北海道建設新聞 2017年10月19日号

「シベリア鉄道延伸見据え アイザワがプレキャストに進出へ」

厳冬期に生コンを出荷する技術を持って會澤高圧コンクリート(本社・苫小牧)が2009年にモンゴルで立ち上げた「AIZAWA MONGOL LLC」を訪問してきた。代表を務める會澤高圧コンクリートの山本一哉専務と、中村優太工場長がウランバートル郊外に立つプラントに併設した事務所で私たちを待っていてくれた。

山本代表によると、生コンプラントは、12年に稼働を始め6年目を迎える。「1年の半分が厳しい気候で経済活動が止まる。この負の連鎖を止めるために冬場の工事を促進したい。生コンを厳冬期に出荷できないか、と打診を受けた」ことが立地のきっかけとなった。

数えるほどだった生コン工場が現在では120工場になったようだと話し、「需要と供給のバランスが崩れ、価格競争が激しくなった」と実情を明らかにした。さらに120工場の多くはプラントを中国から持ってきており、日本から持ち込むAIZAWAはコスト高だとも。

「2年くらい前から生コンのほかに、もう一本軸足を持とうと2次製品のプレキャストコンクリートに進出する計画を進めている」。具体的には、ゴビ砂漠の入り口付近で、モンゴル最大の民間鉱山会社であるモンゴル・アルト・コーポレーションのセメント工場の横に製品工場を建設する。年間15万トン、150人体制の工場は「モンゴルで一番大きいプレキャスト工場」となる予定で19年春に竣工。「世界最新の技術を入れる予定で、既に首相や大臣にも説明を終えている」。

山本代表は「(モンゴルの主要産業である)鉱山が良くなってきていると、皮膚感覚で感じる。景気は昨年がボトムだったのではないか」と回復に期待する。ゴビ砂漠入り口の工場は、シベリア鉄道の延伸を見据えての投資だが、「中国が唱える一帯一路にも興味がある。ここからロシアと中国を見ながら事業展開したい」と意欲的だ。

次に向かったのは、モンゴルを代表するカシミヤメーカーGOBI社の「FACTORY STORE」だ。

店内はユニクロの小型店に入ったような感じだ。カシミヤ製の衣料品が所狭しと置かれ、壁にも飾られている。服だけではなく帽子に手袋とさまざまな製品が並ぶ。服は柄物より無地系が多く、初期の頃のユニクロ店のようだ。しかし壁に掛かるスカーフとストールなどは大胆な柄物がそろえられ、驚いたことに店内ではファッションショーが開催されていた。

特別なステージを造るわけでもなく、平屋店舗の売り場で行われているのだ。細身の男女のモデル数人が音楽に合わせてモデルウォークする。それを老若男女が食い入るように見つめている。お土産にと買ったショールは12万トゥグルグ、日本円に換算すると6000円だ。ところが店内では日本語で「十分の一の値段」とアナウンスされている。後でそれをカシミヤの取引にきたNAOGS(ナオッグス)の成田勝隆社長に話すと「それはない」と一蹴された。

モンゴルの貨幣単位はトゥグルグ(Tg)。1Tgが0.05円だ。ちなみにモンゴルではコインがなく全て紙幣で10Tg、20Tg、50Tg、100Tg、500Tg、1000Tg、5000Tg、1万Tg、2万Tgの9種類が流通している。

北海道建設新聞

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