コンクリート新聞 2019年6月20日号
ドローン事業に参入
會澤高圧 TFT社と提携 補修材を自動施工會澤高圧コンクリート(北海道苫小牧市、會澤祥弘社長)は、米国マサチューセッツ工科大学発の航空宇宙ベンチャーであるトップフライトテクノロジーズ(TFT)と戦略的提携を結び、ドローンビジネスに本格参入する。ドローンをコンクリート系インフラのメンテナンス事業に広く活用することを目指す。
今回の提携の狙いは、TFT社が特許を持つ混合ガソリンを燃料として発電しながら軽量バッテリーに蓄電して電力を供給するハイブリッド電力システムを導入し、大容量を積載して長時間の飛行ができる産業用ドローンを開発することにある。それを活用することで、會澤高圧社がインフラメンテナンス事業のキーテクノロジーと位置づけている「自己治癒マテリアル」の実用化につなげる。
ドローンで補修材塗布
會澤高圧社が開発、実用化を進めている自己治癒マテリアルは、バクテリアの代謝機能を活用してコンクリートのひび割れを自然修復するもの。液体タイプの補修材を開発し、それをドローンに積載して、遠隔地のコンクリート構造物に自動的に塗布する目視外ロボット施工法の早期確立を目指す。
今夏に機体開発
両社では第1弾の技術開発として、最大10kgの積荷を抱えて1時間以上の継続運行が可能なドローン2機を今夏をメドに開発する。機体には、レーザー照射の点群データを基に地形図や構造物の3D画像を作成する高性能ライダー(LIDAR)や高解像度(4K)電子光学カメラ、コンクリート表面の浮きや剥離を解析できるサーマルイメージカメラなどを搭載する。
會澤社長は今回の提携について、「大きなペイロード(最大積載量)と長時間飛行を実現するTFTの技術は現状、唯一無二の存在だ。当社の自己治癒マテリアルのドローン施工へ道を拓くことになる」と意義を強調している。
両社は、機体の販売と同時並行で国内の顧客基盤をつくり、年末をメドに新会社の設立を含めたビジネスユニットとしてのあり方を最終決定する。また、他のテクノロジーベンチャーとの提携も積極的に進める方針だ。
會澤社長は地上データをドローンから収集、蓄積してユーザーに付加価値の高い情報を提供し続ける地理情報システム(GIS)サービスのビジネス手法の確立を目指し、「年明けから第二フェーズで目視外飛行による自己治癒材のロボット施工を実用化したい」としている。
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