北海道新聞 2017年5月30日号

「トップに聞く 技術革新でコスト減」

――コンクリート製品製造の道内大手として、札幌のJRタワーや渡島管内七飯町の北海道新幹線車両基地など大型施設に製品を納入していますね。

「僕たちは北海道を作ってきた会社です。苫小牧港や道東道もうちのコンクリート。全ては作品です。車で走っていると『ここはうちのものが入っている』と分かるから、思わずにっこりしてしまう。だから逆に手掛けていない構造物を見ると悔しくなります。今は2020年の東京オリンピックへ向け、東京の港湾整備で排水用製品を納入しています」

――ロシア、モンゴル、ミャンマーなど海外6拠点にもグループ会社を持ち、開発途上国で、日本の政府開発援助(ODA)の大規模事業に参画し、技術力を発揮しています。

「07年、ベトナムのサイゴン川の地下道路建設に参画したのが海外進出の始まりです。大手ゼネコンから『暑くてコンクリートが作れない。助けて』と言われ、現地工場の品質管理を請け負った。うちは寒い北海道でやってきたから挑戦でしたよ。寒冷地も高温多湿地域も製造の品質管理が難しいんです。ただ、本質は一緒。原材料の温度や湿度管理をしっかりやるという基本に忠実なら可能です。それ以降、冬は気温がマイナス40度近くまで下がるモンゴルのウランバートルで生コン工場、ロシア極東のウラジオストクで橋を作った。今年はミャンマーの港湾工事へ参画します」

――材料の研究も熱心です。

「どこよりも技術革新していると自負しています。劣化したコンクリートへの対応が大変な問題になっています。ひびを修繕する技術は多々あるが、外科的治療にすぎない。そこで着目したのが、オランダの研究者が開発したバクテリアを混入したコンクリート。生物の力でひびを自然に修復します。オランダまでおしかけ、国内での独占販売契約を結びました。来年から道内でも製造します。将来のメンテナンスコスト削減につながり、ひいては持続可能な社会の創造につながると考えています」

――夢は何ですか。

「もう夢を追いかける年でもありませんが、経営者として大切にしているのは続けていくことです。幼い頃から創業者の祖父に『いずれ会社を継ぐんだよ』と言い聞かされてきましたが、企業は続けて行くのが大変なんです。生まれた瞬間から淘汰が始まる。だから自分たちにしかできないという存在理由を編み出していくことしかないと思っています」

(蒲生美緒)

北海道新聞

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