出し成形方式から変えることで劇的に革新し、粉体状まで粒度を細かくする技術を確立した。現在は量産に向けたフェーズに移行しており、それが可能なポータブルな生産設備の開発とビジネスモデルの構築が課題となっている。補修材料として展開するMR3も今秋に生産体制が整う見込み。ER7はすでに市販化されている。

會澤社長はバクテリアの自己治癒コンクリートの事業展開について、「HA、MR3についてはまだ市販化まで至っていないが、ユーザーからの問い合わせは多い。特に興味を持たれているのが再劣化しない補修材であるという部分だ。劣化を抑制するのではなく、劣化した部分にバクテリアが働きかけて治すので再劣化につながらない。ユーザーと一緒に実証実験をしながら事業化を進めたい。補修市場は用途が多種多様で個人のユーザーにもニーズがあると見ている。個人用補修キットをホームセンターなどに製品展開していくこともビジネスモデルとして考えられる」としている。

3Dプリンタで造形 型枠不要な工法開発

3Dプリンティング技術を活用したコンクリートの積層造形工法は、7月にスイスのABB社製大型アームロボットの1号機を導入して開発に着手した。BIM/CIMなどコンピューター上で三次元設計されたデータを建設現場のロボットに転送し、速乾性の高いコンクリート材料で多彩な曲線美を放つ構造物を型枠を一切使わずに積層造形する画期的な手法の確立を目指している。オランダのCyBe Construction社やロシアのApis Cor社などのベンチャー企業と幅広い技術交流を進める中で技術の革新を図る。

會澤社長は3Dプリンティング技術を活用したコンクリートの積層造形工法の事業展開について、「海外のメーカーと組む一番のメリットは事業が進むスピードの早さだ。世の中には数多くの要素技術があるが、単体で見たら使えそうにないものでも、それぞれを組み合わせることで事業価値が生まれることがある。当社としてはオープンイノベーションを推進することで新しい事業価値を生み出していく。マサチューセッツ工科大学のMIT産業学際会にも参加して交流を始めた。2年間にわたって技術交流する予定で、MITが持つ知財をコンサルティングしながら3Dプリンティング技術についてはコンクリート分野で最先端の研究を進めていく」としている。

コンクリート新聞 2018年7月26日号

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