北海道新聞 2017年7月4日号

「いんたびゅー 途上国開発に積極参加」

會澤祥弘 會澤高圧コンクリート社長

コンクリート製品製造道内大手の會澤高圧コンクリート(苫小牧)が、寒冷地など過酷な条件で培った技術力を生かし、途上国の開発プロジェクト参加を進めている。道内の公共事業が縮小する中、技術開発に力を入れる會澤祥弘社長に今後の戦略を聞いた。

(聞き手・蒲生美緒)

――今年はミャンマーで日本の政府開発援助(ODA)事業に参画し、幹線鉄道の路盤改修に取り組みますね。

「海外の事業展開は2007年にベトナムのサイゴン川の地下道路建設に参画したのが最初です。現在はロシア、モンゴルなど海外6拠点にグループ会社があります。ミャンマーでは現地企業などと合弁会社を作り、ヤンゴン郊外にコンクリート製造工場を開設しました。ヤンゴンや首都ネビドー、商業都市マンダレーを結ぶ幹線鉄道を総事業費1127億円で大規模改修する事業が日本の援助で進んでいて、われわれはコンクリート製枕木などを供給する予定です」

――プロジェクトに参加したいきさつは。

「各国での実績と技術力を認めてくれた現地の建設大手からの依頼です。寒冷地と高温多湿の地域はいずれも原材料の温度や湿度の管理が重要。ただ、海外進出はあくまでも現地からの依頼が基本で、経営リスクを回避するため、自ら受注合戦に参入することは考えていません」

――海外に目を向けるきっかけは。

「小泉政権の構造改革以降、公共事業見直しで道開発予算が大幅に減り、業界は生き残りの模索を始めました。企業規模を縮小する動きもありましたが、わが社は拡大路線を維持しました。研究開発を深めるため、09年には技術研究所を設立。結果的に海外での評価につながりました」

――バクテリアの力でコンクリートのひび割れを修復する新技術の販売を始めるそうですね。

「オランダのデルフト工科大の研究チームが開発した技術です。生コンクリートにバクテリアを配合することで、ひび割れから浸透した水に胞子が反応して、コンクリートと同じ成分の炭酸カルシウムをつくり、ひび割れ部分を自然に埋めていく。日本での独占販売契約を結び、補修用材料を7月にもテスト販売します。年度末までには国内での生産供給にめどを付けたい」

――業界にとっても新たな柱となるのでしょうか。

「ひびの修復は“外科的な治療“ではいたちごっこ。老朽化したインフラの修復が問題となるなか、圧倒的にコストが削減できます。普及すれば、時代をリードする技術になると確信しています」

北海道新聞

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